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バートランド・ラッセルのポータルサイト

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「(週刊)バートランド・ラッセル(1872.5.18-1970.2.2)に関するメール・マガジン」
  no.0806_2022/10/22 (2006/12/21 創刊/毎週土曜 or 日曜日 発行)

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    ■ 目 次 ■
          
 1.ラッセルの著書及び発言等からの引用
 2.ラッセルに関する記述や発言等
  編集後記

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 1.ラッセルの著書や発言等から
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■「ラッセルの英語」n.2289~2293  を発行しました。
  (1)「ラッセル英単語」は、n.2289,2091, 2293
  (2)「ラッセルの英文」は、n.2290, 2292
 
 それぞれ1つづつ再掲します。

■ ラッセルの英語 (1) n2291 R英単語 

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  今後は、

   『<知識と文脈で深める>上級英単語 LOGOPHILIA ロゴフィリア』(アスク)

  から英単語を採取していくことにします。
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 バートランド・ラッセルの英語 (1) n2291 R英単語/英熟語 

★ provision【(n) 供給;用意、備え;設備、施設;規定、条項,(複数形で)
食料、糧食、貯蔵品】

* provisional (adj.):仮の、暫定的な
* proviso (n):ただし書き、条件(with the proviso that -)


1.ラッセルの用例

Rational provision against misfortune is a totally different thing 
from fear.
[不幸に対する(抗する)合理的な備えは,恐怖心とはまったく異なるものであ
る。]
 出典:ラッセル『教育論』第二部_性格の教育_第4章「恐怖心」
     https://russell-j.com/beginner/OE04-160.HTM

If you wish to persuade a borough to improve the public provision for
 the care of children, you have to point out that Some neighbouring 
borough has a lower infant mortality.
[もしある自治都市を説得して,子供の世話をする公共施設を改善させたいと思
えば,近くの自治都市のほうが乳児死亡率が低いことを指摘しなければならな
い。]
 出典:ラッセル『教育論』第二部_性格の教育_第5章「恐怖心」
     https://russell-j.com/beginner/OE05-100.HTM

This method would, of course, be not alone adequate, and would need to
 be supplemented by provisions enabling women to return to ordinary 
work when their children ceased to be quite young.
[もちろん,この方法だけでは十分ではなく,子供がある程度大きくなったら
女性は普通の仕事に復帰することができるという条項(規定)を付け加える必
要があるだろう。]
 出典:ラッセル『結婚論』第十五章「家族と国家」
     https://russell-j.com/beginner/MM15-050.HTM

Once upon a time there was a derelict ship which drifted into the 
empty parts of the southern ocean and began to run out of provisions.
[昔々,島一つない南の海を一隻の船が漂流しており,食糧が底をつきはじめて
いた。乗組員のほとんどは毎日を漠然と過ごしていた。]
 出典:ラッセル『アメリカン・エッセイ集』の中の「楽観主義について」
     https://russell-j.com/OPTIMISM.HTM


2.参考例

expedite the provision of vaccines to the elderly
[高齢者へのワクチン提供を迅速化する。]
 出典:『知識と文脈で深める上級英単語 LOGOPHILIA ロゴフィリア』p.52

a provisional government
[臨時政府、暫定政府]
 出典:『究極の英単語 v.4:超上級の3000語』p.173

They spend all their money and make no provision for the future
 出典:Longman Dictionary of Contemporary English, new ed.

Provisions are supplies of food.(old-fashioned)
 出典:Collins COBUILD English Dictionary for Advanced Learners, new
 ed.


■ ラッセルの英語(2) ラッセルの英文

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  ラッセル『私の哲学の発展』の中のラッセルが執筆した部分は終了しまし
 た。巻末には、名著『バートランド・ラッセル-情熱の懐疑家』の執筆者と
 して有名な、オックスフォード大学の若きラッセル研究者アラン・ウッドの
 『ラッセルの哲学-その発展の一研究』が収録されています。たった20ペー
 ジだけですが、執筆の途中で若くして亡くなってしまいました。
  ラッセル哲学の紹介としては優れたものなので、訳出することにします。
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 アラン・ウッド『ラッセルの哲学-その発展の一研究』I 概要と手引01】

アラン・ウッド「バートランド・ラッセルの哲学 I 概観と手引」01

 バートランド・ラッセルは哲学をもたない哲学者である。同じこと(指摘)
を、彼はあらゆる哲学を持ている哲学者であると言っていいかも知れない。
 今日、重要な哲学的見解で(の中で)、ラッセルのいずれかの時期の著作の
中に反映されていないものはほとんどない。
 ホワイトヘッドはかつて、ラッセルは彼自身が一つのプラトン的対話である
、と述べた *1。リットン・ストレイチはラッセルの精神を、丸鋸(a circular
 saw まるのこ、円形のノコギリ)にたとえた(compared 対比した)*2。この
たとえ(metaphor 隠喩)はとりわけよく当っている。丸鋸の(反対にある)
両側の歯は反対方向に動く。 事実、同時に、あらゆる異なる方向に動いてい
る。しかし(しかも)丸鋸自体はまっすぐ前方へ切りこんでゆく。
*1 ホワイトベッドとラッセルとの対話で、アラン・ウッドに報告されたもの
にる。
*2 リットン・ストレイチからヴァージニャ・ウルフに宛てた手紙。一九一九
年五月二十七日付。

