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「(週刊)バートランド・ラッセル(1872.5.18-1970.2.2)に関するメール・マガジン」
  no.0917_2025/01/11 (2006/12/21 創刊/毎週土曜 or 日曜日 発行)
 
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    ■ 目 次 ■
          
 1.ラッセルの著書及び発言等からの引用
 2.ラッセルに関する記述や発言等
  編集後記


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 1.ラッセルの著書や発言等から
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■「ラッセルの英語」n.2835~2839  を発行しました。
  (1)「ラッセル英単語熟語」は、2835-2839
  (2)「ラッセルの英文」は、n.2835-2, 2837-2, 2839-2
 
 1つずつ再掲します。

■■  ラッセルの英語1 n2839  R英単語熟語

★ curse [(vt) 呪う;ののしる;(キリスト教)破門する | (vi) 悪態をつ
く;ののしる || (n) 呪い;悪態;たたり;災い;(the ~)月経]

* Curse it! 畜生!
* Curse you! くたばれ!
* be cursed with ... ~で苦しむ
* cursed (adj.):呪われた;呪うべき、いまいましい


1.ラッセルの用例

In Genesis work is represented as a curse, to which Adam’s sin 
condemned his posterity, but in the modem world it has come to seem a
 blessing, of which the amount must on no account be diminished.
[創世記では、労働は呪いであり、アダムの罪(原罪)がその子孫を断罪する
ものとして描かれている。しかし現代社会では、労働は祝福であり、その量は
決して減らしてはならないものだと思われるようになっている。]
 出典:ラッセル『ヒューマン・ソサエティ-倫理学から政治学へ』第4章
「善(善い)と悪(悪い)」
     https://russell-j.com/cool//47T-0406.htm

If the increased power which science has conferred upon human volitions
 is to be a boon and not a curse, the ends to which those volitions are
 directed must grow commensurately with the growth of power to carry 
them out.
[科学が人類の意志に与えた力の増大が,恩恵となり,呪いとはならないとするな
らば,それらの意志が向けられる目的はそれを遂行する力の発展に比例して成長
しなければならない。]
 出典:ラッセル「拡大する知的宇宙」
     https://russell-j.com/cool/EXPAND-M.HTM

Ready credulity in the face of repeated assertions is one of the curses
 of the modern world, and schools should do what they can to guard 
against it.
[目の前で断定をくりかえされると簡単に信じてしまうのは(軽信は),現代世
界の災いの一つであり,学校は,それを防ぐために,できることは全てやらな
ければならない。]
 出典:ラッセル『教育論』第三部_知性の教育_第16章「大学入学前の数年間
:後期中等教育」
     https://russell-j.com/beginner/AB12-100.HTM

We are white; and therefore God cursed Ham and his descendants who were
 black. We are Protestants or Catholics, as the case may be; therefore
 Catholics or Protestants, as the case may be, are an abomination.
[自分達は白人であるから,従って,神はハム(注:旧約聖書では,ハムはノアの
三人の息子の一人で,アフリカを中心とする人類の祖先としている。)と黒人
たるハムの子孫を呪いました。自分達が,場合に応じて,新教徒あるいは旧教徒
であるから,新教徒は旧教徒を,あるいは旧教徒は新教徒が大嫌いなのです。]
 出典:ラッセル「もっと豊かな,もっと智慧にめぐまれた知力を」
     https://russell-j.com/cool/WISER-I.HTM

But the story of Abraham preparing to sacrifice Isaac, or of the 
she-bears killing the children whom Elisha cursed, naturally rouses 
the child's sympathy for another child.
[しかし,アブラハムがイサクを犠牲にしようとする話(物語)とか,エリシャ
(Elisha)が呪った子供たちを雌グマが殺す話(物語)は,自然に他の子供に
対する同情を引き起こす。]
 出典:ラッセル『教育論』第二部_性格の教育_第11章「愛情と同情」
     https://russell-j.com/beginner/OE11-140.HTM


2.参考例

Ancient people used these tools for cursing their enemies.
[古代人はこれらの道具を敵を呪うのに用いた。]
 出典:宮川幸久『英単語ターゲット1900 四訂版』p.213

Our tribe is under a curse.
 出典:Longman Dictionary of Contemporary English, new ed.

He muttered a curse at the other driver.
 出典:Oxford Advanced Learner's Dictionary, 8th ed.


