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バートランド・ラッセルのポータルサイト

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「(週刊)バートランド・ラッセル(1872.5.18-1970.2.2)に関するメール・マガジン」
  no.0812_2022/12/03 (2006/12/21 創刊/毎週土曜 or 日曜日 発行)

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    ■ 目 次 ■
          
 1.ラッセルの著書及び発言等からの引用
 2.ラッセルに関する記述や発言等
  編集後記

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 1.ラッセルの著書や発言等から
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■「ラッセルの英語」n.2318~2322  を発行しました。
  (1)「ラッセル英単語」は、n.2318,2320, 2322
  (2)「ラッセルの英文」は、n.2319, 2321
 
 それぞれ1つづつ再掲します。

■ ラッセルの英語 (1) n2322 R英単語 

★ faction【(n) 派閥、党中の党;派閥争い、内紛】

1.ラッセルにおける用例

Such fanatical factions cannot meet in Parliament and say 'let us see 
which side has the majority'.
[そういった狂信的な党派(派閥)の人達は、議会に集まって「どちらの側が
多数派を占めるか(競い合って)やってみよう」というようなわけにはいかな
い。]
 出典:ラッセル『権力』第17章「権力の倫理学」
     https://russell-j.com/beginner/POWER18_320.HTM

It is scarcely possible to doubt that there is an element of 
unconscious insincerity in those who would prefer the end of Man to
 the victory of a faction which they dislike. a.
[自分達が嫌いな党派が勝利を得るくらいなら,人類の絶滅のほうがよい(より
好む)と考えている人達の心には,無意識ながらも,不誠実の要素がひそんでい
るのではないかと思わずにはいられない。]
 出典:ラッセル『権力』第18章「東西緊張の心理」
     https://russell-j.com/cool/east-west_conciliation.htm


2.参考例

The party has split into three factions.
[その政党は3つの派閥に分裂した。]
 出典:『知識と文脈で深める上級英単語 LOGOPHILIAロゴフィリア』p.85

He mediated a dispute between opposing congressional factions.
[彼は対立する議会の派閥間の論争を調停した。]
 出典:『究極の英単語 v.3 上級の3000語』p.254

There are various factions within the ruling regime.
[その支配体制の内部には様々な党派が存在している。]
 出典:『新版完全征服データベース5500 合格 英単語・熟語』p.304

A faction is an organized group of people within a larger group, which
 oppose some of the ideas of the larger group and fights for its own
 ideas.
 出典:COLLINS COBUILD English Dictionary for Advanced Learners, new
 ed


■ ラッセルの英語(2) ラッセルの英文

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  ラッセル『私の哲学の発展』の中のラッセルが執筆した部分は終了しまし
 た。巻末には、名著『バートランド・ラッセル-情熱の懐疑家』の執筆者と
 して有名な、オックスフォード大学の若きラッセル研究者アラン・ウッドの
 『ラッセルの哲学-その発展の一研究』が収録されています。たった20ペー
 ジだけですが、執筆の途中で若くして亡くなってしまいました。
  ラッセル哲学の紹介としては優れたものなので、訳出することにします。
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 アラン・ウッド「バートランド・ラッセルの哲学 I 概観と手引」13

 ラッセル自身がサンタヤーナを批評して言ったように、なめらかな文学的形
式は独創的な思想と両立することはめったになく、独創的な思想は - 少なく
ともその最初の表現においては- 「無骨な専門用語(uncouth jargon 特定の
業界内だけで理解される言葉)」で特徴づけられる傾向がある。 ラッセル自身
は「ぶざまな専門用語」をつ かうことがなかったことが注目される。しかし、
彼(ラッセル)の哲学は決して「単純」なものではなかった。*1 一人の哲学
者のいかなる研究も、(その哲学者を取り扱う)著者自身の見解(観点)を前
置きで述べるべきであり(まず述べるべきであり)、それによって読者が著者
の無意識の偏見を許容できるようにすることは、適切なことである。
*1 バートランド・ラッセル「ジョージ・サンタヤーナについて」

