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「(週刊)バートランド・ラッセル(1872.5.18-1970.2.2)に関するメール・マガジン」
  no.0822_2023/02/18 (2006/12/21 創刊/毎週土曜 or 日曜日 発行)

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    ■ 目 次 ■
          
 1.ラッセルの著書及び発言等からの引用
 2.ラッセルに関する記述や発言等
  編集後記

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 1.ラッセルの著書や発言等から
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■「ラッセルの英語」n.2368~2372  を発行しました。
  (1)「ラッセル英単語」は、n.2368,2370,2372
  (2)「ラッセルの英文」は、n.2369, 2371
 
 それぞれ1つづつ再掲します。

■ ラッセルの英語 (1) n2372 R英単語/英熟語  

★ bring A home to B = bring home to B A【Aに~Bをよくわからせる、痛感
させる、自分のこととして実感させる】


1.ラッセルの著作から

It is clear that nothing further is heeded in the way of positive 
education except to bring home to the child the fact that people and
 animals can feel pain, and do feel it under certain circumstances.
[人間も動物も,苦痛を感じることができ,また,一定の状況下では苦痛を感
じるという事実を,子供によく実感させる以外に,積極的な教育法として心に
留めておくべきことはまったくないことは明らかである。]
 出典:ラッセル『教育論』第二部_性格の教育_第11章「愛情と同情」
     https://russell-j.com/beginner/OE11-110.HTM

But many men, owing to confused thinking, can act under the direction
 of bad passions without any realization that they are doing so, and
 when, by purely intellectual means, this realization is brought home
 to them, they can often be induced to act in a manner which is less
 harsh and less apt to promote strife.
[しかし、多くの者は混乱した思考によって、自己のやっていることを理解し
ないで,悪しき感情に従って行動することが可能であるが、純粋に知的な手段
でこのことがよく理解(認識)されれば、彼らはしばしば、より荒っぽくなく,
より闘争を助長しがちでないやり方で行動するように人々を導くことが可能で
ある。]
 出典:ラッセル「明晰な思考のための弁明」
     https://russell-j.com/beginner/0868_PfCT-070.HTM


2.参考例

The sight of the ruins brought home to him the meaning of war.
[その廃墟の光景は、彼に戦争の意味を痛感させた。]
 出典:『知識と文脈で深める上級英単語 LOGOPHILIAロゴフィリア』p.44

My three years' experience overseas brought home to me the importance
 of intercultural exchanges.
[3年間の海外経験は異文化交流の重要性を私に痛感させた8私は痛感した)。]
 出典:『鉄緑会 東大英単語熟語 鉄壁』p.476

Television pictures brought home to us the full horror of the attack.
 出典:Oxford Advanced Learner's Dictionary, 8th ed.]

To bring something to home means to make them understand how important
 or serious it is.
 出典:Collins COBUILD English Dictionary for Advanced Learners, new
 ed.


■ ラッセルの英語(2) n2371 ラッセルの英文

 ( Unpopular Essays, 1950 から)
 「知的戯言の概要}n.13

 「神の御前に」( in the sight of God 神の眼前で)という文句は私を当
惑させる。人は、神はあらゆるものを見ていると想像するであろう。しかし、
これはどうやら(apparently 見たところ;一見したところ)誤っているよう
である。(たとえば)神はレノ(訳注:アメリカのネバダ州の都市で、簡単に
離婚ができることで有名)を見ていない。というのは、神が見ているところで
はあなたは離婚することができないからである(注:レノにおいても見ている
のなら神が許すはずはないではないか)。登記所(Registry offices )という
のはおかしなところである。 公然と罪をおかして生きているような人を(決っ
して)訪ねようとはしないだろう尊敬すべき人々が、(宗教的儀式を行わない
で)登記所に届けるだけの略式結婚(a civil marriage)しかしていない人々
を喜んで訪ねていることに私は気がついている。従って、どうやら、神は登記
所をみているようである。(← この理屈が今一つわかりませんが・・・?)