 ラッセルの哲学的著作の全体をとって見ると(全体においては)、一見
(apparently 外見上)互いに矛盾する主張が多く見出されるにもかかわらず
、また、彼が異なる時期に異なる意見を擁護(支持)した場合がいくつかある
にもかかわらず、 全体を通じて、一貫した目的及び方向性があり、また一貫
した方法(論)が存在している。

「私は人々が信仰(religious faith)を求めるような仕方で確実性を欲求し
た(欲しがった)」とラッセルは述懐している *3。ラッセルのすべての研究
(work 仕事)の背後にある目的は、人間的なもの以上のものであり、人間の
精神から独立した、さらには人間存在から独立した何らかの真理を求めようと
する、ほとんど宗教的情熱といってよいものであった、と私は信じている。最
初に、ラッセルについて学ぶ誰もが出会うところの、相反する(矛盾する/両
立しない)引用(文)という問題の一つ(一例)に直面させられるのはよいこ
とである。というのは、ある通俗的なエッセイの中で、「非人間的世界は崇拝
に誓いしないことを認識すべき」であると我々に呼びかけている彼(の言葉)
を引用することもできるからである。
*3 「第80回目の誕生日にあたって」(ラッセル『自伝的回想』)

 私達は、ここでは、動機の問題を論じている。従って、- ラッセルは一方
では問題には両面があることを認めはしたが - 彼の支配的な動機は絶対的
に確実な非人間的知識を切望していたという私の主張を支持するために(は)
、私はただラッセルの抱く感情の強さという証拠に訴えることができるだけで
ある。 たとえば、 数学における主観的要素についてのカントの主張
(allegation 申し立て)のことをラッセルが語るやり方を引用できる。ラッ
セルの声の調子は、モーゼは十戒を自分で勝手に作ったのだという示唆に直面
した原理主義者(Fundamentalist 聖書を文字通りに解釈する宗派の人々)のよ
うに、一種の嫌悪であるとしか言えない。 (即ち、)「カントを読んで気持
が悪くなった」*4。
*4 ラッセルがウッドに語った言葉

「この小さな惑星及びその上をはいまわる小動物のみしか真面目に考えない哲
学者達の、 卑屈な微視的な視野」に対するラッセルの軽蔑があった。 デュー
イに対してはその「宇宙的非敬虔(不遜)」についての不満があった *5。 後
には、「愚かな人々が愚かなことを多様な方法に関心を持ちすぎており、世界
を理解しようと努力していない」という、一部のオックスフォードの哲学者達
は批判があった。
*5 ラッセル『西洋哲学史』p.856
*6 アームソン(著)『哲学的分析』についての書評(『ヒッバート・ジャーナ
ル』1956年6月7日号掲載 → 『私の哲学の発展』第18章「批評に対する若干
の答弁Iを参照)

Summary and Introdeuction 01

Bertrand Russell is a philosopher without a philosophy. The same point
 might be made by saying that he is a philosopher of all the 
philosophies.
There is hardly any philosophical viewpoint of importance today which
 cannot be found reflected in his writings at some period. Whitehead 
once described Russell as a Platonic dialogue in himself*. Lytton 
Strachey compared Russell's mind to a circular saw**. The metaphor is
 particularly apt. The teeth on opposite sides of a circular saw move 
in opposite directions; in fact the teeth are moving in every different
 direction at once. But the saw itself cuts straight forward.
*1 Conversation between Whitehead and B. R., reported to Alan Wood.
*2 Lytton Strachey to Virginia Woolf, May 27, 1919.

In spite of all the apparently conflicting statements to be found in 
the total of Russell's philosophical writings, in spite of the number 
of cases where he champions different opinions at different times, 
there is throughout a consistency of purpose and direction, and a 
consistency of method.

'I wanted certainty', Russell wrote in retrospect, 'in the kind of way
 in which people want religious faith ****. I believe the underlying 
purpose behind all Russell's work was an almost religious passion for
 some truth that was more than human, independent of the minds of men,
 and even of the existence of men. It is well to be brought face to 
face, at the start, with one of the problems of conflicting quotations
 which faces any student of Russell. For we can also quote him as
 calling on us, in the context of a popular essay, 'to recognize that
 the non-human world is unworthy of worship'.

*3 'Reflections on My Eightieth Birthday', in Portraits from Memory.

