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「(週刊)バートランド・ラッセル(1872.5.18-1970.2.2)に関するメール・マガジン」
no.0811_2022/11/26 (2006/12/21 創刊/毎週土曜 or 日曜日 発行)
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■ 目 次 ■
1.ラッセルの著書及び発言等からの引用
2.ラッセルに関する記述や発言等
編集後記
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1.ラッセルの著書や発言等から
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■「ラッセルの英語」n.2313~2317 を発行しました。
(1)「ラッセル英単語」は、n.2313,2315, 2317
(2)「ラッセルの英文」は、n.2314, 2316
それぞれ1つづつ再掲します。
■ ラッセルの英語 (1) n2315 R英単語
★ enrage【(vt) 怒らせる、立腹させる】
* enraging (adj.):人を激怒させるような(← anger よりも強い怒り)
1.ラッセルの用例
This so enraged him that he killed every man, woman, and child in
Syracuse that was related to any soldier in the mutinous army. .
[これによって彼(アガソクレス)は怒りまくり,暴動に加わった軍隊に属する
兵士と少しでも関係のある,シラクサの老若男女を皆殺しにしてしまった。]
出典:ラッセル『権力』第6章「むきだしの権力」
https://russell-j.com/beginner/POWER06_160.HTM
It must be understood that, in the writings of the Fathers, "demons"
mean heathen deities, who were supposed to be enraged by the progress
of Christianity.
[教父たちの著作(の中)において,「悪魔」とはキリスト教の発展により怒
ったと思われる異教徒の神々(heathen deities)を意味していることを理解し
なければならない。]
出典:ラッセル『宗教と科学』第4章「悪魔研究と医学」
https://russell-j.com/beginner/RS1935_04-010.HTM
2.参考例
His reply was extremely enraging.
[彼の返答は極めて腹立たしいものだった。]
出典:『知識と文脈で深める上級英単語 LOGOPHILIAロゴフィリア』p.75
His insensitive sarcasm enraged his stepfather.
[彼の無神経な嫌味が継父を激怒させた。]
出典:『究極の英単語 v.3: 上級の3000語』p.405
I was enraged to find they had disobeyed my orders.
出典:Longman Dictionary of Contemporary English, new ed.
If you are enraged by something, it makes you extremely angry.
出典:Collins COBUILD English Dictionary for Advanced Learners, new
ed.
■ ラッセルの英語(2) ラッセルの英文
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ラッセル『私の哲学の発展』の中のラッセルが執筆した部分は終了しまし
た。巻末には、名著『バートランド・ラッセル-情熱の懐疑家』の執筆者と
して有名な、オックスフォード大学の若きラッセル研究者アラン・ウッドの
『ラッセルの哲学-その発展の一研究』が収録されています。たった20ペー
ジだけですが、執筆の途中で若くして亡くなってしまいました。
ラッセル哲学の紹介としては優れたものなので、訳出することにします。
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アラン・ウッド「バートランド・ラッセルの哲学 I 概観と手引」11
関係している事柄(そこに含まれるもの)は、美的な優雅さ(簡潔さ)への
愛とか、統一への愛とか、体系への愛とか深遠さ(profundity 奥深さ)とか
(「深遠さ」 という語にはいろいろな意味があるが、私が考える唯一の意味
において=真の意味での「深遠さ」?) 、多様に(様々に)記述可能であろう。
それは彼の非人間的かつ確実な真理へ情熱と、部分的には結びつき、部分的に
は敵対するものであった。そうして、まったく同様に(just as)達成不可能
なものであることがわかった(のである)。
(訳注:数学などで「elegant な解答と言う場合、「優雅」というよりも、
「簡潔で、洗練された」解答と言う意味になります。)
初期の論文の中で、彼は最も偉大な数学の著作において「統一と必然性は、
一つの劇の展開において感じられるのと同様に、感じられる(訳注:ひとつの
ドラマは全体的に統一性があり、起承転結の必然性が与えられている?)。体
系への愛、即ち相互連関への愛は(訳注:関連のないものの集まりではないこ
と)、恐らく、知的衝動の最も奥深いところにある本質であろう」*1と述べて
いる。しかし、後になって、彼は体系への愛は哲学における誠実な思考に対す
る最大の障害であるという結論にいたらざるをえなかった。(それは)丁度、
「確実性への要求は人間にとっては自然なものであるが、それにもかかわらず
それはやはり一つの知的悪徳である」という結論をくだしたのと同じである。
(訳注:真摯な真理の探究においては、人間の都合のよい結論を前提にしては
いけない、ということ)*2
彼は1931年に、(この)結論を、次のように最も極端な形で述べている。
「アカデミックな哲学者達は、パルメニデスの時代以来、(この)世界は一つ
の統合体だと信じて来た。 私の知的信念の最も根本的なものは、それ(注:
世界は一つの統合体であるという信念)は馬鹿げたもの(rubbish)だという
