Has Man a Future ? (1961)の出版 -邦訳書は誤訳が多く・・・

TP-HMF (1961年の)3月末に向けて,私は,『常識と核戦争』(Common Sense and Nclear Warfare, 1959)で扱った主題を進め,またその一部を敷衍して,核問題と軍縮に関する新しい本を執筆することについて,ペンギン・ブックス(社)と打ち合わせをし,続いてペンギン・ブックス(社)は私のいつもの出版者であるスタンレイ・アンウィン卿(注:George Allen and Unwin 社のオーナー)と打ち合わせ(取り決め)を行なった。この新しい本は『人類に未来はあるか?』 (Has Man a Future?)という書名がつけられることになった。私は直ちにその本の執筆を開始した。しかし執筆は,私がロンドンで行なった一連の録音と,バーミンガムでの2回の集会と,それから,しばらくの間いかなる仕事もすることを妨げる非常に悪性の’帯状疱疹’の発症(注:雅子妃殿下がかかったことでも有名)によって中断させられた。しかし,私はその回復期に,この新しい本のかなり多くの分量を執筆した。そして原稿締切りぎりぎりに間に合うように書き終えた。その本は,(1961年)秋に出版された。

TPJ-HMFTowards the end of March, I had arranged with Penguin Books, who, in turn had arranged with my usual publisher, Sir Stanley Unwin, to write a further book for them on nuclear matters and disarmament, carrying on my Common Sense and Nuclear Warfare and expanding parts of it. The new book was to be called Has Man a Future ? and I began work on it at once. But it was interrupted by a series of recordings that I made in London and by the two Birmingham meetings and then by a very bad bout of shingles which prevented my doing any work whatsoever for some time. But during my convalescence I wrote a good deal of the new book, and it was finished in time to meet its first deadline. It was published in the autumn.
出典: The Autobiography of Bertrand Russell, v.3:1944-1969 ,chap3:Trafalgar Square,(1969)
詳細情報:https://russell-j.com/beginner/AB33-200.HTM

[寸言]
CV-GOYAK 日高一輝氏による邦訳書(『人類に未来はあるか?』)は誤訳が多いので、別宮貞徳氏にケチョンケチョンに揶揄されてしまいました。詳しくは,次のページに詳しくご紹介しておきました。
★ 参考:別宮貞徳「刷数多きが故に貴からず(ラッセル著,日高訳『人類に未来はあるか』他,多くの邦訳書の誤訳指摘)」
https://russell-j.com/cool/GOYAKU58.HTM

(故)日高氏は,日本にいるより海外にいることの方が多く、「実用英語」はとてもできたと思われますが、『ラッセル自伝』ほか、日高氏が邦訳されたラッセルの著作は誤訳がとても多く、注意して読む必要があります。日本語の意味がとれないことろは誤訳しているだろうと考えてまず間違いありません。