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「(週刊)バートランド・ラッセル(1872.5.18-1970.2.2)に関するメール・マガジン」
  no.0874_2024/03/02 (2006/12/21 創刊/毎週土曜 or 日曜日 発行)

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    ■ 目 次 ■
          
 1.ラッセルの著書及び発言等からの引用
 2.ラッセルに関する記述や発言等
  編集後記


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 1.ラッセルの著書や発言等から
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■「ラッセルの英語」n.2625~2629  を発行しました。
  (1)「ラッセル英単語熟語」は、2625-2629
  (2)「ラッセルの英文」は、n.2625-2, 2627-29. 2629-2
 
 1つずつ再掲します。

■■ バートランド・ラッセルの英語 n.2627 ラッセル英単語熟語

★ altruistic (adj.) [利他的,愛他的]

* 語源:ラテン語「alteri」(他人)から派生した言葉
* altruist (n): 利他主義者,愛他主義者
* altruism (n): 利他的行為、利他主義(consideration of the happiness 
and good of others before one's own; unselfishness / cf. egoism)


1.ラッセルの用例

These illustrations suggest four general maxims, which will prove an 
adequate preventive of persecution mania if their truth is sufficiently
 realised. The first is: remember that your motives are not always as 
altruistic as they seem to yourself.
[以上の実例から,4つの一般的な処世訓(格言)が思いつく(示唆される)。
これらの処世訓は,その真理が十分に理解されたならば,'被害妄想の適切な予
防薬(策)'となるだろう。
(処世訓1)あなたの動機は,必ずしも自分自身で思っているほど'利他的'で
はないことを忘れてはいけない。]
 出典:ラッセル『幸福論』第8章「被害妄想」
     https://russell-j.com/beginner/HA18-050.HTM

Our third maxim was not to expect too much of others. It used to be 
customary for invalid ladies to expect at least one of their daughters
 to sacrifice themselves completely in performing the duties of a 
nurse, even to the extent of forgoing marriage. This is to expect of 
another a degree of altruism which is contrary to reason, since the
 loss to the altruist is greater than the gain to the egoist.
* invalid (adj.):病弱な;病人向き
[3番目の処世訓は,他人に期待しすぎるな(あまり多くを期待するな),とい
うことであった。かつては,病弱の貴婦人にとって,娘たちのうち少なくとも
一人は看護婦としての務めを果たすために完全に自己を犠牲にしたり,場合に
よっては結婚を差し控えたりすることを期待することは,しばしば普通のこと
であった。これは,他人に対し,'理性に反するほどの(過大な)利他主義'を期
待するものである。なぜなら,利己主義者の得るものよりも,利他主義者が失う
もののほうがより大きいからである。]
 出典:ラッセル『幸福論』第16章「被害妄想」
     https://russell-j.com/beginner/HA18-070.HTM

The man who is actuated by purely altruistic suffering caused by the 
spectacle of human misery will, if his suffering is genuine, desire 
power to alleviate misery. The only man totally indifferent to power 
is the man totally indifferent to his fellow-men.
* alleviate (v):(苦痛・苦悩を)軽くする,楽にする
[人間の不幸を目のあたりにして,純粋に'利他的な苦悩に'動かされる(駆られ
る)人は,もしその苦悩が本物であれば,不幸を軽減する'権力'を欲するであろ
う。'権力'に対してまったく無関心な人は,仲間の人間に対してもまったく無
関心な人にほかならない。]
 出典:ラッセル『幸福論』第16章「努力と諦め」
     https://russell-j.com/beginner/HA27-030.HTM


2.参考

altruistic behaviour
 出典:Oxford Advanced Learner's Dictionary, 8th ed.

If your behaviour or motives are altruistic, you show concern for the
 happiness and welfare of other people rather than for yourself.
 出典:Collins COBUILD English Dictionary for Advanced Learners, 3rd
 ed. 


