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バートランド・ラッセル「嫌いな詩人」

* 原著:The Autobiography of Bertrand Russell, v.3, 1969, chapt. 15: The Bertrand Russell Peace Foundation
* 出典:牧野力(編)『ラッセル思想辞典
 

 下記は牧野力氏による要旨訳に少し手を入れ、英文を追加したものです。


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 私は、ペン・クラブ(注:国際ペン・クラブではなく,英国ペン・クラブ)で、「芸術としての歴史」(History as an Art, 1954)と題するハーモン・オールド記念講演を行った。講演終了後、私たち(夫婦)は、ペン・クラブの幹事から夕食に招待され、文学上の好き嫌いについて、思いのままに語って楽しんだ。
 特に私はワーズワースが大嫌いである。彼の作品のいくつかのものは優れていると認めなければならず,事実,賞賛もし,好きでもある。しかし、彼の作品の多くは,非常につまらなく,また耐えられないほど表現が大げさでありくだらない。(相手の幹事にとって)不幸なことに,私は,ワーズワースの詩句の悪い部分を容易に思い出す技術をもっており,ワーズワースを支持する人間はほとんど誰でも困惑させることができる。・・・
 私はシェリーには好感を抱いている。
( I gave the Hermon Ould Memorial Lecrure to the PEN club called 'History as an Art'. We were asked to supper afterwards by the Secretary of the Club and I enjoyed indulging my literary hates and loves. In particular, my great hate is Wordsworth. I have to admit the excellence of some of his work - to admire and love it, in fact - but much of it is too dull, too pompous and silly to be borne. Unfortunately, I have a knack of remembering bad verse with ease, so I can puzzle almost anyone who upholds Wordsworth. ...)