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「(週刊)バートランド・ラッセル(1872.5.18-1970.2.2)に関するメール・マガジン」
  no.0810_2022/11/19 (2006/12/21 創刊/毎週土曜 or 日曜日 発行)

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    ■ 目 次 ■
          
 1.ラッセルの著書及び発言等からの引用
 2.ラッセルに関する記述や発言等
  編集後記

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 1.ラッセルの著書や発言等から
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■「ラッセルの英語」n.2308~2312  を発行しました。
  (1)「ラッセル英単語」は、n.2308,2310, 2312
  (2)「ラッセルの英文」は、n.2309, 2311
 
 それぞれ1つづつ再掲します。

■ ラッセルの英語 (1) n2312 R英単語 

★ rebut【(vt) しりぞける、はねつける;(法)反駁する、反証をあげる】

* 特に司法関係で使われる単語
* rebuttal (n):反証、反駁
* rebutting evidence 反証


1.ラッセルの著書より

It was the custom in academic circles to dismiss all critics of Kant 
as persons who had failed to understand him, and in rebutting this 
criticism it was an advantage to have once agreed with him.
[カントを批判する者はすべて,カントを理解し損ねたものとして簡単に片付け
てしまうのが,当時の学界(英国哲学会/学者仲間)の慣例であった。また,こ
うした批判に反駁をあびせるにあたって,私が以前カントに賛成していたこと
があるということ(事実)は,'何かと好都合'であった。]
 出典:ラッセル『自伝』第1巻第5章「初婚」
     https://russell-j.com/beginner/AB15-120.HTM

When he was worried by accusations of immorality or infidelity, he 
would write somewhat second-rate stories designed to rebut such 
charges, such as The Soul of a Bishop or the story of the husband and
 wife who are beginning to quarrel and, to stop this process, spend 
the winter in Labrador and are reconciled by a common fight against a
 bear. .
[彼(H. G. Wells)は、不道徳や不信心の非難によって悩まされた時には,そ
のような非難に反駁することを目的としたやや二流の物語をよく書いた。たと
えば,『ある(カトリック)司教の魂』や,夫婦喧嘩を始め,それをやめるた
めにラブラドール地方(注:Labrador カナダの大西洋岸にある地域のこと?)
で冬を過ごし,熊との共同の戦いによって和解する夫婦の物語のようなもので
ある。]
 出典:ラッセル「H. G. ウェルズ」
     https://russell-j.com/beginner/037_WELLS-050.HTM

A little later I rejoiced in his witty verses written under the 
pseudonym of Myra Buttle (a pun for My Rebuttal). o.
[その後少ししてから,私は彼が書いたマイラ・バトル(注:Myra Buttle →
 My Rebuttal マイ・レバトル,すなわち'我が抗弁'のしゃれ)という仮名のも
と創作したウィットに富んだ詩(韻文)をとても楽しんで読んだ。]
 出典:ラッセル『自伝』第3巻第4章「バートランド・ラッセル平和財団」
     https://russell-j.com/beginner/AB34-220.HTM


2.参考

It seems impossible to rebut the allegation.
[疑惑(allegation 申し立て/陳述)に反論するのは無理だと思われる。]
 出典:『知識と文脈で深める上級英単語 LOGOPHILIA ロゴフィリア』p.73

The complainant girded himself for the rebuttal.
[原告側(complainant)は反論の用意をした。]
 出典:『究極の英単語v.4_超上級の3000語』p.405

The accusations met with a firm rebuttal.
 出典:Oxford Advanced Learner's Dictionary, 8th ed.

If you rebut a charge or criticism that is made against you, you give
 reasons why it is untrue or unacceptable.
 出典:Collin's COBUILD English Dictionary for Advanced Learners, new
 ed.