■■  ラッセルの英語(2) n2629-2 ラッセルの英文

 ラッセル『ヒューマン・ソサエティ-倫理学から政治学へ』
  (Human Society in Ethics and Politics, 1954)

 第1章 n.6

 倫理的信念には、記録された歴史を通して(一貫して)2つの非常に異なる源
泉があった。ひとつは政治的なものであり、もうひとつは個人的な宗教的・道
徳的な強い信念に関係するものであった。『旧約聖書』においては、この2つ
(の源泉)はまったく別々に、ひとつは(モーゼの)律法(the Law) として、も
う一つは預言者として現れている。中世においては、ヒエラルキー(階層化さ
れた聖職者制度) によって植え付けられた公的な道徳と、偉大な神秘主義者達
によって教えられ実践された個人的な神聖さとの間に、同様の区別があった。
我々の時代(現代)においても、同様の二重性は存続している。クロポトキン
(P. A. Kropotkin.1842-1921、ロシアの無政府主義者)がロシア革命の後、長
期の追放を解かれて帰国した時、彼がロシアに生まれつつあるのを見たのは、
彼の夢みたロシアではなかった。彼が夢みていたのは、自由で自尊心のある個
人がゆったりと結合した共同体であった。しかし、創造されつつあったのは、
 強力な中央集権的国家であり、そこでは個人は単に(全体=国家のための)手
段と見なされていた。個人道徳と市民道徳とのこの二重性は、妥当な倫理学説
であれば必ず考慮しなくてはならないものの一つである。市民道徳がなければ
共同体は亡び、また個人道徳がなければ共同体の存続も価値を失う。従って、
市民道徳と個人道徳とは良き世界のためには等しく必要不可欠なものである。
	
Ethical beliefs, throughout recorded history, have had two very 
different sources, one political, the other concerned with personal
religious and moral convictions. In the Old Testament the two appear
quite separately, one as the Law, the other as the Prophets. In the
middle ages there was the same kind of distinction between the 
official morality inculcated by the hierarchy and the personal 
holiness that was taught and practised by the great mystics. In our
own day the same duality persists. When Kropotkin, after the Russian
Revolution, was able to return from his long exile, it was not the
Russia of his dreams that he found being born. He had dreamed of a
loosely knit community of free and self-respecting individuals, but
what was being created was a powerful centralized State, in which the
individual was regarded merely as a means. This duality of personal
and civic morality is one of which any adequate ethical theory must
take account. Without civic morality communities perish; without 
personal morality their survival has no value. Therefore civic and 
personal morality are equally necessary to a good world.
 Source: Bertrand Russell: Human Society in Ethics and Politics, 
1954, chapter 1, n.1
  More info.: https://russell-j.com/cool/47T-0106.htm


■「ラッセルの言葉366_画像版」
 日本語 version : n.2673j-2678j を投稿
 英 語 version : n.2673e-2678e を投稿

 1つだけ再録します。n.2676j (Feb. 28, 2024)

 「抑圧する者と抑圧される者」

19世紀半ばまで、ロシアの貴族は農奴を無価値なものとみなす傾向があったが
、その理由は、彼らが農奴制反対派とは善の観念が異なっていたからというよ
りも、農奴には主人と同じような感情的能力がないと考えていたからである。
ツルゲーネフの『スポーツマンのスケッチ』(『猟人日記』)は、偉大な小説家
の技巧を尽くして、農奴の喜びと悲しみを同情的に描き、それによって自由主
義的な考えを持つ地主達にルソーのような感受性を呼び起こした。・・・抑圧
された人々が抑圧者と同じ喜びと悲しみを持つことを否定できなくなった時、
抑圧的な制度は廃止された。それゆえ、この敵対者と擁護者との間の論争は、
実際は、目的についての論争ではなく、人間の感情の諸事実についての論争で
あった。