 私(本書の著者アラン・ウッド)は、気質から言うと、神秘主義的なベルク
ソン主義者(Bergsonian ベルグソン派)である。 私はラッセルの静的かつ分
析的な物の見方には満足できない。事実、ラッセルの哲学を研究するに当って
の私の主な目標は、 彼の出した結論を回避する何らかの方法を見出すことで
あった。 しかし、このことにおいて、これまでのところ、私は完全に失敗し
ている。 そうして、私は、他の誰かが、ラッセルの哲学に対して、知的誠実
さ持って受けれることができるような、何らかの回答を生み出しているとは信
じない。

 既に述べたように、ラッセルと一元論者達(monists)との間で、どのよう
な点が問題になっているのかについて、正確に確信することは困難である。ラ
ッセルも、ブラッドリーの主張、即ち、「私が実際に出発点にとったものはこ
れ(this)であり、その代りに分析によって私に残されたものは前とはちがっ
たもの(that)であるので、従って、少なくとも一部分は、分析の結果を私は拒
否せざるを得ない」*2というブラッドリーの主張に、異議を唱えることはほと
んどできなかった。「分析は虚偽の立証(falsification)を意味するか」と
いう問いに対しては、「もし我々が(分析によって)(自分が)何をしている
か知らない(わからない)のであれば「その通り」というのが唯一の正しい答
であると、私は信ずる。 (たとえば)物理学者は、もし水の電気分解を行っ
た後に、分析によってできたものからそれでもなお冷たい飲みものを得ること
ができると考えるのであれば、明らかに間違っている。 しかし、分析が、我
々(人間)の知識を増すための適切な方法であるという事実には変りはない
(remain 残り続ける)。 生きた生物体(生体)を解剖する生物学者は、解剖
されたものを集めて再びその生物体を元通りにする(元の生体にする)ことは
期待できないし、また何がその解剖後のものを生き返らせたり呼吸させたりす
るか発見することは期待できない(と私は信ずる)。しかし、医学における大
きな進歩の大部分は、人体につ いての唯物論的見方を作業仮説として受けい
れることから生じている。 たとえ、近年、一部の者が 唯物論的見解をそれだ
けで十分であると見なすことによって道に迷う(堕落する)傾向があるとして
もである(even though)。同様にして、ラッセルが知識を増加させる方法とし
て分析哲学を行けるところまで推し進めたことは正しかった、と私は信ずる。
(そうして)彼の場合は、現在達しうる極点(最も遠い地点)につき当ってい
るのであり、 倫理説に4いたった時、彼は自分の結論に正直なところ(really 
本当のところ)満足できなかったのである。

Summary and Introduction n.13

As Russell himself said in criticism of Santayana, a smooth literary
 form is rarely compatible with original ideas, which are more likely
 to be marked - at least in their first expression - by 'uncouth 
jargon'. Russell himself kept remarkably free from 'uncouth jargon'; 
but his philosophy was far from 'simple'.*1 It is right that any study
 of a philosopher should be prefaced by a statement of the author's 
own views, so that the reader can allow for any unconscious bias.
*1 B. R. on George Santayana
By temperament I am a mystic Bergsonian; I cannot be satisfied with 
the static analytic approach of Russell. In fact my main aim, in 
studying his philosophy, was to find some way of getting round his
 conclusions; but in this, so far, I have been completely 
unsuccessful; and I do not believe that anyone else has produced any
 answer to his philosophy which can be accepted with intellectual 
integrity.

As I have said, it is hard to be sure about exactly what point is at
 issue between Russell and the monists. Russell could hardly quarrel 
with Bradley's statement that 'Since what I start with in fact is this,
 and what analysis leaves to me instead is that - I therefore cannot
 but reject, at least in part, the result of analysis."*2 To the 
question 'Does analysis mean falsification?" I believe the only correct
 answer is 'Yes, if you don't know what you are doing." A physicist is
 obviously wrong if he thinks that, after carrying out the electrolysis
 of water, he can still get a cooling drink from the products of his 
analysis; but the fact remains that analysis is the proper method of
 increasing our knowledge of water. A physiologist who dissects a 
living body cannot expect to be able to put the body together again,
 or (I believe) to discover what makes the body live and breathe. But
 most major advances in medicine have come from accepting the
 materialistic view of the human body as a working hypothesis; even
 though some doctors in recent years have tended to go astray through
 regarding the materialistic view as sufficient in itself. In the same
 way, I believe that Russell was right, as a method of increasing 
nowledge, in pushing the philosophy of analysis as far as it will go;
 in his case he came up against its furthest present-day limits, and
 could not really feel satisfied with his conclusions, when he came
 to ethical theory.
*2 F. H. Bradley: Philosophy of Logic, p.693.
Source: My Philosophical Development, 1959, by Bertrand Russell.
 More info.:  https://russell-j.com/beginner/wood_br_summary-and-introduction_13.html

