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「(週刊)バートランド・ラッセル(1872.5.18-1970.2.2)に関するメール・マガジン」
  no.0840_2023/07/01 (2006/12/21 創刊/毎週土曜 or 日曜日 発行)

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    ■ 目 次 ■
          
 1.ラッセルの著書及び発言等からの引用
 2.ラッセルに関する記述や発言等
  編集後記

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 1.ラッセルの著書や発言等から
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■「ラッセルの英語」n.2459~2463  を発行しました。
  (1)「ラッセル英単語」は、n.2454,2456,2458
  (2)「ラッセルの英文」は、n.2455, 2457
 
 それぞれ1つづつ再掲します。

■ ラッセルの英語 (1) n2461 R英単語/英熟語  

★ single out ; single ~ out【(一つを;少数を)~を選び出す】

* single (vt): (一つを;一人を)選り抜く;選抜する | (vi) 単打(シン
グルヒット)を放つ


1.ラッセルの用例

I mean by an undemocratic ethic one which singles out a certain 
portion of mankind and says "these men are to enjoy the good things,
 and the rest are merely to minister to them."
[私の言う非民主的倫理というのは,人類の一部を選び出し,「これらの人々
は良きものを楽しむべきであり,他の人々はただ彼らに奉仕すべきである
(minisiter to 役に立つべき)」と言うような倫理のことである。]
 出典:ラッセル『権力』第17章「権力の倫理学」
     https://russell-j.com/beginner/POWER17_120.HTM

There is no reason to single out one percipient as seeing the thing as
 it is.
[事物をあるがままに見ている知覚者を(誰か)一人選びだす(ことができる)
根拠はまったく存在していない(そんな知覚者は存在しない)。]
 出典:ラッセル『私の哲学の発展』第9章「外界」
     https://russell-j.com/beginner/BR_MPD_09-030.HTM

For no very good reason, three of these principles have been singled 
out by tradition under the name of 'Laws of Thought'.
[あまり十分な理由なしに、伝統的に(以下の)3つの原理が「思考の法則」
の名のもとに選び出されてきた。]
 出典:Bertrand Russell: The Problems of Philosophy, chapter VII: On
 Our Knowledge of General Principle
     https://russell-j.com/beginner/BR_MPD_09-030.HTM


2.参考例

He was singled out for promotion.
[彼は抜擢されて昇進した。]
 出典:『解体英熟語 改訂第2版』p.466

It is difficult to single out one particular reason for today's 
recession.
[現在の不景気のこれといった理由を一つだけ選び出すのは困難だ。]
 出典:『新版 完全征服データベース5500 合格 英単語・熟語』p.330

They were all to blame; why single him out for punishment?
 出典: Longman Dictionary of Contemporary English, new ed.

If you single someone out from a group, you choose them and give them
 special attention of treatment.
 出典: Collins COBUILD English Dictionary for Advanced Learner's, new
 ed


■ ラッセルの英語(2) n2462 ラッセルの英文

 ( Unpopular Essays, 1950 から)
 「知的戯言の概要」(1943年発表)」n.49

 ある種の独断論を免れるよい方法は、自分自身が属する社会集団とは異なる
社会集団(social circles)によって支持されている意見を知るようになる
(become aware of 気づく)ことである。私は若い頃、フランス、ドイツ、イ
タリア及び、アメリカ合衆国(など)、国外での暮らすことが多かった。私は
このことは(英国の)島国根性の強さを軽減するにはとても有益であることが
わかった。もしあなたが旅行することができないならば、意見の一致しな人々
を探しなさい。(また)あなた自身の支持政党でない政党に属する新聞を読み
なさい。もし、それらの人々や新聞が気が狂っていて、ひねくれていて
(perverse)、そして不道徳である(wicked 邪悪である)と思われるなら、
あなたも、彼らからはそう思われるのだということを自分に言い聞かせなさい
(remind yourself)。 この意見にかんしては両方の側が正しいのかもしれな
い。 しかし、両方がまちがっていることはありえない。こうした反省はある
種の警戒心を生み出すはずである。

 けれども、外国の慣習を知るようになることは、 常に有益な効果(effect 
結果/影響)をもつとは限らない。 17世紀に満州人(the Manchus)が中国を征
服した時、] 中国人の間では女性が小さな足をもつこと(纏足 てんそく)が、
また満州人の間では男性が辮髪(べんぱつ)にすること(wear pigtails)が
慣習となっていた。各々がそれぞれの愚かな慣習をたちきるかわりに、お互い
に相手の愚かな慣習をとりいれ、中国人は、1911年の革命において満洲人の支
配をふりきるまで、 辮髪を続けた(のである)。

Outline of Intellectual Rubbish (1943), n.49

A good way of ridding yourself of certain kinds of dogmatism is to 
become aware of opinions held in social circles different from your 
own. When I was young, I lived much outside my own country in France,
 Germany, Italy, and the United States. I found this very profitable 
in diminishing the intensity of insular prejudice. If you cannot 
travel, seek out people with whom you disagree, and read a newspaper
 belonging to a party that is not yours. If the people and the
 newspaper seem mad, perverse, and wicked, remind yourself that you
 seem so to them. In this opinion both parties may be right, but they
 cannot both be wrong. This reflection should generate a certain 
caution.

