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ラッセル(著),市井三郎(訳)
『社会改造の原理』

(河出書房新社版『世界の大思想』v.26,1969年8月刊。pp.1-155)

* 原著: Principles fo Social Reconstruction, 1916

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第1章「成長原理」n.5
The principle of growth

 ・・・。一般に少なからず信じられていることだが、われわれの内部の本能的なものは変えることができず、ただありのまま受け容れてうまく利用する以外に手はない、という意見がある。これはけっして真相をついた意見ではない。疑いもなくわれわれには、人ごとに異なったある種の生得的な潜在性向があり、それが外部環境と協同することによって、特定の性格をつくり出してゆく。しかしながら、われわれの性格の本能的な部分でさえ、きわめて柔軟性に富むものである。それは信念によって変わることがありうるし、また物質的環境とか社会的環境によって、さらにいろんな制度によって変わりうるものなのだ。
 オランダ人はおそらく、ドイツ人と非常に類似した生まれつきの性向をもつのだが、成人したのちの生活におけるオランダ人の諸本能は、軍国主義や大国の誇りといったものが欠如していることから、ドイツ人の場合と大はばに違ったものになる(松下注:本書は第一次世界大戦中に執筆されたという背景に注意)。また〔宗教的理由などからする〕独身主義者のさまざまな本能が、そうでない他の男性や女性のそれとは、きわめて異なったものになることは明白である。・・・。

... There is a not uncommon belief that what is instinctive in us cannot be changed, but must be simply accepted and made the best of. This is by no means the case. No doubt we have a certain native disposition, different in different people, which co-operates with outside circumstances in producing a certain character. But even the instinctive part of our character is very malleable. It may be changed by beliefs, by material circumstances, by social circumstances, and by institutions. A Dutchman has probably much the same native disposition as a German, but his instincts in adult life are very different owing to the absence of militarism and of the pride of a Great Power. It is obvious that the instincts of celibates become prfoundly different from those of other men and women.