バートランド・ラッセル(作)「聖職者であることの利便性」(『ラッセル短篇集』より)
* 出典:バートランド・ラッセル(作),内山敏訳『ラッセル短篇集』(中央公論社、1954年4月刊。207pp.)* 原著:Satan in the Suburbs, 1953, by Bertrand Russell
* 内山敏(1909~1973)は、日本バートランド・ラッセル協会設立発起人の一人
彼女がそう思ったのも無理からぬことであると認めなければならない。彼女の父親は田舎であるサフォーク州のそのまた片田舎のクィコウム・マグナ(Quycombe Magna)というところの教区牧師であった。
この村は教会と牧師館、それから郵便局と居酒屋が1軒づつ、小さな農家が10戸と、貧弱さの埋め合せするただ1つの古い立派な領主館からなっていた。その当時(というのは50年ほど前の話だが)この村を外部世界とつなぐただ1つのものは、週に3回クィコウム・パーヴァ(Quycombe Parva)に行く乗合バスだけであった。クィコウム・パーヴァはもっとずっと大きな村で、鉄道の駅があり、鉄道に乗れば、かなりの老人でも(話によれば) Liverpool Street に行けるとのことであった。
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ときどきは、少しだけ自由に振る舞おうとしたが、無駄な努力であった。・・・
(The Benefit of Clergy の他の挿絵)
*この続きは、原書を購入して読まれるか、邦訳書をお読みください。(『ラッセル短篇集』は、早大ラッセル関係資料コーナー、国会図書館、都立中央図書館、東洋大、京大総合人間学部、神戸市立大学、琉球大学等で所蔵しています。また、Cambridge 大学図書館及び Oxford 大学図書館でもこの邦訳書を所蔵しています。)
... Its only connection with the outer world at that time, some fifty years since, was a bus which ran three times a week to Quycombe Parva, a much larger villiage, with a railway station from which (it was said) persons of sufficient longevity might hope to reach Liverpool Street. ...