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バートランド・ラッセル「ヴチカン(カトリック)対クレムリン(ソ連共産主義)」

* 原著:Dear Bertrand Russell; a selection of his correspondence with the general public 1950-1968
* 出典:牧野力(編)『ラッセル思想辞典


* 以下は、ラッセルが一般市民との間に交わした手紙を編集して出版した Dear Bertrand Russell, 1969 の要旨訳です。


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 もし宗教が人類の大部分にとって必要不可欠なものとすれば、私は、キリスト教のような古くて円熟した宗教の方が新しく向う見ずな力の宗教よりましにちがいない、と思う。
 過去三十年間、究極の争いはヴァチカン(カトリック教会)対クレムリン(ソ連共産主義)の抗争だろう、と私は言って来た。私がカトリックの方を採る根拠は、宗教が知性より情感に由来する点で、ワインのような働きをするものだから、年と共に熟成するという意味にある。だが、歴史的熟成という点からみると、キリスト教より仏教の方を選ぶ。もし、頼れるものを求める宗教によく見られる〝呪物崇拝(fetichism)″から、私に味方になれと求められても、私としては論理学を見捨てることになってしまうのでお断りしたい。
 ナチスも共産主義も共に、民衆(populations)の求める宗教的要素を備えているとは考えない。両方とも、政府の力への意志に対する信頼及び、非統治者の現代の統治技術に抵抗できないことを表していると思われる。また、確信するあまり狂信に走る過程に宗教的性格が十分にうかがえる。

... Religions, like wines, mature with age. I should on this ground prefer Buddhism to Christianity if it were a practical alternative, but I should desert logic if asked to back fetichism. I do not think that either the Nazi or the Communist religion embodies the religious needs of populations. I think both express merely the will to power of governments, and the incapacity of subjects to stand up against modern governmental techniques. ...