Russian aristocrats, until the middle of the nineteenth century, 
tended to regard their serfs as of no account, not so much because 
they had a different conception of the good from that of the opponents
of serfdom, as because they believed that serfs did not have the same
capacity for emotion as their masters. Turgenev’s Sportsman's 
Sketches, with all the art of a great novelist, gave a sympathetic
portrait of the serfs’ joys and sorrows, thereby arousing sensibility
a la Rousseau in liberal-minded landowners. ... , when men could no 
onger deny that the oppressed had the same capacity for joy and sorrow
as their oppressors, the oppressive institution was abolished. 
The controversy between its enemies and its defenders was not 
therefore, really a controversy as to ends, but as to the facts of
 human beings’ emotions.
Source: Bertrand Russell: Human Society in Ethics and Politics,
 (1954), chapter 8:Ethical Controversy
More info.:https://russell-j.com/cool/47T-0806.htm

<寸言>
 もしかすると「感情の諸事実」という表現に違和感を覚えた人がおられたか
も知れません。事実問題と感情の問題とは異なるのではないかと・・・? 
 感情には余り好ましくない感情もあれば好ましい感情もあります。どのよう
な感情であれ、ある種の感情を持っているというのも「一つの事実」です。過
去においては、知的に劣っている貴族でも、自分は一般庶民とは異なり、「高
貴な」あるいは「上品な」感情を持っていると思い込むことができました。現
代人で民主主義国に生まれ育った人であれば、自分がもしも皇室に生まれてい
たら、皇族と同じような感情を持つだろう(あるいは持つことができるだろう)
と想像することが可能です。

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(2) ラッセルに関する記述や発言等 
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 今回もお休み

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 編集後記 喪失感 ― 大谷翔平(結婚)ロス他、生成AIに聞いてみました
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 大谷翔平が結婚を発表したことによって、大谷ロスが起きているようです。
ロス(喪失感)は、連続ドラマなどが終わり、ドラマの主人公の姿が見られな
くなることによってもよく起こりますが、それらに違いはないでしょうか?
 若い時の失恋や肉親の死によるロス(喪失感)は、実際に知っている人
(身近な人)についてのロス(喪失感)ですので自然なことです。しかし、
TVドラマの主人公などは個人的にまったく知らない人(あったことのない人)
に対するものなので、ロス(喪失感)といってもかなり異なるはずです。
両者の共通点及び相違点はどこにあるのでしょうか? また、個人的に知ら
ない人に対するロス(喪失感)は、心理学的に分析するとどういうことが言
えるでしょうか?
 上記の質問を ChatGPT 及び Google Germi に投げかけてみたところ、以下
のような回答がありました。私の質問のとらえ方が少し異なっているため、
回答の仕方も少し異なっています。皆さんは、どちらがお好みでしょうか?
 ChatGPT は常識的な回答に思われます。Google gemini の方がChatGPT よ
りも「知性」が感じられます。(笑)


<ChatGPTの回答>

大谷翔平の結婚による「大谷ロス」や、テレビドラマの終了によるロス(喪失
感)といった現象は、いくつかの点で共通点や相違点があります。

・共通点:

1.感情の投影: どちらの場合も、人は自分の感情や経験を他者や物事に投
影する傾向があります。例えば、大谷翔平のファンが彼の結婚によって「喪
失感」を感じるのは、彼が成功や幸福にあるときにファンも幸せを感じ、逆
に彼が変化すると喪失感を感じる可能性があります。同様に、テレビドラマ
のファンはドラマのキャラクターと感情的な結びつきを持ち、ドラマが終了
するとキャラクターに対する喪失感を感じることがあります。

2.感情の現実性: 喪失感は感情の現実性によって影響されます。個々の感
情や経験は個人にとって実感があるものであるため、それが現実的な影響を
与えるかどうかは人それぞれです。大谷翔平の結婚やドラマの終了が、個
人の価値観や感情にどれだけ影響を与えるかは、その人の関心や感受性に依
存します。

・相違点:

