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ラッセルによる『拝啓バートランド・ラッセル様_市民との往復書簡集』への追伸

* 原著: Dear Bertrand Russell (London, George Allen and Unwin, 1969), p.192 (Tailpiece)
* 出典:R.カスリルズ、B.フェインベルグ(編),日高一輝(訳)『拝啓バートランド・ラッセル様 - 市民との往復書簡集』(講談社、1970年)pp.295-296
目 次


追伸(Tailpiece 本の最後につけたし), 1968年5月

 拝啓 フェインベルグ様、カスリルズ様

 1950年から1968年にいたる間のわたしの手紙を収録した本をお送りくださり、まことにありがとうございます。
 これほどわたしを喜ばせてくれた本に出会ったことはめったにありませんでした。ですから、この本が出版されることを熱望します。
 ・・・。この本を手にするやいなや、ただちに読了しました。

 いくつかの手紙は、特にわたしを喜ばせてくれます。とりわけうれしかったのは、6歳 の ポール・アルトマン君からの手紙です。また、一般的に述べたものよりももっと簡潔に、教育に関する私の見解を述べている手紙は、たいへん嬉しく思いました。その手紙の中で私が述べている信念は、大部分の教育者がいだいている信念とは、正反対のものです。すなわち、教育は、一般に容認されている事柄にたいし、若い人たちが疑問を持つよう勇気づけるものであるべきである、という信念です。

 あなたがたの手紙の選び方は、まことに賞賛にあたいするものであり、この選択によって、さまざまの時期における私の意見をいきいきと描写してくれるように思われます。また、あなたがたの編集法、注や各章ごとの前書き(forewords)のつけかたは、とても優れていると思います。それに私はこの表題(Dear Bertrand Russell)が好きです!
 敬 具 バートランド・ラッセル
(写真は、故・牧野力教授のアルバムから:プラス・ペンリン山荘のラッセルの書斎からの眺め、1972年)

... The belief which I state in that letter is the oposite of that held by most educators; namely, education should encourage the young to question what has been taken for granted. ...
(From: Dear Bertrand Russell; a selection of his correspondence with the general public, 1950 - 1968. Allen & Unwin, 1969.)