■■   ラッセルの英語2 n2839-2: R英文

 バートランド・ラッセルの英語 n2839-2 R英文(2)  
  ラッセル『ヒューマン・ソサエティ-倫理学から政治学へ』
  (Human Society in Ethics and Politics, 1954)

  第7章:罪 n.13

 自由意志はいかなる合理的な(理性的な)倫理にとっても不可欠なものでは
なく、地獄を正当化し、処罰がもたらす善とは関係なく「罪」は処罰させられ
るべきだとする復讐的な倫理にのみ不可欠なものである、と私は結論づける。
また、「罪」とは、本人(当該関係者)や共同体が不承認の感情を抱く行為と
いう意味以外では、誤った概念であり、罪を犯すのが他者である場合には不必
要な残酷さや執念深さを助長し、非難するのが自分自身である場合には病的な
自己卑下を助長するものであると結論づける。

しかし、"罪 "という概念をしりぞけることで、正しい行為と間違った行為の
間に違いがないと主張しているように思われてはならない。「正しい」行為と
は賞賛するのが有益である行為であり、「間違った」行為とは非難するのが有
益な行為である。賞賛と非難は依然として強力な誘因(インセンティブ 行動
を促す刺激)として残り、一般的利益に資する行為を促進する傾向がある。賞
罰も残る。しかし、刑罰に関しては、「罪」を退けることは、実際上、重要な
変化をもたらす。というのは、私が提唱する考え方では、刑罰は常にある意味
で悪であり(per se a sin 不正確な言い方だがある意味で)、その抑止効果
や改革効果によってのみ正当化されるからである。世間一般に、強盗は刑務所
に入るとしながらも、実際には南海の孤島で幸せになることが可能であれば、
それは刑罰よりも良いことであろう。この計画に対する唯一の反論は、遅かれ
早かれそのこと(事実)が漏れることは避けられず、そうなれば強盗が大発生
するだろうということである。	

I conclude that free will is not essential to any rational ethic, but
 only to the vindictive ethic that justifies hell and holds that "sin"
 should be punished regardless of any good that punishment may do. 
I conclude also that “sin”, except in the sense of conduct towards 
which the agent, or the community, feels an emotion of disapproval, is
 a mistaken concept, calculated to promote needless cruelty and 
vindictiveness when it is others that are thought to sin, and a morbid
 self-abasement when it is ourselves whom we condemn.

But it must not be supposed that, in rejecting the concept of "sin",
we are maintaining that there is no difference between right and wrong
 actions. “Right” actions are those that it is useful to praise, 
"wrong" actions are those that it is useful to blame. Praise and blame
remain as powerful incentives, tending to promote conduct which serves
 the general interest. Rewards and punishments also remain. But with 
regard to punishment the rejection of “sin” makes a difference that
 has some practical importance, for on the view which I advocate the 
punishment is always per se an evil, and is only justified by its 
deterrent or reformative effect. If it were possible to keep the public
persuaded that burglars go to prison, while in fact they are made happy
 in some remote South Sea island, that would be better than punishment;
 the only objection to the scheme is that it would inevitably leak out
 sooner or later, and then there would be a general outbreak of 
burglary.
Source: Bertrand Russell: Human Society in Ethics and Politics, 1954,
 chapter 7: Sin, n.13
  More info.: https://russell-j.com/cool/47T-0713.htm


■「ラッセルの言葉366_画像版」
   日本語 version : n.2980j-2994j を投稿
   英 語 version : n.2980e-2994e を投稿

   n2986 ( Jan. 03, 2025)
   https://russell-j.com/smart_r366/r366g_j2986.html
 
  「支配欲と被支配欲(服従欲)」

 罪の意識(The sense of sin)や(責任感に基づく)罪悪感(The sense of
 guilt)は、支配したいという欲望と支配されたいという欲望という、相反し
ながらも相互に関連する一連の感情の一部である。ほとんどの人は両方の欲望
を持っているが、人によっては一方が強く、他方が弱い場合がある。支配され
たいという願望は、支配したいという願望と同じくらい深く、自発的なもので
ある。何世紀にもわたり社会的不平等の体制が持続してきたのは、この両方の
欲望が存在しているからこそである。

The sense of sin or guilt is part of a whole system of feelings which
 have to do with the correlative, though opposite, desires to dominate
 and to be dominated. Most people have both, though in some the one is
 stronger, and in others, the other. The wish to be dominated is quite
 as profound and spontaneous as the wish to dominate. It is only the
 existence of both that has made possible the persistence through many
 centuries of systems of social inequality.
 Source: Bertrand Russell: Human Society in Ethics and Politics, 1954,
 part II: The Conflict of Passions, chapter 4: Myth and Magic, n.11
 More info.: https://russell-j.com/cool/47T-2_0411.htm

