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バートランド・ラッセルのポータルサイト

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「(週刊)バートランド・ラッセル(1872.5.18-1970.2.2)に関するメール・マガジン」
  no.0809_2022/11/12 (2006/12/21 創刊/毎週土曜 or 日曜日 発行)

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    ■ 目 次 ■
          
 1.ラッセルの著書及び発言等からの引用
 2.ラッセルに関する記述や発言等
  編集後記

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 1.ラッセルの著書や発言等から
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■「ラッセルの英語」n.2303~2307  を発行しました。
  (1)「ラッセル英単語」は、n.2303,2305, 2307
  (2)「ラッセルの英文」は、n.2304, 2306
 
 それぞれ1つづつ再掲します。

■ ラッセルの英語 (1) n2305 R英単語 

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  今後は、

   『<知識と文脈で深める>上級英単語 LOGOPHILIA ロゴフィリア』(アスク)

  から英単語を採取していくことにします。
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★ implication [(n) 含意、言外の意味、暗示;[通例複数形で](予想される)
影響や結果] 

* imply (vt):包含する;・・・の意味を含む;暗示する


1.ラッセルの著作から

I shall use the word 'ideology' as practically synonymous with the 
word 'creed', but with slightly less implication of dogmatic 
definiteness.
[私は、「イデオロギー」という語(言葉)を「信条」という言葉の同義語と
して、ただし、教義的意味を余りもたない語(言葉)として使うことにしよ
う。]
 出典:ラッセル『変化する世界への新たな希望』第13章「信条とイデオロ
ギー」]
     https://russell-j.com/beginner/IDEOLOGIES_MEANING.HTM

My book on the situation in Vietnam and its implications, called War
 Crimes in Vietnam, appeared early in January, 1967, in both cloth 
and paper editions.
[『ヴェトナムにおける戦争犯罪』と題する,ヴェトナムの情況とその含意
(予想される結果)について論じた私の著書が,1967年1月の初めに,ハード
カバーとペーパーバックの両方で出版された。]
 出典:ラッセル『自伝』第3巻第4章「ラッセル平和財団]
     https://russell-j.com/beginner/AB34-230.HTM

the theory of implication
[含意理論(注:前提命題Aから論理的な帰結として命題Bが成り立つ場合の
、AとBとの形式的関係を言い、この場合「AがBを含意する」と言う。)]
 出典:ラッセル『教育論』第三部 知性の教育_第14章_第8章「一般的原理_」
     https://russell-j.com/beginner/OE14-050.HTM

I think also that those who profess such views have not realized all
 their implications.
[またそういう見解を主張する人々は、そういう見解の全ての帰結
(implications 含意及びその結果)を十分理解していないと私は考える。]
 出典:ラッセル『私の哲学の発展』第11章「先入観」
     https://russell-j.com/beginner/BR_MPD_11-040.HTM


2.参考

Prolonged stress may have serious health implications.
[ストレスが長く続くと、健康に深刻な影響を及ぼす可能性がある。]
 出典:『知識と文脈で深める上級英単語 LOGOPHILIA ロゴフィリア』p.66

implication of a word
[言葉の言外の意味]
 出典:『究極の英単語 v.3: 上級の3000語』p.287

She said very little directly, but a great deal by implication.
 出典: Longmn Dictionary of Contemporary English, new ed.

The low level of current investment has serious implications for 
future economic growth.
 出典:Collins COBUILD English Dictionary for Advanced Learners, new
 ed.