■ ラッセルの英語(2) ラッセルの英文

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  ラッセル『私の哲学の発展』の中のラッセルが執筆した部分は終了しまし
 た。巻末には、名著『バートランド・ラッセル-情熱の懐疑家』の執筆者と
 して有名な、オックスフォード大学の若きラッセル研究者アラン・ウッドの
 『ラッセルの哲学-その発展の一研究』が収録されています。たった20ペー
 ジだけですが、執筆の途中で若くして亡くなってしまいました。
  ラッセル哲学の紹介としては優れたものなので、訳出することにします。
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 アラン・ウッド『ラッセルの哲学-その発展の一研究』】

 アラン・ウッド「バートランド・ラッセルの哲学 I 概観と手引」09

 哲学的議論が「勧告」(熱心な勧め)から成るという事実は、ラッセルの書
くものの持つ格式張らない味わい(informal flavour)や、 彼の考え(ideas
 思想)の様々な人気のある(例などを使っての)説明(popular illustrations
 評判のよいわかりやすい説明/解説) -そこに批評家達は矛盾を見出すが-
の多くを説明する。 それはまるで、ラッセルが「もし、その言い方(説明の
仕方)が納得できないならば、恐らく、こう言えば納得できるだろう」と読者
に言っているかのようである。*1 
*1 リンゼイがカントについて同様な発言をしたことに注意するのは恐らく興
味深いことであろう。)
 ラッセルが哲学について上記のような見解に50年以上も前に到達して以来
(since)、久しくそれは忘れられていて(忘れられるための時間があり)、近
年再び、あたかもそれらの見解がヴィットゲンシュタイン及びヴィトゲンシュ
タイン学派がなした新発見であるかのごとく、提示されている。(たとえば、
最近出版された『現代イギリス哲学』 (Contemporary British Philosophy) 
の最新刊(第三巻)においてヴァイスマン博士はこう言っている。「哲学的問
題が議論(論議)によって解決され、しかも、ただ論議をどのように運ぶべき
かを知っていさえすれば決定的に解決されうる、という考えがある。・・・
しかし、私は、「それは不可能である」という、新しくかつ幾分驚くべき結論
に達しようとしている。いかなる哲学者もかつて何ごとも証明しなかった。
 [なぜなら] 哲学的論議論は演繹的ではないからである。」*2
*2

 上記で(先に)私は、確実な知識(certain knowledge)を求める彼の情熱に
よって触発されたものとして、ラッセルの哲学的方法の一部としてのオッカム
の剃刀に言及した。これはラッセル自身がそれ(オッカムの剃刀)を用いる理
由として述べたことである。「誤謬(誤り)におちいる機会を少なくするのがオ
ッカムの剃刀のとりえである」)。*3
*3 『論理的原子論の哲学』(ラッセル(著)『論理と知識』所収)
 しかし、実はそれよりもずっと多くのことが含まれていたのである。我々は
、ラッセルが自分自身の仕事を小さく見せるように述べる(過小評価する)習
慣をもっていることに注意しなければならない。

Summary and Introduction 09

The fact that philosophical argument consists of 'exhortation' accounts
 for much of the informal flavour of his writing, and the use of 
different popular illustrations of his ideas, in which critics can 
find contradictions. It is as though Russell were saying 'if that way
 of putting it won't convince you, perhaps this will'.*1
*1 Perhaps it is of interest to note that A. D. Lindsay made a similar
 remark about Kant.)
Since Russell reached the above views on philosophy over fifty years
 ago, there has been time for them to be forgotten, and they have been
 presented again in recent years as though they were new discoveries
 due to Wittgenstein and his school. (For instance, Dr Waismann in the
 latest volume of Contemporary British Philosophy: "There is a notion
 that philosophical questions can be settled by argument, and 
conclusively if one only knew how to set about it.... I incline to come
 to a new and somewhat shocking conclusion: that the thing cannot be 
done. No philosopher has ever proved anything (because) philosophical
 arguments are not deductive.')*2
*2 VOL.III, p.471

I have referred above to Occam's Razor as a part of Russell's 
philosophical method inspired by his passion for certain knowledge. 
This was how Russell himself justified its use. ("That is the advantage
 of Occam's Razor, that it diminishes your risk of error.)*3
*3 Philosophy of Logical Atomism, in Logic and Knowledge
But much more was involved than this; and we must beware of Russell's
 habit of describing his own work in terms of belittlement.
 Source: My Philosophical Development, 1959, by Bertrand Russell.
 More info.:  https://russell-j.com/beginner/wood_br_summary-and-introduction_09.html

