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バートランド・ラッセルのポータルサイト

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「(週刊)バートランド・ラッセル(1872.5.18-1970.2.2)に関するメール・マガジン」
  no.0852_2023/09/23 (2006/12/21 創刊/毎週土曜 or 日曜日 発行)

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    ■ 目 次 ■
          
 1.ラッセルの著書及び発言等からの引用
 2.ラッセルに関する記述や発言等
  編集後記

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 1.ラッセルの著書や発言等から
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■「ラッセルの英語」n.2517~2520  を発行しました。
  (1)「ラッセル英単語」は、今週は準備の都合でお休み
  (2)「ラッセルの英文」は、n.2517~2520 
 
 1つだけ再掲します。

■■  ラッセルの英語(2) n2516 ラッセルの英文

 ( Unpopular Essays, 1950 から)

 「人類に害を与えてきた思想」n.13

 男性の(女性に対する)優越性の信念は,今では公的には西洋諸国で死に絶え
ている(消滅してい)るが,それは高慢(うぬぼれ)という罪の好奇心をそそ
る(興味深い)一例である。男性がより優れた筋肉をもつこと以外には,男性
が生まれつきに何らかの優越性をもっていると信じる理由はまったくない,と
私は考える。私はかつて多数の血統証付き(系図付き)の牡牛を飼っていると
ころへいった時のことを記憶しているが,その牡牛を有名にしたのは,その牝
(めす)の系統(注:母方)の祖先がいちじるしい授乳能力(milk-giving 
qualities 乳を与える優秀さ)をもつことであった。もしも牡牛たちが(自ら)
系図をつくっていたとすれば,それは非常に違ったものになっていたことであ
ろう。牝(めす)の祖先についてはおとなしくて有徳であったということ以外
にはなにも書かれず,しかるに,牡(おす)の祖先たちは戦闘能力に優れてい
たと讃えられるであろう。牛の場合には,我々は両性の相対的長所について,
公平な見方ができるが,我々自身の種(人間)については,それがずっと困難
だということがわかる。昔は,男性の優越性は簡単に証明された。なぜなら,
もし女性が自分の夫の優越性を疑ったならば,夫は妻をなぐることができたか
らである。このような点における優越性から,他の点における優越性もまた当
然でてくると考えられた。男は女より理性的であり,より発明の才をもち,感
情に動かされることがより少ない,などということになる。解剖学者たちは,
女性が選挙権を獲得するまで,男性の知的能力は女性の知的能力に勝ることを
示そうとして,大脳の研究から種々の巧妙な議論を展開していた。それらの議
論は次々に誤りであることが証明されていったが,いつも同種の(男の方がす
ぐれているという)結論がひきだされる新らしい論拠が出されるのであった。
たとえば男の胎児(fetus)は,生後6週間に魂を獲得するが,女性胎児は3
ケ月後に(ようやく)魂を獲得する,と考えられたものである。この意見もま
た,女性が投票権を得てからは,捨て去られてしまった。(中世の哲学者)
トマス・アクィナスは,まったく明白なことのように,男は女よりも理性的で
ある,と挿入句の中で述べている。私自身は,その証拠をまったく見つけられ
ない。ある少数の個人は,ある種の若干の方向に合理性のかすかなひらめきを
もっているが,私が観察する限り,そのようなひらめきは女性よりも男性の方
により広範にみられることはまったくない。
The belief in the superiority of the male sex, which has now officially
 died out in Western nations, is a curious example of the sin of pride.
There was, I think, never any reason to believe in any innate 
superiority of the male, except his superior muscle. I remember once 
going to a place where they kept a number of pedigree bulls, and what
 made a bull illustrious was the milk-giving qualities of his female 
ancestors. But if bulls had drawn up the pedigrees they would have been
 very different. Nothing would have been said about the female 
ancestors, except that they were docile and virtuous, whereas the male
 ancestors would have been celebrated for their supremacy in battle.
In the case of cattle we can take a disinterested view of the relative
 merits of the sexes, but in the case of our own species we find this
 more difficult. Male superiority in former days was easily 
demonstrated, because if a woman questioned her husband’s he could
 beat her. From superiority in this respect others were thought to 
follow. Men were more reasonable than women, more inventive, less 
swayed by their emotions, and so on. Anatomists, until the women had
 the vote, developed a number of ingenious arguments from the study of
 the brain to show that men’s intellectual capacities must be greater
 than women’s. Each of these arguments in turn was proved to be 
fallacious, but it always gave place to another from which the same
 conclusion would follow. It used to be held that the male fetus 
acquires a soul after six weeks, but the female only after three 
months. This opinion also has been abandoned since women have had the
 vote. Thomas Aquinas states parenthetically, as something entirely
 obvious, that men are more rational than women. For my part, I see no
 evidence of this. Some few individuals have some slight glimmerings 
of rationality in some directions, but so far as my observations go, 
such glimmerings are no commoner among men than among women.
  Source: Bertrand Russell: Ideas That Have Harmed Mankind,1946 
  Reprinted in: Unpopular Essays, 1950
  More info.: https://russell-j.com/beginner/0861HARM-130.HTM

