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「(週刊)バートランド・ラッセル(1872.5.18-1970.2.2)に関するメール・マガジン」
  no.0888_2024/06/15 (2006/12/21 創刊/毎週土曜 or 日曜日 発行)

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    ■ 目 次 ■
          
 1.ラッセルの著書及び発言等からの引用
 2.ラッセルに関する記述や発言等
  編集後記


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 1.ラッセルの著書や発言等から
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■「ラッセルの英語」n.2696~2700  を発行しました。
  (1)「ラッセル英単語熟語」は、2696-2700
  (2)「ラッセルの英文」は、n.2696-2, 2698-2, 2700-2
 
 1つずつ再掲します。

■■  ラッセルの英語 n2699:R英単語熟語 cause (revised)

cause (n) [原因, 理由;大義(個人や集団が掲げる理想・目標)
(vt) ~を引き起こす (bring about);~をもたらす]

* cause and effect : 原因と結果
* causal relation (relationship) : 因果関係
* causality (n): 因果関係,因果律
* the law of causality :因果律
* (参考):ラッセル「原因という概念」


1. ラッセルの用例

Disagreement on this point has caused hundreds of thousands to be 
massacred in recent years.
[この点での意見の相違が、近年何十万人もの虐殺を引き起こしている。]
 出典『ヒューマン・ソサエティ』第10章「倫理学における権威」
     https://russell-j.com/beginner/HA27-060.HTM

The fundamental cause of the trouble is that in the modern world the 
stupid are cocksure while the intelligent are full of doubt.
[揉め事(トラブル)の根本原因は,現代世界においては知的な(聡明な)人々が
懐疑心でいっぱいである一方,愚かな人々が'確信過剰'である(cocksure)とい
うことである。]
 出典:Bertrand Russell:The Triumph of Stupidity
     https://russell-j.com/0583TS.HTM

If everything must have a cause, then God must have a cause. If there
 can be anything without a cause, it may just as well be the world as
 God, so that there cannot be any validity in that argument. ... 
The idea that things must have a beginning is really due to the poverty
 of our imagination.
[もしあらゆるものが原因をもたねばならないなら,神にも原因がなければなら
ない。もし原因なしに,何かが存在できるならば,その何かは,神でも世界でも
(松下注:悪魔でも)よいことになる。・・・。物事には必ず初めが必要だとい
う考え方は,実際には,人間の想像力の貧困によるものである。
 出典:牧野力(編)『 ラッセル思想辞典』の中の「第一原因による神の存在
証明法」]
     https://russell-j.com/beginner/GOD-01.HTM

'Purpose' is entirely an inner quality which is no way depends upon
 mえtaphysical views about causality.
[「目的」は,まったく心の内部の性質です。「目的」は,決して因果関係につ
いての形而上学的見解に依存するようなものではありません。
 出典『拝啓 バートランド・ラッセル ラッセル様(市民との往復書簡集)』の
中の「人生の目的と不確定性(不確実性)」]
     https://russell-j.com/beginner/DBR4-05.HTM

Those who can only do their work when upheld by self-deception had 
better first take a course in learning to endure the truth before 
continuing their career, since sooner or later the need of being 
sustained by myths will cause their work to become harmful instead of
 beneficial.
[自己欺瞞に支えられているときにしか仕事のできない人たちは,自分の職業を
続ける前に,最初に,真実に耐えることを学習したほうがよい。ぜなら、'神話'
にささえられる必要があるようでは、遅かれ早かれ、彼らの仕事は、有益どこ
ろか、有害なものになってしまうだろうからである。]
 出典:ラッセル『 幸福論』第16章「努力と諦め」
     https://russell-j.com/beginner/HA27-060.HTM


2.参考例

The article deals with the causes of the present economic crisis.
[その記事は、現在の経済危機の原因を論じている。]
 出典:『英単語ターゲット1900 4訂版』p.142

The burst of the economic bubble caused many companies to go bankrupt.
[バブル経済の崩壊が原因で多くの会社が倒産した。]
 出典『鉄緑会 東大英単語熟語 鉄壁』p.165

With repeated exposure, lead can cause cognitive damage to human 
beings.
* lead (n):鉛;(集合的に)鉛の弾丸
[鉛は頻繁に接触することで,人に認識障害をもたらす可能性がある]。
 出典『東工大英単-科学・技術例文集』p.31)

In our view, the root cause (underline cause) of the crime problem is
 poverty and unemployment.
 出典:Longman Dictionary of Contemporary English, new ed.