ことである。この宇宙は、飛び飛びの世界(?)(spots and jumps)であって
、統一もなく(注:一般相対性理論)、連続性もなく(注:量子力学的世界像)、
整合性その他の女教師が愛するような全ての特性をもたないものだと私は考え
る(訳注:ラッセルは幼い頃、女性の家庭教師達 governesses をつけられて
いたことに注意)。まったく、一つの世界があるという見解に賛成して言われ
ることは、ほとんど全ては(little but)偏見か(思考)習慣にすぎない・・
・*3」
外的世界(の存在)は幻想かも知れない。 しかし、もし外的世界が存在す
るとするならば、それは、短い、小さな、偶然(行き当たりばったり)の出来
事(事象)からなっている。秩序、統一、連続(性)は、人間の作為(つくり
あげたもの)であり、(人間が編集した)カタログや百科事典(の。秩序、統
一、連続(性))と全く同様である。*4」
こういった(文の)一節の真価を認める(理解する)ためには(to appreciate)
、それを、単純に、大多数の「アカデミックな哲学者」に対する全般的な攻撃
であると見なしてはならない。それは、ラッセル自身がかつて抱いた立場(主
張)に対する攻撃であった(のである)。そして、その立場は、知的に可能な
ものとして抱きたいと常に思っていたもの(立場)なのである。
*1 『神秘主義と論理』p.66, 『外界の知識』p.238参照
*2 『不評判なエッセイ集(反俗評論集)』p.42
*3 『科学の眼(科学的見方)』p.98
*4 『科学の眼(科学的見方)』p.101
Summary and Introduction n.11
What is involved might variously be described as love of aesthetic
elegance, love of unity, love of system, or profundity. (In the only
sense of the word 'profundity' which I think has any meaning.) It was
a passion partly connected with, and partly at variance with, his
passion for impersonal and certain truth. And it proved just as
impossible to attain.
In an early article he described how, in the greatest mathematical
works, 'unity and inevitability are felt as in the unfolding of a
drama.... The love of system, of interconnection ... is perhaps the
inmost essence of the intellectual impulse'.*1 He was later forced to
the conclusion that the love of system was the greatest barrier to
honest thinking in philosophy; just as he decided that 'the demand for
certainty is one which is natural to man, but is nevertheless an
intellectual vice'.*2
He put his conclusions in their most extreme form when he wrote in
1931:
'Academic philosophers, ever since the time of Parmenides, have
believed that the world is a unity. . . . The most fundamental of my
intellectual beliefs is that this is rubbish. I think the universe is
all spots and jumps, without unity, without continuity, without
coherence or orderliness or any of the other properties that
governesses love. Indeed, there is little but prejudice and habit to
be said for the view that there is a world at all. *3
"The external world may be an illusion, but if it exists, it consists
of events, short, small and haphazard. Order, unity, and continuity
are human inventions, just as truly as are catalogues and
encyclopaedias."*4
To appreciate the force of such a passage, it must not be regarded as
simply a sweeping attack on most 'academic philosophers'. It was an
attack on a position which Russell held himself; and one which he
always, in a sense, wanted to hold as intellectually possible.
*1 Mysticism and Logic, p.66, cf. Our Knowledge of the External World,
p.238
*2 Unpopular Essays, p.42
*3 Scientific Outlook, 98
*4 ibid., p.101
Source: My Philosophical Development, 1959, by Bertrand Russell.