<寸言>
 「支配欲」と「被支配欲」とは互いに関連性を持つ一連の感情の一部です。
支配欲を多くの人が持っていても、実際は支配する者は少数であり、支配され
る者は多数とならざるを得ません。しかし、支配される者の一部は、そのこと
を直観的に悟り、権力者におもねって支配される一方、権力者の力を借りて自
分より力を持っていない者を間接的にあるいは二次的に支配することによって
、支配欲を満たします。その結果、弱者は救われないことになります。
The desire to dominate and the desire to be dominated are part of a 
set of interrelated emotions. While many people possess a desire to 
dominate, in practice, only a minority hold positions of power, leaving
 the majority to be dominated. However, some among the dominated 
intuitively recognize this reality and seek to curry favor with those
 in power. By submitting to authority, they simultaneously satisfy 
their own desire to dominate by indirectly or secondarily exerting 
control over those with even less power, leveraging the authority of 
the powerful. As a result, the weak remain unprotected and unsupported..

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(2) ラッセルに関する記述や発言等 
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 今回もお休み

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 編集後記 トランプの権力の源泉?
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 メルマガ「ラッセルの英語」の週刊版も再開します。本年もよろしくお願い
いたします。

 今年も世界の政治経済はドナルド・トランプを中心に回っていきそうです。
 それにしても、トランプの権力の源泉はどこにあるのでしょうか? トラン
プの政治力(ディールの力)や富(財産)の力が権力の源泉でしょうか? 
 それとも、そういった(強大な権力者としての)トランプのイメージを利用
しようとしている「影の勢力の隠された力」のほうが大きいのでしょうか?

 若い頃、アメリカの権力構造の分析に関する本を興味深く読んだたことが思
い出されます。本名をあかさない(匿名にする)ことを条件に、政財界のリー
ダーの人達に、米国において「実際に最も力を持っている権力者」の名前をあ
げさせたところ、最高権力者として名前があがったのは、国民がアメリカのリ
ーダーが考えていた人物とは別の人物の名前があがってきました。そして、
それは、国民のほとんどが知らない人物でした。
 これは陰謀論として言っているのではありません。陰謀論だと思う人には、
権力をもっている人間は有名になりたいものだ(自己顕示欲があるものだ)と
いう思い込みがあるように思えます。

 トランプの影響を無視できない facebook(メタ)は、社是であったはずの
「多様性、公平性、包摂性」の実現を目的とする方策のいくつかを廃止(例:
ファクトチェックの廃止)することが昨日明らかになりました。メタのオーナ
ーのザッカーバーグCEOはとても影の黒幕のような力はないですが、メタや
その他のIT企業(いわゆるテック企業)は、トランプに従わざるを得ないため
にトランプに迎合しているのでしょうか、それともトランプを利用して、規制
なしで自由気ままに振る舞う世界を選ぼうとしているのでしょうか?(松下)

It seems that global politics and economics will continue to revolve 
around Donald Trump this year.
That said, where does Trump’s power originate? Is the source of his 
power his political skill (his deal-making ability) or his wealth (his
 fortune)?
Or is it possible that the "hidden forces in the shadows," aiming to 
leverage Trump’s image as a powerful figure, have an even greater 
influence?

I am reminded of a book I read with great interest in my youth about 
the power structure in the United States.
Under the condition of anonymity, leaders from the political and 
business worlds were asked to name the person who held the most actual
 power in the U.S. Surprisingly, the person identified as the highest
authority was not the individual the public considered to be America's
 leader. Instead, it was someone unknown to most citizens.
I’m not saying this as part of a conspiracy theory. Those who see this
as a conspiracy theory might hold the assumption that people with power
 naturally want to be famous (that they have a strong desire for 
self-promotion).

Facebook (Meta), which cannot ignore Trump’s influence, announced 
yesterday the abolition of several measures aimed at realizing its 
corporate values of “diversity, equity, and inclusion,” such as 
fact-checking.
Meta’s CEO and owner, Mark Zuckerberg, doesn’t seem to wield the kind
 of power that resembles a shadowy puppet master. However, are companies
 like Meta and other IT (so-called tech) firms catering to Trump because
 they cannot resist his influence? Or are they using Trump to create a 
world where they can act freely without regulations?

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■編集・発行:(松下彰良/まつした・あきよし)
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