■■  ラッセルの英語 n2768-2 ラッセルの英文

 ラッセル『ヒューマン・ソサエティ-倫理学から政治学へ』
  (Human Society in Ethics and Politics, 1954)

 第4章:善(善い)と悪(悪い) n.1

 「善い」及び「悪い」、「より善い」及び「より悪い」は、言葉による定義
があるかも知れない、あるいはないかも知れない用語である。しかし、いずれ
にせよ、これらの言葉は、まず表意的に(ostensively)理解される。言葉によ
る定義の問題は後回しにするとして、まずその意味を示す試みから始めよう。
私がこの言葉を使いたいと思うように、あるものが「善い」のは、それ自体の
ために評価される場合であって、その効果のためだけではないのである。私た
ちが厄介な薬を飲むのは、それが望ましい効果をもたらすことを期待している
からだが、痛風の愛好家が古酒を飲むのは、好ましくない効果があるかもしれ
ないにもかかわらず、それ自体のために飲むのである。薬は役に立つが美味し
くはない。ある状態が存在するかしないかを選択しなければならないとき、私
たちはもちろんその影響を考慮しなければならない。しかし、その状態は、そ
の影響のそれぞれと同様に、場合によってはそれを選ぶか選ばないかを決める
本質的な性質を持っている。この本質的な性質こそ、私たちがそれを選択しよ
うとするときには「善い」と呼び、それを拒否しようとするときには「悪い」
と呼ぶものなのである。
 功利主義者は、快楽が唯一の善であり、苦痛が唯一の悪であると主張する。
これには疑問があるかもしれないが、いずれにせよ、私がこの言葉を使いたい
意味では、ほとんどの快楽は「善」であり、ほとんどの苦痛は「悪」である。
快楽と苦痛について少し考えれば、この議論において重要な目的と手段の違い
が浮かび上がってくるだろう。

"Good" and "bad", "better" and "worse", are terms which may or may not
have a verbal definition, but in any case first come to be understood
 ostensively. Let us then begin with an attempt to indicate their 
meaning, leaving the question of verbal definition to a later stage.
 A thing is "good", as I wish to use the term, if it is valued for its
 own sake, and not only for its effects. We take nasty medicines 
because we hope they will have desirable effects, but a gouty 
connoisseur drinks old wine for its own sake, in spite of possible 
disagreeable effects. The medicine is useful but not good, the wine is
good but not useful. When we have to choose whether a certain state of
 affairs is to exist or not, we have of course to take account of its
 effects. But the state of affairs, as well as each of its effects, 
has an intrinsic quality which inclines us to choose it or not to 
choose it, as the case may be. It is this intrinsic quality that I 
call “good” when we incline to choose it and “bad” when we incline
 to reject it.
Utilitarians maintain that pleasure is the only good and pain the only
 evil. This may be questioned, but in any case most pleasure is "good"
 and most pain is "bad", in the sense in which I wish to use these 
words. A little consideration of pleasure and pain will help to bring
 out the difference between ends and means, which is important in this
 discussion.
 Source: Bertrand Russell: Human Society in Ethics and Politics, 1954,
 chapter 4: Good and Bad, n.1
  More info.: https://russell-j.com/cool/47T-0312.htm


■「ラッセルの言葉366_画像版」
   日本語 version : n.2777j-2783j を投稿
   英 語 version : n.2777e-2783e を投稿

 1つだけ再録します n.2778j (June 9, 2024)
   https://russell-j.com/smart_r366/r366g_j2778.

 「報復的な処罰と地獄の観念」

 けれども、純粋に倫理的な意見の相違(不一致)も存在する。その最重要な
ものは報復的な(復讐的な)処罰に関するものである。私たちが人を憎み、
その人を邪悪だと思うと、その人が苦しむ姿を考えることに喜びを見出す傾向
がある。そうして、その苦しみはそれ自体が善いことであると、容易に自分を
納得させてしまうかも知れない。これが地獄の存在を信じる根拠となっており
、地獄における処罰には改心させる効果はないと考えられている。

There are however some genuine purely ethical disagreements. The most
 important of these is as to vindictive punishment. When we hate a man
and think him wicked, we are liable to find pleasure in the thought of
 his suffering, and we may easily persuade ourselves that this 
suffering is a good thing on its own account. This is the basis of the
belief in Hell, where punishment is not supposed to have any reforming
 eflfect.
Source: Bertrand Russell: Human Society in Ethics and Politics, (1954)
, chapter 10:Is there ethical knowledge ?
More info.: https://russell-j.com/cool/47T-1012.htm

<寸言>
 添付画像にあるように、地獄の存在を信じている人が多い地域や国は、キリ
スト教やイスラム教や(アフリカなどの)土着信仰の影響が強いところと言え
そうです。先進国では地獄を信じる人が少なくなっていますが、60%以上の人
が地獄を信じているアメリカは際立っています。科学が発達しているアメリカ
でも、国民の約半数が聖書に書かれていることをそのまま信じている(らしい)
ということで、アメリカは宗教国家だとよく言われています。
 ユダヤ教国家であるイスラエルは、ハマスを殲滅すると繰り返し主張してい
ます。イスラエルは、アメリカから軍事支援を受けている関係から、ガザに潜
入しているハマスに対して「精密攻撃」をしている(ただし、ガザ市民の多少
の犠牲は仕方がない)と主張しています。しかし、イスラエル軍によって家族
が殺害されたガザ市民がその仕返しをしたいがためにハマスに加わっても、
ハマスである以上、殲滅対象だとイスラエルは主張するのでしょうか? イス
ラエルによる報復的処罰には、地獄の思想の影響があったり、人種差別的な思
考の影響があったりするように思われますが、どうでしょうか? ガザ市民も
イスラエル国民と同等な権利を持った人間だと考えているのなら、数千人のイ
スラエル国民が虐殺されたからと言って、イスラエルに3万人以上のガザ市民
を殺害する権利があるはずはありません。

