ラッセルの名言
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虚栄心と権力愛(問) 立派な事をやりたい(善行をなしたい)と思っている人が,どちらかというと虚栄心から権力を欲しがることもまた,しばしば起こるのではないですか?(ラッセル) はい,非常にしばしば起こります。それはみな,あれこれやりたいという願望(思い)よりも,(混ぜ物のない)全くの権力愛が勝るからです。アクトン卿(1834-1902,英国の歴史家)が「権力は腐敗する,なぜなら,権力をふるう喜びは権力を実際に経験する(実際に権力をふるう経験をする)につれて成長して大きくなってゆくものだからである」と言ったのはまったく正しいというのは,そういった理由です。たとえば,クロムウェルの例をとってみましょう。クロムウェルが政界に身を投じた時,まったく立派な動機を持っていたことは疑いありません,なぜなら,そこには英国にとってごく重要と彼が思う一定の事柄があり,それがなされるのを目にしたいと思ったからです。しかし,彼はある一定の期間,権力の座について以後,まぎれもなく権力そのものを欲しがりました。そして,それが,彼が,臨終に際して,自分は神の恩寵に背いたと思う,と言った理由です。いや,確かにそうですね。精力があふれている人は,権力を欲しがると思います。しかし,私の場合は,ただ一種類の権力が欲しいだけです。私は世論に影響を与える権力が欲しいと思います。
Woodrow Wyatt: Doesn't it very often happen that the person who wants the good things also wants power because he's rather vain? Source:Bertrand Russell Speaks His Mind, 1960. More Info.:https://russell-j.com/cool/56T-0601.HTM
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