More info.: https://russell-j.com/beginner/wood_br_summary-and-introduction_11.html
■「ラッセルの言葉366_画像版」
日本語 version : n.2211-2218j を投稿
英 語 version : n.2211-2218e を投稿
1つだけ再録します。 n.2216j ( Nov. 25, 2022)
「歴史は必然であるかのように描き・・・」
手紙や回顧録には、関係者が実際に生きていたことを理解できるようにする
非常に親密な詳細事が多く含まれているだけでなく、歴史家が「知っている」
ようには、それらの書き手が何がこれから起ころうとしているのか知らなかっ
たという利点がある.。歴史家は、起こったことを避けられないものとして書
きがちであり、従って、あたかも同時代の人々が来たるべき出来事を予測して
いたに違いないと思わせるように、書きがちである。結果を推測することしか
できず、しばしば間違って推測した(当時の)人々の過ちや困惑を見ると、あ
らゆることがよりずっといきいきとしたものになる。
Not only do they [letters and memoirs] contain much intimate detail
which makes it possible to realize that the men concerned really
lived, but there is the advantage that the writers did not know what
was going to happen, as the historians do. Historians are apt to
represent what occurred as inevitable, so that it comes to seem as
if contemporaries must have foreseen coming events. Everything becomes
much more vivid when one sees the mistakes and perplexities of those
who could only guess at the outcome, and often guessed wrong.
Source: How to Read and Understanding History; the past as the key to
the future.(Girard, kansas, Haldeman-Julius, 1943, 24 p. 22 cm.)
Repr. in: Understanding History, and Other Essays, 1957.
More info.:
<寸言>
これは「脚本家」の三谷幸喜への批判ではありません。(注:「鎌倉殿の13
人」の画像を添付しているための付言))
歴史家は「見てきたように嘘をつき」なんてことはありませんが、歴史解釈
には多くの間違いが含まれている可能性があるので要注意です。一般人の国家
に対する「嘘」は重罪になる可能性がありますが、政治家の「嘘」は政治その
ものだという皮肉を言う人がけっこういます(So, if we lie to the
government, it's a felony. But if they lie to us, it's politics.)。
なお、ラッセルはこのエッセイ(講演用原稿)を「歴史(書)を読む楽しみ」
という視点で書いています。決して、歴史家に対する批判のエッセイではあり
ません。念のため。
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(2) ラッセルに関する記述や発言等
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今回もお休み
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編集後記 FIFA ワールドカップ Quatar 大会の光と影
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先日の日本対ドイツ戦(FIFA ワールドカップ Quatar 大会)を私も見まし
た。私はテニスの国際試合は結構見ますが、サッカーや野球などは、話題にな
っている試合以外は普段は見ていません。(大谷選手が出場するMBAの試合は
そこそこ見ています。)
対ドイツ戦はとてもよい試合であり、見た甲斐がありました。明日(27日)
開催のコスタリカ戦もテレビで観戦する予定です。
しかし、純粋に楽しめない要素がこのカタール大会には多すぎるようです。
最初聞いた時は信じられませんでしたが、この大会を開催するための準備
として、カタールは30兆円以上のお金を投資しており、7つの?大会会場の
建設工事などで外国人労働者が約6500人ほどが死亡しているとのことです。
(開催準備には日本の企業グループがかなり関わっており、世界最大級の都市
鉄道プロジェクト「ドーハメトロ」は三菱重工業が全体を統括しているとのこ
とです。)
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2211/21/news063.html
カタールは、首長によるイスラム教徒の独裁国であり、男女差別や性差別
(LGBTQ差別)などを行っていることから、人権意識の強いヨーロッパでは批
判が多く、EU議会は11月24日に、カタールの人権状況を非難する決議を採択し
ています。
日本のマスコミ(TVなど)もカタールの人権問題を申し訳程度に報道してい
ますが、始まるや否や水をさしてはいけないと、そういった報道は控えている
ようです。
統一教会や政治資金等の問題で日頃野党やマスコミの批判を受け続けている
政府や自民党にとっては、国民がサッカーに熱狂してくれれば、自分達が非難
されることがそれだけ少なくなり、願ってもないことです。
ただし、通常なら政府への批判はそういったことが影響して沈静化していく
のがこれまでの常でしたが、統一教会の問題はそういうことにはなりそうもな
く、サッカー熱が終われば、また視線が注がれるはずです。 (松下彰良)
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■編集・発行:(松下彰良/まつした・あきよし)
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