共産主義に支配されるよりも人類の絶滅のほうを選ぶと言う人々

Prospects-of-Mankind_1960・・・。もう一つの、失望を抱かせたテレビ関係の出来事は、ルーズヴェルト夫人(米国大統領夫人)、ブースビー卿、ゲイッケル氏(英国労働党党首)と私の4人で、核問題に関して論じあったBBCの番組(注:Prospects of Mankind 視聴: http://russell-j.com/multimedia/br-196009.flv ダウンロードに少し時間がかかります!)であった。ルーズヴェルト夫人は、’共産主義に屈服するよりは人類を破滅させた方がましであり、彼女自身その方を好む’という信条を述べたが、それを聞いて私はぞっとした。私は正確に聞き取らなかったのかもしれないと思いつつスタジオを去った。しかし、翌朝の新聞で彼女の言ったことを読み、彼女が実際にこの危険な見方を述べたという事実に直面せざるを得なかった。

Another disappointing TV occasion was a BBC discussion of nuclear matters by Mrs Roosevelt, Lord Boothby, Mr Gaitskell, and myself. I was horrified to hear Mrs Roosevelt enunciate the belief that it would be better, and that she would prefer, to have the human race destroyed than to have it succumb to Communism. I came away thinking that I could not have heard aright. Upon reading her remarks in the next morning’s papers I had to face that fact that she really had expressed this dangerous view.
出典: The Autobiography of Bertrand Russell, v.3 chap. 3: _Trafalgar Square, 1969]
詳細情報:http://russell-j.com/beginner/AB33-110.HTM

[寸言]
他人に迷惑をかけないのであればどのような意見を持とうと自由ではあるが、権力者(大統領)の夫人が「共産主義に侵略されるよりも核戦争を選ぶ」などと言うことは認められない。即ち、その人が頭のなかで何を考えようと自由だが、「他の人々を巻き添えで死なせる自由はない」