We are discussing here a matter of motive. I can therefore only appeal
 to evidence of the strength of Russell's feelings to support my 
contention that, while seeing two sides to the question, his overriding
 motive was yearning for absolutely certain impersonal knowledge.
We can cite, for instance, the way he would speak of Kant's allegation
of a subjective element in mathematics: the tone of his voice can only
 be described as one of disgust, like a Fundamentalist confronted with
 the suggestion that Moses had made up the Ten Commandments himself. 
'Kant made me sick,"
*4 B. R. in conversation with Alan Wood

There was his contempt for 'the grovelling microscopic vision of those
 philosophers whose serious attention is confined to this petty planet
 and the grovelling animalcules that crawl upon its surface'. There 
was his complaint of 'cosmic impiety' against Dewey. In later years, 
there were his criticisms of some Oxford philosophers for being too 
much concerned with 'the different ways in which silly people can say
 silly things', and not with trying to understand the world.
 Source: My Philosophical Development, 1959, by Bertrand Russell.
 More info.: https://russell-j.com/beginner/wood_br_summary-and-introduction_01.html

 
■「ラッセルの言葉366_画像版」
 日本語 version : n.2176-2182j を投稿
 英 語 version : n.2176-2182e を投稿

 1つだけ再録します。 n.2180j ( Oct. 20, 2022)
         
 「興奮の必要性 - 根無し草」

 何らかの目的意識がないと、人生は陰鬱で彩りのないものになる。 興奮の
必要性は、最終的には、戦争や残虐行為や陰謀、あるいは、その他の破壊的な
活動に - 興奮が必要でない場合よりも - しばしば、より悪いはけ口を見つける.

Without some consciousness of ends, life becomes dismal and colourless;
ultimately the need for excitement too often finds a worse outlet than
 it would otherwise have done, in war or cruelty or intrigue or some 
other destructive activity.
Source: Authority and the Individual, 1949, chapter 6.
More info.: Not available

<寸言>
 「リア充の生活をしている(人生を送っている)人と比べて自分は何と単調
な生活をしていることか」という思いにかられると、多くの人が何かライフワ
ークになるものを持ちたいと考え、努力をします。しかし、それが自分には無
理(あるいは無理そうだ)と思うと、単調な生活を忘れさせてくれるものを外
(世間や世界)に求めることとなり、人によっては、自分や自分の親しい人に
被害が及ばない限り、争い事が起こったり、他人の不幸を喜ぶ人さえでてきま
す(「他人の不幸は蜜の味」)。そうして、究極的には、ラッセルの次の発言
のような状態になります。

「戦争,虐殺,迫害は,すべて退屈からの逃避の一部(逃避から生まれたもの)
であり,隣人とのけんかさえ,何もないよりはましだと感じられてきた。それゆ
え退屈は,人類の罪の少なくとも半分は退屈を恐れることに起因していること
から,モラリスト(道徳家)にとってきわめて重要な問題である。」(Wars,
 pogroms, and persecutions have all been part of the flight from 
boredom; even quarrels with neighbours have been found better than 
nothing. Boredom is therefore a vital problem for the moralist, since
 at least half the sins of mankind are caused by the fear of it. 
Source: The Conquest of Happiness, 1930, chap. 4: boredom and excitement.
More Info.:https://russell-j.com/beginner/HA14-030.HTM

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(2) ラッセルに関する記述や発言等 
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 今回もお休み

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 編集後記 「1ドル150円の衝撃」
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 ついに円ドル為替レートが「1ドル=150円」になって(戻って)しまい
ました。

 毎年海外旅行に行っておりもう60カ国くらい行ったことになるとよく言って
いる私の大学の先輩もさぞかしイライラしている(日本政府や日銀に不満をも
っている)ことと想像されます。冗談?はさておき、大変な事態であることに
は変わりがありません。

 過去の 円ドル為替レートの推移を振り返ると、次のようになっています。
  1983年: 1ドル=250円 / 1987年: 1ドル=145円
  1995年: 1ドル= 94円 / 2012年: 1ドル= 80円
  2019年: 1ドル=109円 / 現 在: 1ドル=150円

 賃金や年金が同様にあがり、物価もそれほどあがらなければ、円ドル為替レ
ートがどうなろうとあまり気にしないでしょうが、賃金の上昇以上に物価があ
がれば、経済的弱者は生活が困窮化してしまいます。

 岸田総理は物価対策をしっかりやると言いながら「円安メリットも活かす」
といった「KYな発言」も同時にしています。そのせいもあり? 政府や日
銀や財務省に対する信頼はダダ下がりです。

 最近よく、円ドル格差を逆手にとり、海外で日本の給料の倍以上を稼いでい
る日本人(例:寿司店経営で年収8000万円!)がいくつかのTV局によって紹
介されています。しかし、そのようなことができるのは、若くて勇気がある人
か、富裕層でドルもたくさん持っていて適宜ドルと円とを交換して蓄財できる
人です。(富裕層にとっては蓄財を進める絶好の機会になっている可能性があ
ります。)

 貧乏人は「蛇に睨まれた蛙」のように身動きできず、運命を甘受せざるをえ
ないのでしょうか? 波阿弥陀仏。           (松下彰良)

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■編集・発行:(松下彰良/まつした・あきよし)
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