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バートランド・ラッセルのポータルサイト

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 (週刊)バートランド・ラッセル(1872.5.18-1970.2.2)に関するメール・マガジン
  no.0666_2019/12/28 (2006/12/21 創刊/毎週土曜 or 日曜日 発行)

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     ■ 目 次 ■
          
(1)ラッセルの著書及び発言等からの引用
(2)ラッセルに関する記述や発言等
 編集後記

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(1) ラッセルの著書や発言等から
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■「(ほぼ日刊)ラッセルの言葉366」
      n.1771〜n.1775を発行しました。

 ・月曜日〜木曜日は『私の哲学の発展』 を
 ・金曜日は 『アメリカン・エッセイ集』+α をお届けしています。
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(1) ラッセル『私の哲学の発展』第10章「ヴィトゲンシュタインの衝撃」n7
   『ラッセルの言葉366』 n.1773 (2019年12月25日 水曜日)

 彼(ウィトゲンシュタイン)が構造の重要性を強調したのは正しかったと私
は今でも考えているが、真なる命題は当該事実の構造を再現しなければならな
いという学説については −私は当時それを受けいれたが− 今では非常に疑わ
しいと考えている。いずれにせよ、そのこと(事実の再現)は、たとえある意
味で真であるとしても、何らかの大きな重要性を持っているとは考えない。
けれども、彼にとって、それは根本的(基本的)な学説(全ての基礎になる考
え)であった。彼はこの考えを奇妙な種類の論理的神秘主義の基礎とした。
(即ち)彼はこう主張した。真なる命題がそれに対応する事実と共通にもつ
「形式」(form)は、示すことが可能であるだけであり(only shown)、語ること
はできない(not said)。なぜならそれは(その形式とは)言語における(言
語の中の/言語内の)別の語(言葉)ではなく、多くの語(言葉)またはそれら
に対応する物の持つ(ひとつの)配列だからである、と。(即ち)「命題は実在
全体を表現することが可能である。しかし、命題は、実在を表現しうるために
それ(命題)が実在と共有しなければならないところのものを −つまり、論
理的形式を− 表現することはできない(のである)。」
(また)「論理的形式を表現しうるためには、我々は、命題とともに(with the
 propositon 命題を携えて)論理(学)の外に、即ち、世界の外に出ることが
できなければならないだろう」(『論考』4.12)。これは(この主張は)、私が
ウィトゲンシュタインと最も意見が一致した時期において納得できなかった唯
一の論点(問題)を引き起こしている(raises the only point)。彼の『論
考』のために書いた序文の中で私は、いかなる所与の言語においても、その言
語が表現しえない事物があが、そういう事物について語りうるところのより高
次の言語を構成することは常に可能である、という考えを提示した。もちろん
その新たな言語の中にも、それの語りえない事物がやはり存在するであろうが
、それは次の(さらに高階の)言語において語ることが可能であり、そのよう
にして無限に進む。この考えは、当時は新しいものであったが、いまでは論理
学において当然のこととして一般に認められるようになっている。この考えは
ウィトゲンシュタインの神秘主義を片づけてしまうものであり、またゲーデル
の提出したもっと新しい難問をも片付けるものだと、私は考えている。	

Chapter 10 The Impact of Wittgenstein, n.7

In emphasizing the importance of structure, I still think he was 
right, but as to the doctrine that a true proposition must reproduce 
the structure of the facts concerned, I now feel very doubtful,
 although at the time I accepted it. In any case, I do not think that,
 even if it be in some sense true, it has any great importance. For 
Wittgenstein, however, it was fundamental. He made it the basis of a
 curious kind of logical mysticism. He maintained that the form which
 a true proposition shares with the corresponding fact can only be 
shown, not said, since it is not another word in the language but an
 arrangement of words or corresponding things: ‘Propositions can 
represent the whole reality, but they cannot represent what they must
 have in common with reality in order to be able to represent it -- 
the logical form.

‘To be able to represent the logical form, we should have to be able
 to put ourselves with the propositions outside logic, that is outside
 the world.' (Tractatus, 4.12 .) This raises the only point on which, 
at the time when I most nearly agreed with Wittgenstein, I still 
remained unconvinced. In my introduction to the Tractatus, I suggested
 that, although in any given language there are things which that 
language cannot express, it is yet always possible to construct a 
language of higher order in which these things can be said. There will,
 in the new language, still be things which it cannot say, but which 
can be said in the next language, and so on ad infinitum. 
This suggestion, which was then new, has now become an accepted 
commonplace of logic. It disposes of Wittgenstein's mysticism and, 
I think, also of the newer puzzles presented by Godel.

