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バートランド・ラッセル「信仰の時代」

* 原著: Why I am not a Chiristian, and Other Essays, 1957, chap.1
* 出典:牧野力(編)『ラッセル思想辞典』所収


 人々は感情的な理由で宗教を肯定する。

 どの時代でも宗教が強烈であればあるほど、それだけ残酷さは甚だしく、事態は悪化していたという奇妙な事実がある。いわゆる信仰の時代には、拷問を伴った宗教裁判があり、無数の不幸な女性が魔女として焼き殺された。宗教の名において、あらゆる残酷が行われた
 人間感情の小さな進歩、刑法改善、戦争の縮小への歩み、有色人種の待遇改善、奴隷制度の緩和、世界のあらゆる道徳的進歩などは、世界中の組織された教会によって、徹頭徹尾反対されてきた。私はあえて言う。教会として組織されたキリスト教徒の宗教は、世界の道徳的進歩の主な敵であると。
(挿絵:From Russell's The Good Citizen's Alphabet,1954)