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「(週刊)バートランド・ラッセル(1872.5.18-1970.2.2)に関するメール・マガジン」
  no.0854_2023/10/07 (2006/12/21 創刊/毎週土曜 or 日曜日 発行)

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    ■ 目 次 ■
          
 1.ラッセルの著書及び発言等からの引用
 2.ラッセルに関する記述や発言等
  編集後記

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 1.ラッセルの著書や発言等から
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■「ラッセルの英語」n.2526~2530  を発行しました。
  (1)「ラッセル英単語」は、n.2526,25283,2530
  (2)「ラッセルの英文」は、n.2527~2529 
 
 それぞれ1つだけ再掲します。


■■ バートランド・ラッセルの英語 n2530 
 
 ★ 同じような」の"as"がどうして「譲歩」の意味で使われるのか?

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 佐藤ヒロシ『andとasの底力』(プレイス、2015年刊)pp.196-198から引用

  次の例のように、「譲歩」の意味では、構造的に形容詞(もしくは副詞
 や名詞)が"as"に先行するという特徴があります。

 Strange as it may seem, in order to find descendants of the
  dinosaurs in today's world, we need to turn to birds.
  (奇妙に思われるかも知れないが、現代世界で恐竜の子孫を発見する
  ためには、鳥に目を向ける必要がある。)

 ところで、「様態(~のように)」「比例」「理由」と異なり、「・・・で
あるにもかかわらず」という「譲歩」は、どう考えても「同じようなこと・も
の」とは真逆の意味になります。・・・。次の文で考えてみよう。
 Tired as she was, she walked to the station instead of taking a taxi.
 (疲れていたが(疲れていたにもかかわらず)、彼女はタクシーに乗らずに
駅まで歩いた。)

  実は、「譲歩の"as"」とは、構文的には(Being as) tired as she was
  という分詞構文がベースになっています。・・・。
  (つまり)"as"自体に「譲歩」の意味があるわけではないのです。・・・。
  アメリカ英語では最初の"as"が残っている場合があります。、
  As hard as she tried, she could never convince her parents to let
    her have a dog.
  (いくら頑張っても、彼女は両親を説得して犬を飼う許しを得ることが
   できなかった。)

  なお、次の例のように、主節との関係によっては「理由」表すこともある
 ので要注意。
   Tired as she was, she went to bed earlier than usual.
   (疲れていたため、彼女は普段よりも早く床についた。
 =================================================================

1.ラッセルの用例

 1. Therefore, difficult as it may be, the child should be let alone
 in this respect.
[それゆえ,難しいかも知れないが,このことに関しては,子供をほうっておく
べきである。]
 出典:ラッセル『教育論』第二部_性格の教育_第12章_性教育
 詳細:https://russell-j.com/beginner/OE12-020.HTM


 2. For this reason, paradoxical as it may seem, a man of wide and
vivid interests finds less difficulty in leaving life than is
experienced by some miserable hypochondriac whose interests are
bounded by his own ailments.
[それゆえ、逆説的に聞こえるかもしれないが、広く生き生きとした興味を持
っている人のほうが、自分の心身の不調にしか関心のない惨めなヒコポンデリ
ー(心気症)患者よりも、この世を去ることに困難を覚えることが少ない。]
 出典:ラッセル『教育論』第一部 教育の理想_ 第2章 教育の目的
 詳細:https://russell-j.com/beginner/OE02-150.HTM


 3. All this is well known, and yet, incredible as it may seem, the
governments show a rooted opposition to all serious attempts to
 prevent war.
[これらのことは皆よく知られていることであるが,信じ難いことかもしれない
が,各国政府は'戦争防止'のためのあらゆる真剣な試みに対し,いまだ根深い反
対の態度を示している。]
 出典:ラッセル『アメリカン・エッセイ集』の中の「政府は戦争を望んでい
るのか?」
 詳細:https://russell-j.com/DESIRE-W.HTM