 
■「ラッセルの言葉366_画像版」
 日本語 version : n.2204-2210j を投稿
 英 語 version : n.2204-2210e を投稿

 1つだけ再録します。 n.2209j ( Nov. 18, 2022)
         
 「愚かな人の報告(説明/証言」」

クセノフォン(ソクラテスの弟子の一人)は真実でないことを考える(ほどの)
知恵が全くなかったので、(ソクラテスについて)彼が言うことはすべて真実
であるに違いないと考える傾向がある。これは非常に根拠のない論法である。
賢い人が言ったことを愚かな人が報告(説明)しても、決して正確なものでは
ない。なぜなら、愚かな人は聞いたことを無意識のうちに自分が理解できるよ
うに翻訳してしまうからである。私は、哲学に無知な友人から報告(説明)さ
れるよりも、むしろ、哲学者の中で最も辛辣な敵から報(説明)告されたい
(と思う)。

There has been a tendency to think that everything that Xenophon says
 [about Socrates] must be true, because he had not the wits to think 
of anything untrue. This is a very invalid line of argument. A stupid
 man's report of what a clever man says is never accurate because he
 unconsciously translates what he hears into something he can 
understand. I would rather be reported by my bitterest enemy among
 philosophers than by a friend innocent of philosophy.
Source: A History of Western Philoophy, 1945, chapter 11: Socrates
 
More info.: Not available

<寸言>
 ラッセルの『西洋哲学史』第11章「ソクラテス」からの引用です。

 自分が評価しない人物についてはその(評価しない人物の)側近が語る悪口
や噂をすぐに信じてしまう傾向があります。
 しかし、幼児が親などが使う言葉がわからない場合、自分(子供)が知って
いる言葉に翻訳して理解し、長い間(大人になっても!)その間違いに気づか
ないということはよくあります。
 偉大な思想家や哲学者の発言も同様であり、残念ながら、ラッセルもよく誤
解されます。アインシュタインも(先日引用しましたが)次のように注意喚起
しています。

「バートランド・ラッセルの『西洋哲学史』(A History of Western 
Philosophy, 1945)は貴重な書物である。この偉大な思想家ラッセルにおける
すばらしい新鮮さと独創性、換言すれば、過去の遠い時代や異質的な精神にた
いする感情移入の鋭さについて、私はいかにそれを頌えるきか、言葉を知らな
いくらいである。現代――この、かくもドライで野蛮な時代においてすら、か
くも英知にみち、信頼に値し、徹底的であり、しかもヒューマーにみちあふれ
た人間が存在することを示し得るのは、幸福である。この本は党派や見解のも
ろもろの闘争をはるかに超越し、もっとも深い意味で教育的である。A.アイン
シュタイン(1946)」


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(2) ラッセルに関する記述や発言等 
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 今回もお休み

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 編集後記  イーロン・マスクによる Twitter 社の買収は吉か凶か?
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 Twitter 社はイーロン・マスクによって買収されてしまいました。そうして
社員が大量に解雇され、残りの社員についても、「激務を選ぶか、それとも、
3ヶ月分の退職金を選ぶか早急に回答せよ!」と迫っています。短気な独裁者
なのか、表現の自由を重視する改革者なのか、どちらにより近いか、まだ判断
がつきかねる点があります。

 Twitter は投稿できる文字数が140字制限されており、イーロン・マスク
はその制限を撤廃すると公言しています。それはよいことだと思われますが、
トランプのアカウントを復活するとも言っており、Twitter がフェイクやヘイ
ト的発言の温床になってしまう恐れもあります。

 毎年利益を増やしてきた GARFAM(GARFA+M=Microsoft) も最近は変調をきた
し始めており、各社で大量の人員「整理」と行っています。これは一時的なも
のなのか、2,3年後にはまた成長・拡大傾向に戻るのか、それとも、新しい
担い手が出てきて GARFAMは相対的に沈んでいくのか、どうなるでしょうか?
                                                         (松下彰良)

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■編集・発行:(松下彰良/まつした・あきよし)
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