 著名人のなかには、カソリック教会の教義でさえ性の問題に関してはなげか
わしいほど緩い(lax だらしがない)と考える者がいる。 トルストイやマハ
トマ・ガンジーは、高齢になってから、性交は全て、結婚していて子供を生む
目的としたものであってさえ、邪悪であると規定した(laid it down)。マニ
教徒(注:精神を善、肉体を悪とする二元論を信仰)も同様に考え、人間の生
来の罪深さに頼り、絶えず新しい信徒の群を供給した(のである)。けれども
、この教義は異端である。ただし、結婚は独身と同様、称賛に値すると主張す
ることも等しく異端である。トルストイは、タバコ(シガレット)は、ほとんど
性同様に悪だ、と考える。彼のある小説のなかで、殺人のことを思い巡らして
いるある男が、殺人に必要な狂暴さを生み出すために、まず一本のタバコ(シ
ガレット)吸う。けれども、タバコは、サムエル・バトラー(Samuel Butler 
1612-)が指摘しているように、 聖書(経典)のなかでは禁止されてはいない。
サムエル・バトラーが指摘しているように、もし聖パウロがタバコを知ってい
たなら、きっと疑いもなく彼はそれを公然と非難したに違いない。 教会も、
それから現代の世論も、愛撫(ペッティング)を、もしそれがある一定の線で
留まるならば非難しない、というのは不思議である(奇妙である)。どの線か
ら罪になるのかという問題については、決疑論者(casuist)によって意見が
異なる。ある著名な正統派カソリックの神学者は、もし邪悪な意図がなければ
贖罪司祭(a confessor)が修道女の胸を愛撫してもよいと規定した。しかし、
現代の教会当局がこの点でその神学者の意見に賛成するかどうかは疑わしい。

Outline of Intellectual Rubbish (1943), n.13

The phrase "in the sight of God" puzzles me. One would suppose that God
 sees everything, but apparently this is a mistake. He does not see 
Reno, for you cannot be divorced in the sight of God. Registry offices
 are a doubtful point. I notice that respectable people, who would not
 call on anybody who lives in open sin, are quite willing to call on 
people who have had only a civil marriage; so apparently God does see
 registry offices.

Some eminent men think even the doctrine of the Catholic Church 
deplorably lax where sex is concerned. Tolstoy and Mahatma Gandhi, in
 their old age, laid it down that all sexual intercourse is wicked, 
even in marriage and with a view to offspring. The Manicheans thought
 likewise, relying upon men's native sinfulness to supply them with a
 continually fresh crop of disciples. This doctrine, however, is 
heretical, though it is equally heretical to maintain that marriage is
 as praiseworthy as celibacy. Tolstoy thinks tobacco almost as bad as
 sex; in one of his novels, a man who is contemplating murder smokes
 a cigarette first in order to generate the necessary homicidal fury.
 Tobacco, however, is not prohibited in the Scriptures, though, as 
Samuel Butler points at, St. Paul would no doubt have denounced it if
 he had known of it.

It is odd that neither the Church nor modern public opinion condemns
petting, provided it stops short at a certain point. At what point sin
begins is a matter as to which casuists differ. One eminently orthodox
 Catholic divine laid it down that a confessor may fondle a nun's 
breasts, provided he does it without evil intent. But I doubt whether
 modern authorities would agree with him on this point.
 Source: Bertrand Russell : An Outline of Intellectual Rubbish, 1943
  Reprinted in: Unpopular Essays, 1950, chapter 7:
 More info.: http://www.ditext.com/russell/rubbish.html


■「ラッセルの言葉366_画像版」
 日本語 version : n.2295-2301j を投稿
 英 語 version : n.2295-2301e を投稿

 1つだけ再録します。  n.2298j ( Feb. 15, 2023)
         
 「恐怖(心)がもたらす悲惨な結果」

 知的にも、恐怖心は悲惨な結果をもたらす。異質な意見に対する恐怖心があ
り、それは隣人(身近な人)が愚かな意見を持っているような話題について人
がまっすぐに考えることを妨げる。次に、死の恐怖(死に対する恐怖心)があ
り、それは神学的なテーマについてまっすぐに考えることを妨げる。さらに、
自立(自分で決めて自分で責任を持つこと)に対する恐怖(心)があり、それ
は自分の判断を委ねることができる権威を求めるように仕向ける。このような
様々な形の恐怖(心)が、世の中の愚かさの約半分を占めている。

Intellectually, also, fear has disastrous results. There is the fear 
of any unusual opinion which prevents men from thinking straight on 
any subject on which their neighbors have foolish opinion. Then there
 is the fear of death, which prevents men from thinking straight on 
theological subjects; and then there is the fear of self-direction, 
which leads men to seek some authority to which they can submit their
 judgment. These various forms of fear are responsible for quite half
 the stupidity in the world.
Source: Bertrand Russell : On the Evils due to Fear, 1929
 Reprinted in: If I were a Preacher(London, Cassell, 1929), pp.219?-
230.