2.参考

 1. As poor as he was, he still had enough for his family to eat.
[貧しかったが、彼は家族が食べていくだけの蓄えはあった。] 
  出典:佐藤ヒロシ『andとasの底力』p.197

★ 次のようなパターン(命令文)もある。
 2. Try as you will, you can't do it in an hour.
→ Try as you will try(やりたいようにやってみよ)
[どんなにやっても、それを1時間ではできない。] 
  出典:佐藤ヒロシ『andとasの底力』p.198


■■  ラッセルの英語(2) n2529 ラッセルの英文
 ( Unpopular Essays, 1950 から)

 「人類に害を与えてきた思想」n.18

 神に与えられた使命だと信じることは,これまで人類を苦しめてきた確信の
多くの形態の一つである。恐らく,今までに言われた言葉のうちで,もっとも
賢明なものの一つは,ダンバーの戦いの前に,クロムウェルがスコットランド
人に言った次のような言葉だと思う。「キリストの慈悲において,あなた(方)
に懇願します。自分(たち)が間違っていることもありうる,と考えてくださ
い。」 しかし,スコットランド人は,そうは考えなかったので,クロムウ
ェルは戦いで彼等を打ち破らねばならなかった。しかし,クロムウェルが,同
じ言葉(物言い)を一度も自分自身に対して言わなかったのは,残念なことで
ある。人間が(同じ)人間に対して行ってきた最大の悪の大部分は,実際は誤
まっている何事かについて,まったく確実だと感じた人々によって(を通して)
行なわれてきたことである。真理を知ることは,大部分の人々が考えるよりも
もっと難しいことであり,真理を独占するのは自分たちの党派だ,と信じて無
慈悲な決意を持って行動することは,大きな災害を招くことである。現在にお
けるある種の悪は,将来におけるいくらか疑わしい利益のためにあえて行う価
値がある,という長期的な推定(計算)は,常に疑いを持って眺めなければな
らない。なぜなら,シェイクスピアが言っているように,「将来というものは
,いまだ確実ではない」からである。最も洞察力のある人でさえ,十年もの将
来を予言するような場合には,ひどく外れがちである。このような説を不道徳
だと考える人がいるかも知れないが,結局のところ,「明日を思い煩うことな
かれ」と述べているのは聖書なのである。
Belief in a Divine mission is one of the many forms of certainty that
 have afflicted the human race. I think perhaps one of the wisest 
things ever said was when Cromwell said to the Scots before the battle
of Dunbar: 'I beseech you in the bowels of Christ, think it possible
that you may be mistaken.' But the Scots did not, and so he had to
defeat them in battle. It is a pity that Cromwell never addressed the
same remark to himself. Most of the greatest evils that man has 
inflicted upon man have come through people feeling quite certain about
something which, in fact, was false. To know the truth is more 
difficult than most men suppose, and to act with ruthless determination
in the belief that truth is the monopoly of their party is to invite
disaster. Long calculations that certain evil in the present is worth
inflicting for the sake of some doubtful benefit in the future are 
always to be viewed with suspicion, for, as Shakespeare says: 'What's
to come is still unsure.' Even the shrewdest men are apt to be wildly
astray if they prophesy so much as ten years ahead. Some people will
consider this doctrine immoral, but after all it is the Gospel which
says 'take no thought for the morrow'.
  Source: Ideas That Have Harmed Mankind,1946
     Reprinted in: Unpopular Essays, 1950, chapter 1
  More info.: https://russell-j.com/beginner/0861HARM-180.HTM

 
■「ラッセルの言葉366_画像版」
 日本語 version : n.2526j-2532j を投稿
 英 語 version : n.2526e-2532e を投稿

 1つだけ再録します。n.2528j (Oct. 3, 2023)

 「因習道徳におけるタブー的要素」

 おおよそニュートンの時代から、害のない女達(注:魔女とされた女性)を
想像上の罪で火刑にすることに終止符が打たれたのは、キリスト教的な慈愛
(思いやり)ではなく、科学的な考え方が普及した結果であった。因習道徳に
おけるタブー的要素は、今日では三百年前ほど残忍ではないが、たとえば、避
妊(産児制限)や安楽死への反対においてそうであるように、人間的な感情や
実践の障害となっている部分もある。

