バートランド・ラッセル「言論迫害への反対理由」
* 原著:Religion and Science, 1935, chapter 10: Conclusion* 出典:牧野力(編)『ラッセル思想辞典』
ラッセル英単語・熟語1500 |
いかなる場合においても、意見を迫害することに反対する論拠は、迫害の口実が何であろうと、それには依存しない。(即ち)(意見に対する)迫害反対の論拠は,我々は皆全ての真理を知っていないということ、新しい真理の発見は自由な討論によって助長され、抑圧によって極めて困難にされるということ、及び、長い目で見れば、人類の福祉は真理の発見によって増進され誤謬に基づく行為によって妨げられるということ、である。新しい真理は、しばしば既得の利益(既得権益)にとって不都合である(既得権益者にとって不都合)。金曜に肉食をやめる必要はないというプロテスタントの教理(教義)は,エリザペス1世女王時代の魚屋(魚商人)によって烈しく反対された。しかし、新しい真理は自由に公表されるべきであるというのは、社会全体の利益である(訳注:金曜日がキリストの磔刑の忌日であったため、伝統的にカトリック教徒は金曜日に肉を食べなかった)。
そうして、最初(当初は)は新しい理論(doctrine 学説、学問上の主義、教理、主義)が真理であるかどうか知ることができない以上、新しい真理に対する自由(新しい真理を求めての自由)には、誤謬(間違えること)に対する自由も等しく含まれている。
And since, at first, it cannot be known whether a new doctrine is true, freedom for new truth involves equal freedom for error. These doctrines, which had become commonplaces, are now anathema in Germany and Russia, and are no longer sufficiently recognized elsewhere.)