バートランド・ラッセル「社会システム良否の判定(判断)基準」
* 原著:The Problem of China, 1922, chap.1.* 出典:牧野力(編)『ラッセル思想辞典』より
ある社会に良否の判断を下す基準は、次の3点にある。
- その社会の中に善と悪とがどれほど多いか。
- その社会が他の社会に善悪いずれの影響力を与えるか(対比)
- その社会がもつ善が他の社会に与える悪に依存していないか。
人間が一定の価値判断の基準を自覚せずに、自国と正反対の様相をもつ異文化の国とを正当に比較するのは困難である。
気がつく範囲では、親しみの少ない方の文明を過小評価しやすい。見馴れた悪よりも、目新しい悪に常に強い印象を受け、誤解しやすいものである。
(写真:理想社から出版された The Problem of China の邦訳書=牧野力訳の表紙画像)