■ ラッセルの英語(2) ラッセルの英文

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  ラッセル『私の哲学の発展』の中のラッセルが執筆した部分は終了しまし
 た。巻末には、名著『バートランド・ラッセル-情熱の懐疑家』の執筆者と
 して有名な、オックスフォード大学の若きラッセル研究者アラン・ウッドの
 『ラッセルの哲学-その発展の一研究』が収録されています。たった20ペー
 ジだけですが、執筆の途中で若くして亡くなってしまいました。
  ラッセル哲学の紹介としては優れたものなので、訳出することにします。
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 アラン・ウッド『ラッセルの哲学-その発展の一研究』】

 アラン・ウッド「バートランド・ラッセルの哲学 I 概観と手引」07

 ラッセルはこう言った(言っている)。「結果から前提を推論することは帰
納(induction)の本質(精髄)である。従って、数学の原理を探究する方法は、
実は、ひとつの帰納法(an inductive method)なのであり、他のあらゆる科学
において一般法則を発見する方法と本質において(substantially)同じもの
である」と。

 彼は、1924年には次のように書いている、純粋数学及び演繹的体系として整
えられたいかなる科学においても、「前提のいくつかはその(前提の)結果
(帰結)のいくつかよりも、はるかに明白さを欠いており、主としてその結果
(帰結)のために信じられている」と。(注:『論理と知識』p.325。なお、
『人間の知識』参照) (では)なぜラッセルはこの哲学的方法を採用したの
だろうか? なぜ彼は与えられた知識体系の前提を発見しようとしたのだろう
か? なぜなら、彼は当初、十分に(結果から前提に)遡ぼることによって絶
対的に確実な前提にたどりつくことを期待していたからである。なぜ彼は前提
の数を可能な限り少なくしようとしたのだろうか? その理由の一つは、誤謬
(間違い)の機会を減らすことであった。この理由から、オッカムの剃刀(を
使ったのである)【「オッカムの剃刀」訳注:「ある事柄を説明するためには
、必要以上に多くを仮定するべきでない」という例えによく使われる言葉】。
分析の目的は何であったのだろうか? 知識を増すためである。 もしラッセ
ルが、当初、確実な知識に到達するという希望によって鼓舞されていなかった
ら、彼の哲学的方法は決して展開されなかったであろう、と私は信じている。
もし、確実性は到達しえないものであると初めから認識していたならば、彼は
哲学を捨てて、経済学あるいは歴史学に没頭したであろう。このようにして、
彼の仕事は、不可能(なこと)を企てることによって何が達成可能かというこ
との典型的な例である。

Summary and Introduction 07

He said: "The inferring of premisses from consequences is the essence 
of induction; thus the method in investigating the principles of 
mathematics is really an inductive method, and is substantially the
same as the method of discovering general laws in any other sciences.'

He wrote in 1924 that, both in pure mathematics and in any science 
arranged as a deductive system; "Some of the premisses are much less
 obvious than some of their consequences, and are believed chiefly
because of their consequences."(Logic and Knowledge, p.325 ; cf. Human
 Knowledge)

Why did Russell adopt this philosophical method? Why did he want to 
find the premisses for a given body of knowledge? Because at first he
 hoped that, by going far enough back, he could arrive at premisses
which were absolutely certain. Why should he want to reduce the number
 of premisses to the fewest possible? One reason was to reduce the 
risk of error: hence Occam's Razor. What was the purpose of analysis?
 To increase knowledge. Russell's philosophical method would never, 
I believe, have been developed if he had not at first been inspired by
 the hope of arriving at knowledge which was certain. Had he realized
 from the start that certainty was unattainable, he might have 
abandoned philosophy and devoted himself to economics, or history.
 His work is thus a classic example of what can be achieved as a 
result of attempting the impossible.
 Source: My Philosophical Development, 1959, by Bertrand Russell.
 More info.:  https://russell-j.com/beginner/wood_br_summary-and-introduction_07.html

 
■「ラッセルの言葉366_画像版」
 日本語 version : n.2197-2203j を投稿
 英 語 version : n.2197-2203e を投稿

 1つだけ再録します。 n.2197j ( Nov. 6, 2022)
         
