バートランド・ラッセル「懐疑主義」
* 原著: Sceptical Essays, 1928, pt.1.* 出典:牧野力(編)『ラッセル思想辞典』
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私の唱える懐疑主義は、煎じ詰めれば、次のようなことにすぎない。
(1)専門家の意見が一致している場合、それに反対する意見は確実とは思われない。以上3つの命題はなまぬるく見えるかもしれないが、しかし、これが認められれば、人間生活は必ず革命的な変化をおこすであろう。
(2)専門家の意見が一致していない場合、専門家でない者にはどの意見も確実とはみなせない。
(3)ハッキリした十分な根拠がないと専門家が皆揃って主張する場合、一般人は判断を差し控えた方が良い。
人が進んで戦ったり、迫害をしてまで盛り立てようとする意見は、すべて、私の懐疑主義が非難する右の三項のどれかに入る。
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(右上イラスト: The Good Citizen's Alphabet, 1953序文から
* 旧蔵者(故)服部弁之助早稲田大学教授の蔵書印が押されている。確か神田の北星堂で購入したもの)
When there are rational grounds for an opinion, people are content to set them forth and wait for them to operate. In such cases, people do not hold their opinions with passion; they hold them calmly, and set forth their reasons quietly. The opinions that are held with passion are always those for which no good ground exists; indeed the passion is the measure of the holder's lack of rational conviction.