1.対象との関係性: 大谷翔平の結婚による喪失感は、彼をファンとして支
持する人々にとっては、あたかも身近な友人や家族が変化したように感じら
れることがあります。一方で、テレビドラマの主人公などのキャラクター
に対する喪失感は、通常、架空の存在に対する感情であり、現実のつながり
は限定的です。

2.経験の形成: 個人的な喪失感は、経験に基づいて形成されます。若い時
の失恋や肉親の死によるロスは、具体的な人間関係や経験に根ざしており
、それに対する感情は直接的かつ実在的です。一方で、テレビドラマのキャ
ラクターに対するロスは、架空の出来事やキャラクターに対する感情であり
、虚構の中での経験に基づいています。

・心理学的な分析:

個人的に知らない人に対するロス(喪失感)は、心理学的にはいくつかの側
面が関与しています。これは「パラサイト恋愛」や「フィクショナル・アイ
デンティティ」の概念に関連しています。以下はいくつかのポイントです:

感情の投影: ファンはしばしば有名人やキャラクターに自分の感情や欲望を
投影します。これにより、彼らが感じる「ロス」は、実際の対話や相互作用
がなくても、ファンが感じる感情が強化される可能性があります。

フィクショナル・アイデンティティ: テレビドラマや映画のキャラクターに
対する感情は、ファンのアイデンティティに影響を与えることがあります。
キャラクターの成長や変化が、ファンの自己認識や価値観に影響を与えるこ
とがあります。

コミュニティの一部: ファンはしばしば特定の有名人や作品に共感し、それ
がコミュニティやファンベースの一部となります。喪失感は、そのコミュニ
ティからの離脱や変化に対するものとしても理解されます。

総じて、個人的に知らない人に対するロスは、現実と虚構の境界が曖昧な中
で、感情やアイデンティティが形成される過程が関与しています。


<Google gemini の回答>

大谷翔平選手の結婚によるロスとドラマロス:共通点と相違点、心理学的な分析

共通点

愛着形成と喪失感: どちらも、対象への強い愛着形成と、その対象との関係喪
失によって生じる感情です。ドラマの主人公や大谷選手のような有名人は、
ファンにとって理想像や憧れの存在となり、強い感情移入や親近感を抱きやす
くなります。
喪失体験の5段階: どちらも、否認、怒り、取引、抑うつ、受容という喪失体
験の5段階を経験する可能性があります。
時間経過による回復: 時間経過とともに、喪失感と悲しみは徐々に癒えてい
きます。
相違点

対象との関係性: ドラマの主人公は架空の人物であり、一方、大谷選手は実在
の人物です。ドラマロスでは、架空の人物との関係喪失に苦しむ一方、大谷選
手の結婚では、理想像の喪失や、彼との関係が自分とは異なる次元で進んでい
ることへの喪失感を感じます。
喪失感の理由: ドラマロスでは、物語の完結による喪失感が主です。一方、
大谷選手の結婚では、彼の結婚という人生の節目を共有できないことへの喪失
感に加え、自身の理想像の喪失や、彼との擬似的な関係の終焉への喪失感など
が複雑に絡み合います。
喪失感の強度: ドラマロスは一時的なことが多いですが、大谷選手の結婚によ
るロスは、ファンの心情や状況によって長期化する可能性があります。
心理学的な分析

1. 愛着形成と喪失: ファンは、ドラマの主人公や有名人に対して、親密感、
信頼感、安心感などの感情を抱き、強い愛着を形成します。その対象との関係
喪失は、愛着の喪失として捉えられ、深い悲しみや喪失感につながります。

2. 理想像の喪失: 特に大谷選手のような有名人は、ファンの理想像や憧れの
存在となることがあります。彼の結婚は、ファンの抱いていた理想像の喪失
を意味し、失望感や喪失感につながります。 (松下)

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■編集・発行:(松下彰良/まつした・あきよし)
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