 Source: My Philosophical Development, chap. 8:1959.
 More info.:https://russell-j.com/beginner/BR_MPD_10-070.HTM


■「(ほぼ日刊)ラッセルの英語」
      n.1727〜1731を発行しました。ひとつだけ再掲します。

  n.1730 (2019年12月26日)    
 最所フミ『日英語表現辞典』_b02: believe in

 最所フミ(編著)『日英語表現辞典』(ちくま学芸文庫,2004年1月)を参考に
した「ラッセルの英語_日英語表現辞典シリーズ」(通称 R日英表現)です。

★ believe in

  https://russell-j.com/beginner/r_nichieigo_hyogen_b02.htm

 個人主義が未発達の日本にはない意味合いを持った表現で、たとえば、
"I believe in you"と言うと、単に「あなたのことを信じている(嘘をつかな
いと思っている)/信頼している」というような消極的な意味合いではなく、
「あなたを師とあおいでいます」といったような積極的な意味合いを持った言
葉。(p.020)

1) I don't believe in tricks.( = I don't think tricks will pay. トリ
ックを使っても何にもならない。)  R英単語・熟語集の用例とはできるだ
け重複しないようにしますが、用例が少ない場合はどうしても重複してしまい
ます。あしからず。】  

A.ラッセルの著作における用例
 
<用例1>
I have by no means lost my belief in love, but the kind of love that 
I can believe in in is not the kind that the Victorians admired .
[私は決して恋愛(の価値)を信じなくなったわけではないが,私が信じること
のできる恋愛の種類は,ヴィクトリア朝時代の人々が賛美したような性格のも
のではない。]
 出典:ラッセル『幸福論』第2章「バイロン風の不幸」
     https://russell-j.com/beginner/HA12-060.HTM

<用例2>
If you were to inquire among journalists either in England or America
 whether they believed in the policy of the newspaper for which they 
worked, you would find, I believe, that only a small minority do so; 
the rest, for the sake of a livelihood, prostitute their skill to 
purposes which they believe to be harmful.
[かりに、イギリスあるいはアメリカのジャーナリストたちに、自分が働いて
いる'新聞のポリシー(方針)'を良いと信じているかどうか尋ねてみれば、き
っと、ごく少数者のみが信じているが、それ以外の人々は、生計をたてるため
に、自分たちが有害だと信じている目的に、自分の熟練技能を売っている(売
文している)ということがわかるだろう。]
 出典:ラッセル『幸福論』第14章「仕事」
     https://russell-j.com/beginner/HA25-060.HTM

<用例3>
In the nineteenth century men took progress for granted, and, 
especially after people had begun to believe in evolution, it was 
thought to be a law of nature that the future must be better than the
 past. .
[十九世紀においては、人類の進歩は当然のことと信ぜられ、とくに人類が進
化(論)を信じ始めてからは、将来は過去よりも良くなるという考えは、自然の
法則だと考えられた。]
 出典:ラッセル『アメリカン・エッセイ集』の中の「長い目で見ること」
     https://russell-j.com/LONGVIEW.HTM

B.他の参考例

<参考例1>
Do you believe in fairies. / Christians believe in Jesus. / I don't 
believe in all these so called health food.
 出典:Longman DIctionary of Contemporary English, new ed.

<参考例2>
Do you believe in God? / They need a leader they can believe in.
 出典:Oxford Advanced Learner's Dictionary, 8th ed.


★「ラッセルの言葉(Word Press 版)v.2, n.1471〜1475

1)n.1471:R『権力−その歴史と心理』第12章 権力と統治形態 N.3
       https://russell-j.com/wp/?p=5130
         
2)n.1472: R『権力−その歴史と心理』第12章 権力と統治形態 N.4
      https://russell-j.com/wp/?p=5133

3)n.1473: R『権力−その歴史と心理』第12章 権力と統治形態 N.5
          https://russell-j.com/wp/?p=5136

4)n.1474: R『権力−その歴史と心理』第12章 権力と統治形態 N.6
       https://russell-j.com/wp/?p=5139
 
4)n.1475: R『権力−その歴史と心理』第12章 権力と統治形態 N.7
       https://russell-j.com/wp/?p=5142
     

★「ラッセルの言葉_画像版」

 日本語 version : n.1147j-1153j を投稿
 英 語 version : n.1147e-1153e を投稿

  一つだけ再録します n.1151j (Dec. 26, 2019)
      https://russell-j.com/smart_r366/r366g_j1151.html

