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バートランド・ラッセルのポータルサイト

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「(週刊)バートランド・ラッセル(1872.5.18-1970.2.2)に関するメール・マガジン」
  no.0689_2020/06/20 (2006/12/21 創刊/毎週土曜 or 日曜日 発行)

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     ■ 目 次 ■
          
(1)ラッセルの著書及び発言等からの引用
(2)ラッセルに関する記述や発言等
 編集後記

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(1) ラッセルの著書や発言等から
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■「(ほぼ日刊)ラッセルの英語」
     n.1839〜1843  を発行しました。2つ再掲します。

 (1) R英単語 

★ simulate【 (vt) 〜をまねる,〜のふりをする,〜をシュミレートする】

* simulate conditons in space :宇宙環境をシミュレートする
* simulation (n):模擬実験,シムレーション;まねごと;ふりをすること

1.ラッセルの例

So long as he continues to think about the causes of his unhappiness,
 he continues to be self-centred and therefore does not get outside 
the vicious circle; if he is to get outside it, it must be by genuine
 interests, not by simulated interests adopted merely as a medicine.
[彼は,自分の不幸の原因を考え続けている限り,依然として自己中心的であり,
そのために,この悪循環から抜け出すことはできない。悪循環から抜け出した
いのであれば,単に'治療薬'として採用された,見せかけ(偽り)の興味
(simulated interests)ではなく,本物の興味によらなければならない。]
 出典:ラッセル『幸福論』第15章「幸福な人」
     https://russell-j.com/beginner/HA26-010.HTM

2.参考例

We did several experiments simulating different configurations of ions.
[私たちはイオンの様々な配置をシミュレートするいくつかの実験を行った。]
 出典:『究極の英単語 v.4- 超上級の3000語』p.109

The children enjoyed the flight simulation game.
[子どもたちは模擬飛行のゲームを楽しんだ。]
 出典:『キクタン super 12000』p.223

The machine can simulate different road conditions.
[その機械は様々な道路状況のシミュレーションをすることができる。]
 出典:『キクタン TOEIC TEST SCORE 990』p.227

Some moths simulate dead leaves.
[ガ(蛾)の中には枯れ葉に擬態するものがある。]
 出典:『京大学術語彙データベース 基本英単語1110』p.78

This coat is made of simulated fur.
 出典:Longman Dictionary of Contemporary English, new ed.


 (2)「ラッセルの英語」n.1841-2 (旧「ラッセルの言葉」に該当するものです。
   https://russell-j.com/beginner/SCI-SOC.HTM

 ラッセル「科学的社会の安定条件」
  出典:牧野力(編著)『ラッセル思想辞典

* From: The Impact of Science on Society, chap. 7(1952)
『ラッセル思想辞典』に chap.6とあるのは誤記

 科学的社会が安定しうるのは以下の四条件の実現にある、と私は結論する。

 第一条件 全世界に単一の政府ができ、その世界政府が軍隊を独占し、平和
を強制することができること。
 第二条件 繁栄が一般に広がり、ある地域が他の地域を羨望する機会がない
こと(機会を無くすこと)。
 第三条件 (第二条件を満足させた上で)世界的に出生率が低化し、世界人口
が定常化あるいはほぼ定常化すること。
 第四条件 仕事と遊びの双方において、個人の創意と発議の機会が確保され
、また、必要な政治的・経済的体制を維持してゆくことと両立しうる限りにお
いて、最大限、権力の分散・権限委譲が行われること。

 現代世界にはこれら諸条件の実現から遠く離れており、従って、世界の安定
化(達成)までに、膨大な大変動(upheavals)やぞっとするようなべき苦悩
を予期(予想)しなければならない。今までの激動や苦悩は、人間の宿命とも
言うべきものであったけれども、一方、今や人類は、おぼろげで不確かであっ
ても、一つの可能な未来の頂き −そこでは貧困と戦争とは克服されている− 
を見ることができる。恐怖心は −(まだ)残っていても− 病理的なものに過
ぎなくなっているだろう(注:正常な人は恐怖心をもっていないだろう)。現
在の科学から見て、その頂上へ至る道は長いが、この究極的な希望を見失う
理由はまったく存在しない。
( My conclusion is that a scientific society can be stable given 
certain conditions.
The first of these is a single government of the whole world, 
possessing a monopoly of armed force and therefore able to enforce 
peace.
The second condition is a general diffusion of prosperity, so that 
there is no occasion for envy of one part of the world by another.
The third condition (which supposes the second fulfilled) is a low 
birth rate everywhere, so that the population of the world becomes 
stationary, or nearly so.
The fourth condition is the provision for individual initiation both
 in work and plays and the greatest diffusion of power compatible with
 maintaining the necessary political and economic framework.
The world is a long way from realising these conditions, and therefore
we must expect vast upheavals and appalling suffering before stability
is attained. But, while upheavals and suffering have hitherto been the
 lot of man, we can now see, however dimly and uncertainly, a possible
 future culmination in which poverty and war will have been overcome,
 and fear, where it survives, will have become pathological. The road,
 I fear, is long, but that is no reason for losing sight of the 
ultimate hope.)


