バートランド・ラッセル「善い人生への近道」
* 原著:Bertrand Russell : What I Believe* 出典:牧野力(編)『ラッセル思想辞典』所収
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私は、革命を絶対に不必要と言っているのではなく、革命が決して黄金時代への近道ではない、と言いたい。個人的にせよ、社会的にせよ、善い人生(良い生活)への近道はない。知性と自制と同情なしで、善い人生(良い生活)は建設されない。これは量的な問題で、徐々の改善、若い時代の訓練、教育上の実験等の問題である。性急さだけが、突発的な改革の可能性を信仰するように人心を駆り立てるのである。可能な徐々の改革やその達成法は、今後の科学の問題である。また、科学者達がその成果に酔って人類の将来を犠牲にせず、彼らが外部世界への物理的な力と同様に彼ら自身の情熱に対して支配力を持てば、遂に人類は善い人生(良い生活)を達成する自由を握れるだろう。