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(2) ラッセルに関する記述や発言等 
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 今回もお休み

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 編集後記 消化の良いものばかり食べていてはダメ? 読書も同様に・・・
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 一昨日、NHKの「あしたが変わる取説ショー」で「腸内細菌」をとりあげて
いました。腸内細菌は非常に種類が多く、500種類以上、40兆個の腸内細菌が
私達の大腸に住んでおり、腸内細菌は善玉だけでなく、悪玉も一定割合必要だ
そうです。重要なのは腸内細菌が作り出す短鎖脂肪酸(免疫細胞をコントロー
ルする「T細胞」を作るもの)であり、短鎖脂肪酸は免疫力を高めるのに効果が
あるそうです。実際、100歳以上の長寿者が人口比率で突出して多い京都府京
丹後市の住民は「酪酸産生菌」という腸内細菌が多く持っている人が多いとのこ
とです。

 この番組で特に気になったのは、大腸に良いということで摂取しても胃腸で
消化されて大腸に届かないものがあるという事実です。つまり消化のよいもの
ばかり食べていると大腸のためにはよくないということにもなりかねないとい
うことです。食物繊維が必要だとよく言われますが、食物繊維は胃では消化さ
れず、大腸の餌になるからこそ重要だというしだいです。

 読書も同様です。「猿でもわかる〇〇」とか、「知識ゼロからの〇〇」とか
いった書籍が書店に多数置かれていますが、未知の分野やあまり理解できない
分野については有難いですが、そういったものはできるだけ早く卒業したいも
のです。読んで容易に理解できるように書くことは重要な能力ですが、理解し
やすくするために重要な事柄については触れない、あるいは触れても簡単にす
ませてしまうことがよくあります。わかりやすい知識をたくさん身につけるよ
りも、重要な考え方を自分の頭で考えて理解する(自分のものとする)ことの
ほうがより重要です。
 
 しかし、世の中には考える努力をしたくない人がいっぱい存在しています。
そうして、よくわからないことについては(世渡り上)「多数派」に属するよ
うにしている人が少なくありません。この現象については、ラッセルは皮肉を
込めて次の一文で表現しています。
 (米国議会図書館の gutenberug project のサイトから採取)

  "most people would die sooner than think - in fact, they do so." 
   (Source: Bertraned Russell : ABC of Relativity, 1925, 1st ed., 
     chapter 11: Is universe finite?)

 しかし、不用意な引用者が多々おり、ネット上には次の2種類が見られ、上
記のオリジナルな表現は苦労をしないと見つけられません。

  "Many People Would Rather DIE than Think; In Fact, Most Do ..."
 "Most people would rather die than think and many of them do!"
  (Source: The ABC of Relativity.)
 
 その大きな原因は、The ABC of Relativity は、1925年に初版が出された後
、何回か軽微な改訂が行われているためです。一番大きな改訂が行われた 
second edtion (1958)では、chapter 11のタイトルが、The expanding universe
に変えられています。それは、以前は定常宇宙論が定説(アインシュタインも
最初は支持)でしたが、1929年にアメリカ人のハッブルが宇宙が膨張している
ことを発見し、膨張宇宙論が定説に変わったからです。

 いつの時代もクイズ番組は人気コンテンツですが、そういった知識よりも、
探求心のほうがずっと大事です。ラッセルは13歳の生徒から質問(私は13歳で、
9年次のアメリカ人の学生です。 ・・・。教育の目的は何であるべきか、あな
たのお考えを簡潔に述べていただければ幸いです。)を受けて、次のように答
えています。

「私は、教育の主な目的は、これまで当たり前だと思われてきたことについて、
 問いを発し、疑問を投げかけるように、若者を勇気づけることであるべきだ
、と信じています。重要なのは 精神の独立(自立)です。教育において善く
 ないのは、これまで受け入れられきた見解や権力者に対して、学生が異議を
 申し立てることを認めようとしない態度です。新しい考え方/思想が現れる
 ためには、若者がその時代の愚かな考え(stupidities)に根本的に同意し
 ないという毅然たる勇気を持っている必要があります。尊敬に値すると言わ
 れる人間や基本的であると考えラている考え方のほとんどは人間が事を成し
 遂げるための障害です。」
(Thank you for your admirable letter which Iread with great interest.
   I believe that the main object of educaion should be to encourage 
   the young to question and to doubt those things which have been 
   taken for granted. What is important is independence of mind. 
   What is bad in education is the unwillingness to permit students to
   challenge those views which are accepted and those people who are 
   in power. It is necessary for new ideas to emerge, that young people
    have every encouragement to fundamantally disagree with the 
    stupidities of their day. Most people who are respectable, and most
    ideas which are considered to be fundamental are barriers to human
     achievment. ) 

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■編集・発行:(松下彰良/まつした・あきよし)
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