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ラッセル「性的無知」

出典:『ラッセル思想辞典』
目次

(From: Marriage and Morals, 1929, chap.8)



 性的無知を望む制度は,新しい性倫理を確立するには有害である。親と教師は伝統的に子供を無知にしておこうとし,子供は必ず歪められた性知識の持主となり,性を不潔視し,性を欲望のただの吐け口と軽視する。健康な子供の自発的な知的衝動を妨げ,親と教育者は道徳的権威を失墜する。自慰の害を教えるのは,脅しの一種で,精神障害を起しかねない。私の学校経営の体験によれば,子供のみだらな行為は大人達のお上品ぶりの産物である。性や排泄物を特別視せずに,しかも下品とみないことに成功した。これ以外には子供を健康に上品に育てる方法はない。両親の裸を子供の眼に自然にさらせばよい。
 三歳頃には父母の肉体的相違に関心を抱く。下品にさせない唯一の道は性的秘密を避けるにある。
 煽情的な猥褻な出版物でも,合理的な性教育が意図されていればそれほど有害ではない。「ポルノグラフィ」の魅力の九割は,道徳家が少年に性を不潔視させた結果である。明朗で真実の性の理解は,真の健康の規準にも合致する。 ]