ラッセル=シュヴァイツァー_往復書簡 n.31 (1963.09.27)
* 出典:『シュワイツァー研究』n.11(シュワイツァー日本友の会、1982年9月)pp.58-59.★ 往復書簡・索引
一九六三年九月二十七日
バートランド・ラッセル
九月九日附の手紙で、ソ連邦内のユダヤ人のためのフルシチョフ氏へのアピールにあなたの署名をお願いしましたが、そのアピールには第二次世界大戦の結果、ごく近い身内から引きはなされてきた個々の人たちの悲劇的な窮地に少しも言及していないことに、その後私は気がつきました。この事柄を含めることをあなたもたしかにお望みになると思い、それゆえアピールの文章をほんの少し修正してみたいのです。附け加えた部分は、下記の修正した第三および第四の段落で下線を施してあります。
これらの修正にあなたの御賛同を得られるかどうか、できるだけ早くお知らせ下さい。「ユダヤ人はヨーロッパの歴史において長期にわたる迫害にさらされてきました。この残虐の極が現代におけるユダヤ人の大量抹殺でしたが、これは人類の歴史におけるもっとも野蛮な犯罪の一つであり、この大量抹殺の混沌たる結果として生き残った家族の悲劇的な離散があります。苛酷な苦難のゆえに理解と同情に値する民族があるとすれば、それはヨーロッパのユダヤ人です。
ラッセル英単語・熟語1500
それゆえ私たちの大いに望むことは、ユダヤ人が実際上も法律上も、十分な文化的生活と宗教的自由と民族としての諸権利を許されることです。そして多年にわたり、その後イスラエルその他に再定住した、最近親者から引き離されている人々がついには再び一しょになることが許されることです。」
敬 具 バートランド・ラッセル
注:正式な財団設立二日前に手書きの宛名をそえて、多分平和財団のすべての会員に送られた手紙