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バートランド・ラッセル(著)『心の分析』への訳者(竹尾治一郎)あとがき

* 出典:バートランド・ラッセル(著),竹尾治一郎(訳)『心の分析』(勁草書房,1993年3月。ix+394+x pp.)
* 原著:The Analysis of Mind, 1921)

訳者あとがき

 本書は、バートランド・ラッセル(Bertrand Russell, 1872-1970)の著書 The Analysis of Mind, 1921(London; George Allen & Unwin, 1921)の全訳である。本書の性格や他のラッセルの哲学的業績との関係については、巻末に付けた訳者の「解説」をみていただきたい。心理学用語については、手近かにある心理学辞典(たとえば、宮城音弥(編)『岩波小辞典・心理学』(第三版)など)を参照させてもらったが、訳者が適当と思った訳語をあてた場合もある。その他、一々訳者のお名前は挙げないが、これまでに出たラッセルの著作の翻訳や、本書に引用されている文献の翻訳を、部分的に参考にさせていただいたところがある。これらの著者や訳者に対して、お礼申しあげる。

 ラッセルは哲学の理論や学説に貢献しただけではなく、明瞭に考え、Straightforward な散文を書くという、この上もなく貴重な伝統を英語圏の思想に打ち立てた。私の翻訳が成功しているにせよいないにせよ、この訳書の読者が、さらに原書を読みたいと思われ、そしてそれを実行に移されることを期待してやまない。この翻訳の仕事は、青山学院大学の坂本百大教授の御仲介を得て着手された。また、剰郵は、妻鼎子をわずらわした。ともに厚くお礼申しあげる。最後にしかし最少にではなく、この翻訳の作業がひどく遅れたことについて、勁草書房の示された忍耐と寛容に感謝する。
 1992年8月末日 竹尾治一郎