 「体罰」

 大人になってからであろうと,少年時代であろうと,この種の体罰を経験した
人間は,怒りに駆られ,激烈な反逆者になるか,あるいは自分の番が来たら(自
分が人を罰せられる立場になったら)他の怠け者に苦痛を与えようとする強烈
な欲望を持つか,いずれかである。後者の方の感情は,道徳的怒りという名目で
正当化されるが,この感情の持主は,実はこれがかつて自分がなめた同じ苦痛を
他人に与えようとする欲望である事実に気がつかない。

The man who, whether in adult life or in boyhood, has submitted to 
this sort of thing, is filled with anger, which turns him either into
a furious rebel or into a man with a ferocious desire to torment other
 delinquents when his turn comes. The latter feeling can be justified 
as moral indignation, and the man who feels it never realises that it 
is really a desire to inflict on others what he has been made to 
suffer himself.
 Source: "On corporal punishment" [From: Mortals and Others: 
Bertrand Russel l's American Essays, 1931-1935, v.1 (1975)]
 More info.: https://russell-j.com/PUNISH-C.HTM

<寸言>
 体罰を受けても根に持たないのはマゾヒストだけ。サディスト的傾向のある
人は、自分のそういった傾向を偽装する。

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(2) ラッセルに関する記述や発言等 
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★ R落ち穂拾い−中級篇
 1)・カルロ・ロヴェッリ(著),冨永星(訳)『時間は存在しない』(NHK出版,
2019年8月刊)(2019.12.27)
https://russell-j.com/cool/br_inyo-2019.html#br2019-2

* カルロ・ロヴェッリ(Carlo Rovelli, 1956〜 ):理論物理学者。ボローニ
ャ大学卒業後、パドヴァ大学大学院で博士号取得。現在はフランスのエクス=
マルセイユ大学の理論物理学研究室で、量子重力理論の研究チームを率いる。
「ループ量子重力理論」の提唱者の一人。
 
 今世界的なベストセラーになっている、(ホーキング博士の再来と言われて
いる)高名な物理学者の時間論です。

「(pp.165-166) 基礎物理学の法則は「原因」を語ることなく規則性のみを語
り、過去と未来に関して対称である。イギリスの哲学者バートランド・ラッセ
ルは有名な論文でこの点に着目し、「因果律は・・・過ぎ去った時代の遺物で
あり、ちょうど専制君主制度のように、害をなさないという勘違いのおかげで
生き延びているにすぎない」と強い調子で記している。むろんこれは誇張であ
る。というのも根本のレベルで 「原因」がないというだけの理由で、原因と
いう概念自体が時代遅れになるわけではないからだ。根底的なレベルでは猫も
存在しないが、だからといってわたしが猫の世話をしなくなるわけではない。
過去にエントロピーが低いという事実があればこそ、原因という概念が有効に
なる。
 そうはいっても、記憶や因果、流れや「定まった過去と不確かな未来」とい
ったものは、ある統計的な事実、すなわち宇宙の過去の状態としてありそうに
ないものがあるという事実がもたらす結果にわたしたちが与えた名前でしかな
い。」

★ R落ち穂拾い−初級篇 
 1)(読売新聞コラム)「幸せをもたらすのは熱中-定年退職後に新しい分野を」
https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20191128-OYTET50018/

「数学者でノーベル賞受賞者でもあるバートランド・ラッセルには色々な著
作がありますが、中でも「幸福論」は一般の方にも人気がある本の一つで、
内容は全て「心のアンチエイジング」に通じるものがあります。そして、ラ
ッセルが「幸せをもたらすもの」の一つとして、まず挙げている言葉が「熱
意」です。ですが、よく読むと、むしろ「熱中」と言ったほうが良いかもし
れません。周りのことはすっかり忘れ、ある一つのことに夢中になった状態
ですね。・・・。」

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 編集後記 本年最後の発行です。
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 この週刊版は本号が今年最後の発行となります。
 ご愛読ありがとうございました。

 メルマガ「ラッセルの言葉」及び「ラッセルの英語」は、12月28日から来年
1月5日まで、年末年始のため発行を休止します。その関係で、この週刊版の
来年の初号は1月11日(土)を予定しています。

 来年もよろしくお願いいたします。
   松下彰良              
 ★松下彰良(訳・編)『ラッセルの言葉366』
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■編集・発行:(松下彰良/まつした・あきよし)
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