■「ラッセルの言葉(Word Press 版)v.2, n.1577〜1581

1)n.1582:R『権力−その歴史と心理』第17章 権力の倫理学,n.10
         https://russell-j.com/wp/?p=5521
         
2)n.1583: R『権力−その歴史と心理』第17章 権力の倫理学,n.11
        https://russell-j.com/wp/?p=5524

3)n.1584: R『権力−その歴史と心理』第17章 権力の倫理学,n.12
            https://russell-j.com/wp/?p=5528

4)n.1585: R『権力−その歴史と心理』第17章 権力の倫理学,n.13
         https://russell-j.com/wp/?p=5531

5)n.1586: R『権力−その歴史と心理』第17章 権力の倫理学,n.14
         https://russell-j.com/wp/?p=5534


★「ラッセルの言葉_画像版」

 日本語 version : n.1322j-1328j を投稿
 英 語 version : n.1322e-1328e を投稿

  一つだけ再録します。
      https://russell-j.com/smart_r366/r366g_j1323.html

 「大衆の称賛を糧とする人々」

 一般大衆の称賛を獲得することを商売としている人びと,たとえば,俳優,説
教者,講演家,政治家とかいった人々は,しだいに称讃に頼るようになる。一般
大衆の称賛という,その人にふさわしい褒美を受ける時,彼らの人生は熱意に満
ちあふれ,称賛を受けない時,彼らは不満を抱き,自己中心的になる。少数者の
より集中した愛情が他の人に対してすることを,大衆の拡散した好意が彼ら(称
讃を求める人々)に対してするのである。

Persons whose trade is to secure public admiration, such as actors, 
preachers, speakers, and politicians, come to depend more and more 
upon applause. When they receive their due meed of public approbation
their life is full of zest; when they do not, they become discontented
 and self-centred. The diffused goodwill of a multitude does for them
what is done for others by the more concentrated affection of the few.
Source: The Conquest of Happiness, 1930, Chap.11:Zest
 More info.: https://russell-j.com/beginner/HA23-030.HTM

<寸言>
 こういった人たちは自分がよいと思った言動をしたところ、不評判だとわか
ると、そっとわからないようにして少しずつ軌道修正をはかる。そうして、し
ばらくするとその不評判な言動はしなかったごとくに振る舞う。総理も都知事
も、その他多くの有名人も・・・。

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(2) ラッセルに関する記述や発言等 
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 池谷裕二「ラッセルのパラドクス − リカージョンは矛盾を生む」
  https://russell-j.com/beginner/IKEGAYA_YUJI_RUSSELL-PARADOX.HTM

 出典:池谷裕二『単純な脳、複雑な「私」』(講談社、2013年9月刊 
                 ブルーバックスB1830 − イケ13)

ー(生徒) 研究者は脳を科学的に見ているんですよね。つまり、ニューロン
などを調べて、こう活動 しているからこれが知覚できているんだ、というよ
うなこと。だとすると科学の目から見て、今こうやった考えている自分という
のは、どういうことなのかな。脳科学を通じて脳を見ているんだけど、脳科学
自体も脳がつくった産物ですよね。なんか変・・・。

(池谷) あはは(笑)・・・おもしろいね。結局、脳料学という学間それ自
体が入れ子構造。リカージョ ンだよね、 今いいことを言ってくれたから、後
にリカージョンについて、さらに深く考えてみようか、リカージョンという行
為は,実は、危険なんだ。
 なぜなら、リカージョンは矛盾(論理的矛盾)を生むからだ。「ラッセルの
パラドックス」を知ってるかな ラッセルはイギリスの数学者かつ哲学者だけ
ど、なぜかノーベル文学賞までもらっているから、 なんとも多彩な人だ。 こ
のバラドックスはリカージョンを許すと生じる。高校生のときにこのバラドッ
クスを知っ て、僕はびっくりしたんだ。
 これを説明するために、カタログ(注:目録)を例にとってみようか。カタロ
グって「集合」だよね。とえば「靴のカタログ」だったら「靴の集合」だ。
 世の中には、クルマのカタログ、文具類のカタログ、などいろいろある。
 そこで、ある人が新しいタイプのカタログを考えついた。世の中にはカタロ
グが溢れてきたから、どんなカタログがあるのかをすぐに調べられるように、
全カタログを 網羅した「カタログの カタログ」をつくろうと。
 「カタログのカタログ」ということは、この「カタログのカタログ」には自
分自身も載せないといけないよね。だって、すべてのカタログを網羅している
わけだからね。となると、「カタログのカタログ」は自分を自分の中に持つと
いう入れ子構造になる。 リカージョンだ。
 そこで、別のある人が、さらに考えた。世の中には2種類のカタグがあるの
ではないかと。(即ち)(1)「自分自身が載っていないカタログ」、つまり、靴
とかクルマとか、 そういった具体的なモノを扱ったカタログ。そして、
(2)「自分自身もそこに載っているカタログ」、つまりカタログのカタログ、の
2種類だ。
 だったら、(1)のタイプ、つまり自分自身が載っていないカタログだけを集め
て、改めて、新しいタイプのカタログ(3)をつくりましょう、と。
 こうしてたなカタログが完成した。いいね!  (3)「自分自身がっていないカ
タログをすべて載せたカタログ」だ。さて、ここで質問をしよう。この新型カ
タログ(3)には自分自身は載っているだろうか。