   Source: Ideas That Have Harmed Mankind,1946
     Reprinted in: Unpopular Essays, 1950, chapter 1
  More info.: https://russell-j.com/beginner/0861HARM-100.HTM


■「ラッセルの言葉366_画像版」
 日本語 version : n.2512j-2518j を投稿
 英 語 version : n.2512e-2518e を投稿

 1つだけ再録します。n.2516j (Sept. 21, 2023)

 「倫理的知識なんてあるのか?」

 しかし、感情や欲求が、倫理学上基本的に重要なものであると認められたと
しても、倫理的知識というようなものが果たしてあるかどうかという問題は、
依然として残る。 「汝殺すなかれ」は命令法であるが、しかし 「殺人は悪い
ことだ」は直説法であり、真あるいは偽である何ごとかを述べているように見
える。「全ての人が幸福でありますように」は祈願法であるが、「幸福はよい
ことだ」は、「ソクラテスは死ぬものだ」と文法的には全く同じ形式をもって
いる。この文法的形式が誤解を招くのか、それとも倫理学に(も)科学と同様に
真や偽があるのか? ・・・。
 これは難しい問題であって、単純に答えられるとは私は考えない。

But when the fundamental ethical importance of feeling and desire has
 been admitted, it still remains a question whether there is such a 
thing as ethical knowledge, ''Thou shalt not kill' is imperative, but
 "murder is wicked'' seems to be indicative, and to state something
 true or false. "Would that all men were happy" is optative, but 
"happiness is good" has the same grammatical form as "Socrates is 
mortal". Is this grammatical form misleading, or is there truth and 
falsehood in ethics as in science? ...
This question is not an easy one, and I do not think that any simple
 answer is possible.
 Source: Bertrand Russell: Human Society in Ethics and Politics, 
(1954), chapter 1
More info.:https://russell-j.com/cool/47T-0102.htm

<寸言>
 もしも、倫理的な文(陳述)にも真あるいは偽があるのであれば、何が善く
て何が悪いかという問題も倫理的な文(陳述)の真偽判定さえうまく行うこと
ができれば、倫理的な問題の多くのことが解決するはずです。
 しかし、実際はそのようにして問題を解決できません。
 自分(達)の正しさを確信している場合は、「どうしてこんな単純なことが
わからないのか!」と、あたかも事実認識の問題であるかのように感じがちで
すが、実際は、感情や情緒が支配していて、倫理的な問題は、科学とは異なる
倫理学の手法によって問題を仕分ける/取り組む必要があります。
 そうは言っても、実際、何から取り組んでいけばよいかということで、ラッ
セルは多方面から以後、考察していきます。 

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(2) ラッセルに関する記述や発言等 
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 今回もお休み

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 編集後記 保守派が便利使いした"杉田水脈"がお荷物化
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 杉田水脈氏は、不適切な発言を繰り返しているにもかかわらず、保守層の
「熱い」支持のため、国会議員として長く生き延びてきました。しかし、
その立場も少しぐらつき始めたようです。

 杉田水脈の差別発言・不適切は具現は、これまで、新聞・雑誌・TV・ネット
等で、何度も報道されてきました。主な差別的発言としては以下のようなもの
があげられています。本当にこんなことを言ったのかと、疑ってしまうような
ものばかりです。安倍総理(当時)が杉田氏を気に入っていたことが彼女を増
長させるのに一番影響したように思われます。

・「男女平等は絶対に実現しない。半道徳の妄想だ」(2014年衆議院本会議)
・「チマ・チョゴリやアイヌの民族衣装のコスプレおばさん」(2016年)
  → 「国連の会議室では小汚い格好に加え、チマチョゴリやアイヌの民族
    衣装のコスプレおばさんまで登場。完全に品格に問題があります」
     と自分のブログに投稿。
・「LGBTには(子供を産まないので)生産性がない」(2018年『月刊Will』
   への寄稿)
 ・「女性はいくらでも嘘をつける」(2020年、自民党本部での会議))

 杉田氏の不適切発言を知りながら、杉田氏を2020年に総務政務官に起用した
岸田総理の人権感覚も信じられないですが、安倍派からの推薦を断れなかった
だけだろうと思われます。

 しかし、安倍晋三なき今、自民党で杉田氏を積極的に擁護する者はしだいに
少なくなり、今ではネット右翼の人達だけが変わらぬ支持を保っているだけの
ようです。

 そうして、今頃になって、過去のアイヌの人達に対する不適切発言が、札幌
法務局によって「人権侵犯」と認定されてしまいました。いわば、古傷が化膿
しだしたしだいです。

 それにしても、岸田総理は任命責任をとるというのは、「任命責任はある」
ということであり、そう言えば、過去のものになると思っていうようです。
                            (松下彰良)

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■編集・発行:(松下彰良/まつした・あきよし)
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