<寸言>
 人間の恐怖心には高所恐怖症のように合理的なものと、地獄に対する恐怖の
ように非合理的なものがあります。
 そうして、人間の恐怖心から様々な不幸な事柄が生まれます。
 どの国の政府も宗教団体も、国民がそういった恐怖心を抱いて国(政府)や
宗教団体等に頼ることを利用することがけっこうあります。「◯◯に侵略され
るかも知れない」「原発を最大限利用しないとエネルギー代がどんどんあがっ
てしまう」「老後の余裕資金は3000万円ないとまともな暮らしはできない」
「◯◯を信じないと地獄に落ちる」・・・。
 正しく恐れ、そういった事態にそなえる必要はありますが、政府や政治家や
様々な権力者に頼るだけで自分の頭ではほとんど考えないようでは、実際に不
測の事態が起こった時には、ひどい目にあい、後悔することになりそうです。

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(2) ラッセルに関する記述や発言等 
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 バートランド・ラッセル落穂拾い 2023

 山本義彦(編)『清沢洌評論集』(岩波文庫、2002年9月刊)
 清沢洌(きよさわ・きよし,1890年2月8日-1945年):ジャーナリスト、評論家

現代語訳 暗黒日記 昭和十七年十二月~昭和二十年五月 [ 清沢 洌 ]

楽天で購入


 清沢洌は太平洋戦争下における日記である『暗黒日記』で有名です。以下は
、『清沢洌評論集』pp.177-195(=『非常日本への直言』(1933年2月刊)から
の抜粋)の中で、息子の質問「・・・じやあ、あの人(中国人)と戦争するん
ですね」に答えたなかで、バートランド・ラッセルについてふれている部分で
す。

(pp.178-179)[『清沢洌評論集』pp.177-195の一部]

 親父がジャーナリストだから、この子も時代の空気を嗅ぐことは早い、と笑
ってしまうのには、お前の疑問はあまりにお父さんの神経を刺激したんだ。

「この空気と教育の中に、真白なお前の頭脳を突き出さねばならんのか」

 お父さんは、お前の教育について始めて真剣に考えたよ。それと同時に、思
わずバー トランド・ラッセルのことを想い出したんだ。かれの教育に関する
著書の中に、かれの息子が教育期に達して、その教育問題に直面するようにな
ってから、始めて真剣に教育のことを考え、その思索の結果がその著だという
意味のことを書いてあった。 そして の後、かれは夫人とともに少年のための
学校を経営するようになったはずだ。
 ラッセルとお前のお父さんに、 天分の相違がどれだけあったところが、子
供に対する 責任を感ずる点において相違があるものじゃない。お父さんも、
今朝、今更ながら人間 を偏に(ひとえに)敵と味方に分ける現代の教育に、
お前を託さねばならぬことにいい知れぬ不安を覚えたのだ。壁にかかっている
写真は、みんなお父さんの先輩や友達なんだ。 比較的に世界を旅行したから
、人の写真もあれば、アメリカの人の写真もあり、またお前が見つけ出したよ
うに、支那人の写真もある。 しかしこれはお父さんのお友達なんだよ。お父
さんのお友達が、たまたま支那人であったり、アメリカ人であるが故に、 お
前の家をタンク(注:戦車)で撃つということがあるもんですか。 

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 編集後記 安倍元総理の亡霊の呪縛かあるいは利用しているだけか?
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 自民党のなかでの権力基盤が強くない岸田総理の、特に旧安倍派に対する
目配りは大変なもので、それによってなんとか政権を維持しているのか、そ
れともそれが足をひっぱってトンチンカンな対応をしているのか/言ってい
るのか、岸田総理が本当はどう思っているのか、今ひとつ明らかではありま
せん。

 アベノミクスを批判したり、ケチをつけたりすることは許されず、日銀総
裁の後任(予定)の植田氏も、アベノミクスは正しかった、量的緩和政策を
当面維持すると言わなければなりません。LGBT、選択的夫婦別姓、社会によ
る子育て支援ほか、古い家族制度を否定したり、「社会主義的な」政策(実
際は豊かな先進国・民主主義国がいずれもやっていること・やろうとしてい
ること)をとろうとしたりすれば、必ず、旧安倍派などの保守的あるいは右
翼的な議員から反対の声があがります。

 自民党所属の議員の多数は世襲議員であり、「既得権益を打破する!」と
言いながら、自分たちの「既得権益」を放棄することなく、温存しようとし
ています。そうでないとしたら、「世襲議員制限法案」でも出して、もっと
人物本位で国会議員を選出できるようにしたらどうでしょうか? たとえば、
米国のように、公開討論会を3回くらい義務つければ、「世襲馬鹿」で思考
力があるのかないか、明らかになるはずです。

 安倍元総理が自民党総裁選で勝利して最初に総理になった時のことを覚え
ているでしょうか? 総裁選は5人(石破氏も含む)で争いましたが、5人
とも世襲議員でした。マスコミ等で有名であれば世襲でなくても当選の可能
性がありますが、当選してからは、世襲議員のほうが有利となっています。
タレント議員の多くは広告塔として利用されることがほとんどであり、国会
議員の定員を1/3くらいへらしても影響がないという「有力な」根拠とな
っています。「国会居眠り禁止法案でもだしたら?(笑)  (松下彰良)

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■編集・発行:(松下彰良/まつした・あきよし)
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