−(生徒) 自分自身が載っていないカタログを集めてきて・・・。

 (池谷) そう、いわゆる普通のカタログを、世の中からすべて集めてきて
カタログをつくった。そのカタログの中には自分自身は載っているだろうか、
という質問。

− (生徒)うーん・・・。

(池谷) 直感的にはどっち?

− (生徒)載っていない。

(池谷)そうだよね。だって、自分自身が載っていないものだけを集めてきた
つくったカタログだから、載ってないはずだよね。つまり、「載ってない」。
載ってないすべてのものを集めてきたわけだね。
 でも、もうこの仕掛けがわかったね。一歩引いて考えると不思議だ。(自分
自身は)載ってないカタログをすべて集めてきたカタログなんだから、もし、
そこに自分自身が載っていなかったら、そのカタログ自身もそこに載っけなく
てはならない。
 だって、そういうものをすべて集めてきたんだもんね。わかるよね。だから
、実は、そのカタログのルール上、載せる必要があるの。
 でももし載せてしまったら、今度は自分自身が載ってるんだから、定義上、
そこに載せては いけないカタログになってしまうよね。そのカタログは、自
分自身が載っていないカタログを集めたカタログなんだから。
 つまり、載せても載せなくても、どちらにしても矛盾してしまうんだ。パラ
ドックスだ。
 何がいけなかったかというと、リカージョンだね。リカージョンしたからマ
ズいことになってしまったわけ。リカージョンをする集合体は必ず矛盾をはら
んでしまう。どこかで論理破綻が生じる。ラッセルは、「リカージョンの矛盾
からは絶対に逃れられない」という認めたくない運命を数学的に証明してしま
った。

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 編集後記 今週の3つの小話 −「権力を失うことに対する恐怖」「イージ
            ス・アショア断念!」「1億5千万円の支出を決めたのは誰?」
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★小話1:「権力を失うことに対する恐怖 − 忖度から謀反へ」

 強大な権力を振るってきた者は権力を失うことを非常に恐れる。そうして、
退陣せざるをえない場合は自分で後継者を決め、影響力を残しておきたいと思
う。
 権力を失えば、「忖度」によって自分に不利な情報を出さなかった者も、後
継者がその権力者の影響力が及ばない者になった場合、「もう忖度する必要は
ない」といろいろ情報をリークしはじめるようになってしまう恐れがあるから
である。
 まずは不都合な文書がいくつかでてくる。総理が招待した人たちの名簿、モ
リカケ関係の不都合な文書、・・・。


★小話2:「イージス・アショア断念!」

A記者:「河野大臣! 5月7日のNHKニュースのイージス・アショア断念!の
報道に、大臣はフェイクニュースだと言っておられましたが、国会閉会直前に
認めるのは、国会での追求をのがれるためだったのではないですか?」

河野大臣:「いや、その時はまだ何も決まっていなかった。総理と協議して結
論に達したので昨日公表したしだいです。」

外国人記者:「わかりやすい嘘ですね。嘘でないなら会議を2週間くらい延長
し、イージス・アショアについて集中審議をすべきではないですか?」

河野大臣:「与野党を通じ、多くの議員がずっと地元に帰っていない。野党の
本音も早く閉会し、与党が逃げたという印象を国民に与えたいと思っている。
ウィンウィンの関係だよ!


★小話3:「1億5千万支出を決めたのは誰?」

 前法務大臣の河井克行氏と妻の杏里氏が収賄の容疑で逮捕された。自民党の
二階幹事長は、支出の責任はあくまでも河井夫妻にあり、選挙資金を提供した
自民党には責任はなしとしている。
 こういうことか?(架空対談)

某自民党員:「我が国は武器を供与しただけ、武器使用は譲渡された国の責任
だ(盟友トランプ大統領)というのと同じだ(国際標準だ)!」

某国民:「原資の大部分が税金である政党交付金の支出は納得できる説明が必
要だ。河井氏が何に支出したかだけでなく、党が河井議員に対して通常の10倍
の選挙資金を出すことを誰が決定したのか、また、それはなぜかという説明も
すべきである。」

官邸S氏:「11月末には支出報告書を出すことになっているので、それを見ても
らえばよいことだ。」

某与党幹部:「1万円以下の支出は領収書は要求されない。選挙活動で1万円以
下のものが大部分だったことにすればよいことだ。」 (松下彰良)

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■編集・発行:(松下彰良/まつした・あきよし)
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