It was not Christian charity, but the spread of the scientific outlook,
 that. from about the time of Newton, put an end to the burning of 
harmless women for imaginary crimes. The tabu elements in conventional
 morality are less fierce in our day than they were 300 years ago, but
 they are still in part obstacles to humane feeling and practice, for
 example in the opposition to birth control and euthanasia.
 Source: Bertrand Russell: Human Society in Ethics and Politics, 
(1954), chapter 1
More info.:https://russell-j.com/cool/47T-0114.htm

<寸言>
 特定の宗教を信じるにせよ、無神論になるにせよ、いかなる宗教も(キリス
ト教もイスラム教も仏教も)過去、多くの不幸をもたらしてきたという歴史的
事実をよく知った上で、宗教に向かい合う必要があります。
 そういった事実をそこそこ知っていても、特定の宗教を信じている人は、自
分が信じている宗教に甘く、宗教の否定的側面は昔のことであり、宗教団体の
努力によって寛容になってきたと思っているようです。

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(2) ラッセルに関する記述や発言等 
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 今回もお休み

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 編集後記 「質問は一人(一社)一問、時間は2時間限定」というやり方
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 記者会見などでは、「できるだけ多くの人に質問の機会を与えるために、
"一人一問"(あるいは"一社一問")に限る」 というのがあたかも民主主義的
で公平な質疑応答の方式だと多くの主催者は(あるいは国民までもが)思って
いる(あるいは、思っているふりをしている)かのようです。このようなやり
方を定着させたのは日本政府でしょうか? 日本では記者クラブに入れてもら
えなければ、記者会見で質問さえできません。

 日本政府が行う記者会見においては、あたかも質問に答える者(総理その他)
が自分の頭で考えて「堂々と」答えているかのような印象を与えたいために、
事前に質問内容を提出させて、回答の準備を頭の良い官僚がします。記者から
突っ込んだ質問をされると、「事実関係にあやまりがあるといけないから」と
か「詳しい説明をさせるため」とか言って、官僚に答弁させ、とりつくろいま
す。

 米国など、民主主義が行き渡っている国においては、事前に出した質問事項
以外の質問をしてはいけないとかいうことはなく、自分がした質問に対する回
答が不十分だったら「再質問」をするのは当たり前のことです。

 記者会見の時間は3時間はほしいところですが、日本で行われる記者会見は
長くても2時間(短くしたい意図がある場合は1時間)しか時間が確保されま
せん。時間を限る言い訳としては、しばしば「会場」の関係で2時間しか借り
られなかったという弁解が使われますが、3、4時間使える会場を探すことは
難しくないはずです。

 10月2日に行われた「ジャニーズ事務所」(東山社長+井ノ原副社長)による
記者会見では、司会進行を行った米国の広告会社が「質問を受け付けない人物
のNGリスト」及び、「優先的にあてる人物のリスト」を事前に作成していたこ
とが暴露され、炎上しています。

 しかし、政府や官公庁の記者会見のほうがもっとひどい状態です。記者会見
の当日に、司会者が誰を指名し、誰を指名しないようにするかは、政府や多く
の官公庁で「慣例」になっていると言っても言い過ぎではないだろうと思われ
ます。

 アメリカ人などはディベイトの訓練をよくしているので、事前準備をしてい
ない質問をされても慌てる人はそれほど多くないようですが、日本では自分の
頭で考えて、自分の考えを積極的に発言する訓練はほとんど行っていません。
意見をしっかり言い合った後に「協調的であること」はとても良いことですが、
周囲を見渡して、「自分の意見を言うのはやめておこう」という「協調性」は、
最悪のもの(戦争誘発)になる可能性さえあります。(松下彰良)


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■編集・発行:(松下彰良/まつした・あきよし)
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