 
■「ラッセルの言葉366_画像版」
 日本語 version : n.2219-2224j を投稿
 英 語 version : n.2219-2224e を投稿

 1つだけ再録します。 n.2222j ( Dec. 01, 2022)
         
 「ガリバー旅行記は子供向けにあらず」

 ガリバー旅行記は -恨みを持った人間が書いた風刺の中で最も辛辣で破滅
的で完璧にブラックなもの(光明のないもの)なのに- 子供向けの娯楽作品と
みなされる不思議な宿命を背負ってきている。(天空の城)ラピュタ(ラピュ
ータ)の記述は、SFの初期の例である。...
 ラピュタは私に科学的恐怖の可能性を示し、いかに科学的であっても、それ
は恐怖であることに変わりはないと気づかせてくれた。忌まわしいものは、た
とえそれを作り上げるのに最大限の技術が必要だとしても、忌まわしいもので
ある。

Gulliver's Travels has had the curious fate of being regarded as one
 for the amusement of children, although it is the most biting and 
devastating and completely black of all the satires ever penned by 
embittered men. The account of Laputa is an early example of science
 fiction. ...
Laputa showed me the possibility of scientific horrors and made me 
realize that, however scientific, they remain horrors. Abominations
 are abominations even if the utmost skill is required to contrive 
them.
Source: Digust and Its Antidote. London Calling, n908((28 March 1957)
Reprinted in: Fact and Fiction, p.31
More info.: Not available

<寸言>
【2222件目(4桁のゾロ目!)の投稿です。】

 宮崎駿監督の「天空の城ラピュタ」をイメージすると誤解されそうです。
 スイフト『カリヴァー旅行記』の「ラピュータ」に関するWikipedia の記述
を少し引用しておきます。

「漂流中のガリヴァーを助けた巨大な「空飛ぶ島」ラピュータは、日本のはる
か東にある島国バルニバービの首都で国王の宮廷であり、底部のアダマントに
連結された巨大な天然磁石の磁力によって、磁鉄鉱の豊富なバルニバービ国の
領空を自在に移動することができる。★ラピュータの全市民は科学者である。
住民はみな常に科学について沈思黙考しているため、いつも上の空であり、時
々正気に戻りまともに道を歩いたり話したりするために、頭や目を叩く「叩き
役」を連れている。表向きは啓蒙的ながら、ラピュータ人の科学は、学問のた
めの学問に過ぎない。ここでスウィフトは、科学における啓蒙主義運動を批判
している。★ スウィフトは基本的に科学に反対してはいなかったが、科学は
人類に貢献すべきであるという見解に立っていた。」

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(2) ラッセルに関する記述や発言等 
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 今回もお休み

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 編集後記 人気タレントの渡辺徹の訃報 
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 昨日、人気タレントの渡辺徹(人気歌手の榊原郁恵の夫61歳)が「細菌性
の胃腸炎が悪化し敗血症で死亡」とのニュース(訃報)が流れ、ビックリし
ました。最高の治療を受けていたと思われ、61歳の「若さ」で死亡というの
は、最初は腑に落ちませんでした。

 偶然、ホリエモン(堀江貴文)が自分の YouTube チャネルで、渡辺徹は
糖尿病がひどく、人工透析も受けていたらしく、糖尿病が悪化するとどのよ
うになっていくか詳しく解説しており、納得しました。ホリエモンに対して
は、あまり良い印象はもっていませんが、まじめに解説している時は、さす
がに論理的に詳細に説明する能力を備えています。

 渡辺徹と榊原郁恵はおしどり夫婦として有名で、とても好印象をもってい
ましたので、陳腐な言い方ですが「惜しい人」を亡くしました。長生きする
と思っていた人が早く亡くなったり、長生きしそうにない人が長生きしたり
と、人間の寿命はよくわかりません。           (松下彰良)


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■編集・発行:(松下彰良/まつした・あきよし)
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