 「目的が異なれば、手段も異なってくる」

 いわゆる「実践的/実用的(practical)」であることを自慢する人は、ほとん
どの場合、もっぱら手段のことばかりに気をとられている。しかし、それ(手
段)は知恵の半分に過ぎない。残りの半分、つまり目的について考えるとき、
その経済的プロセス(economic process 富の生産過程?)や人生の全体は全
く新しい様相を呈する。

Men who boast of being what is called "practical" are for the most 
part exclusively preoccupied with means. But theirs is only one-half
 of wisdom. When we take account of the other half, which is concerned
 with ends, the economic process and the whole of human life take on
 an entirely new aspect.
Source: Authority and the Individual, 1949, chapter 6: Individual and
 Social Ethics.
More info.: Not available

<寸言>
 "economic process"の意味が今ひとつわかりませんが、経済的プロセスとい
うのは、「富を生み出す経済活動のプロセス」のことでしょうか? 

 目的が変われば(目的達成のための)適切な手段は異なるのが普通です。
当面の目標は設定する(考える)けれども、目ざすべき目的(最終目標)を余
り考えない人は、いろいろやってみてから、なにか大きな失敗をすることによ
って、自分の努力は無駄だったと後悔することも少なくありません。蓄財に努
め、金銭的な余裕ができてから、年を取ってから、精神的にゆったりとした暮
らしをしようと思っていたところ、投資に失敗などして、自分の人生を悲観し
たりする人もめずらしくありません。自分ひとりであれば、「挑戦なくして人
生なし」ということでもよいかも知れませんが・・・。

【つけたし:二行目 (But theirs is only one-half of wisdom.)を「彼らの
持つものは知恵の半分にしか過ぎない」と訳す人が多いようです。社会思想社
から出されている江上照彦訳もそうなっています。果たして「彼らが持つもの」
でよいでしょうか? 知恵が必要なのは、手段に関するものが半分で目的に関
するものが半分と言っているのですから、「theirs」は「means」を指すと考
えるのが素直ではないでしょうか?
 つまり、"theirs"(theyの所有代名詞)は「彼らのもの・彼女らのもの・そ
れらのもの」と、人にも物にも使える人称代名詞ですが、ここは「それらのも
の=手段に関するもの」と考えるべきではないでしょうか?
 <参考:them 意味と使い方例文8選|theirsとthem違い>
  https://lostash.jp/sales/trivia/1090524
 また、「mean」と「means」とはまったく異なる単語です。手段という意味
の「means」は単複同形ですあり、ここでは単数形として使用されています。
もし「theirs」が「彼らの持つもの」という意味になるのであればそれに続く
動詞は複数形になるのではないでしょうか? それよりも何よりも、この文脈
で「彼らの持つもの」という意味合いの訳語が突然出てくる(ひねり出す)のは
不自然と思わないのでしょうか・・・?】

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(2) ラッセルに関する記述や発言等 
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 今回もお休み

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 編集後記  植物の五感-NHKスペシャル「超・進化論」
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 NHKスペシャルは興味深い内容のものが多いので、ほとんどかかさず視聴し
ています。先週の日曜日には「超・進化論(1) 植物からのメッセージ」とい
うタイトルでしたが、大変驚きました。(明後日夜9時から第2回目「愛しき
昆虫たち」が放送予定になっています。)

 この地球は人間が支配しているようで実際は昆虫が支配しているのではな
いかという話は時々聞きますが、いや、植物が支配しているのではないかとい
う主張も一理ありそうです。

 植物は動かず、人間の五感に相当するようなものはないだろうと思ってしま
いますが、全て揃っていました! 視覚も聴覚も、触覚も味覚も嗅覚も、動物
同様にあり、近辺の植物とも、コミュニケーションをしていることが、貴重な
映像を通して、よく理解できました。言葉では説明はしにくいことですが、実
際に視聴すれば納得できます。

 ダーウィンの進化論はあいかわらず正しいとしても、理解の仕方が変わって
くるはずです。視聴をお勧めします。(松下彰良)



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■編集・発行:(松下彰良/まつした・あきよし)
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