Becoming aware of foreign customs, however, does not always have a 
beneficial effect. In the seventeenth century, when the Manchus 
conquered China, it was the custom among the Chinese for the women to
 have small feet, and among the Manchus for the men to wear pigtails.
 Instead of each dropping their own foolish custom, they each adopted
 the foolish custom of the other, and the Chinese continued to wear
 pigtails until they shook off the dominion of the Manchus in the 
revolution of 1911.
 Source: Outline of Intellectual Rubbish (1943)
     Reprinted in: Unpopular Essays, 1950
  More info.: https://russell-j.com/cool/UE_07-490.HTM


■「ラッセルの言葉366_画像版」
 日本語 version : n.2428j-2434j を投稿
 英 語 version : n.2428e-2434e を投稿

 1つだけ再録します。 n.2428j (June 25, 2023)

 「」

 もしあなた自身の意見に反するある意見があなたを立腹させるとしたら、そ
れはあなたがそのように考える十分な理由を持っていないことをあなたは無意
識のうちに気づいている印(兆候)である。・・・。それゆえ、あなたが意見
の相違に怒りを抱いているのがわかった時にはいつも、用心しなさい。多分、
吟味してみれば、あなたの信念が、証拠の保証する以上にまで進みつつあるこ
とに気づくであろう。

If an opinion contrary to your own makes you angry, that is a sign 
that you are subconsciously aware of having no good reason for 
thinking as you do. ... So whenever you find yourself getting angry 
about a difference of opinion, be on your guard; you will probably 
find, on examination, that your belief is going beyond what the 
evidence warrants.
Source: Outline of Intellectual Rubbish (1943)
Reprinted in: Unpopular Essays, 1950
More info.:https://russell-j.com/cool/UE_07-480.HTM

<寸言>
 相手の意見が間違っていることを、論理的にわかりやすく説明し説得できる
自信がある場合には、怒りはすぐには湧いてこないはずです。しかし、普段、
論理的に考える習慣のない人は、議論を戦わせて相手を説得するという作業は
めんどくさく思い、自分に力(権力や権限)がある場合は、相手の意見を無視
しがちです。
 安定多数を維持している与党(政権)は、選挙の時は国民に対し低姿勢にな
ります。しかし、総選挙が数年先の場合には、「今のうちに多数の法案を通し
てしまおう」と、議論は最小限にして、多数決でどんどん法案を通過させてし
まいます。多少強引で国民の不興を買っても、次の総選挙まで覚えている国民
はほとんどいません。そうして、選挙が近づけば、与党は国民に金(給付金や
補助金)をばらまく政策をとれば、そちらに関心をもってもらえるという魂胆
です。選挙は通常与党が有利である理由がよくわかります。 

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(2) ラッセルに関する記述や発言等 
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 今回もお休み

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 編集後記  森本あんり『反知性主義-アメリカが生んだ「熱病」の正体』
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 トランプや共和党の保守層にみられる「反知性主義」に興味を持っていたの
で、森本あんり『反知性主義-アメリカが生んだ「熱病」の正体』(新潮選書)
を通読してみました。
(森本あんり氏は、日本の神学者・牧師・国際基督教大学名誉教授で、2022
 年4月から東京女子大学の第17代目学長をされているそうです。)

 この本の最初の方に「反知性主義」の意味するところが簡潔に書かれていま
す。私も「反知性主義」を少し誤解していたかも知れません。「反知性主義」
は「反」「知性」ではなく、「反」「知性主義」とのことです。

 独立宣言によく表れているように、米国は「自由」だけでなく、「平等」の
国です。英国から米国に移住した人達は、英国における身分制度(貴族制度)
を忌み嫌っていました。中央政府による統制を嫌う人達ですので、米国は連邦
制を採用しました。

 米国のもう一つの大きな特徴は「米国は宗教(キリスト教)国家」だという
ことです。米中西部から南東部のバイブル・ベルト(聖書地帯)には多くの熱
心なキリスト教徒がおり、驚くべきことに進化論を信じていない人も多く暮ら
しています。キリスト原理主義者や福音派の人が多いわけですので、中絶禁止
を支持する人が多いのも理解できます。

 裏表紙には次のように書かれています。興味のある方には一読をお薦めしま
す。
 「民主主義の破壊者か。 あるいは平等主義の伝道者か。

  アメリカではなぜ反インテリの風潮が強いのか。 なぜキリスト教が異様
  に盛んなのか。なぜビジネスマンが自己啓発に熱心なのか。なぜ政治が極
  端な道徳主義に走るのか。そのすべての謎を解く鍵は、アメリカで変質し
  たキリスト教が生みだした「反知性主義」にあった。 いま世界でもっと
  も危険なイデオロギーの意外な正体を 歴史的視点から鮮やかに描く。」
                            (松下彰良)

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■編集・発行:(松下彰良/まつした・あきよし)
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