バートランド・ラッセル 「幸福な人間」
* 原著:The Conquest of Happiness, pt.2, chap.17, 1930* 出典:『ラッセル思想辞典』より
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幸福な生活は、大体において、道徳的な生活に似ているが、幸福と善とは別である。
職業的道徳家は、'克己'に重きを置き過ぎる。だから人間を自己没入的にする。克己だけが直接目的となり、善と幸福とを同一視して、究極的な目的を見失う。必要なのは、克己中心ではなく、自然に自発的に人々を対外的な興味へと指導して行くことだ。
すべての人々の不幸は、何らかの種類の自己内部の心情の不統一、意識的精神と無意識的精神の協力不足・融和の欠如に基づいている。
幸福な人間には、自己と社会の融和があり、自己分裂も世界との対立もない。幸福な人間は、自分を宇宙の一員と感じ、宇宙の提供する展望と自由とを楽しみ、死にも何ら煩わされない。
(松下注:写真は、ラッセル4歳の時のもの)