バートランドラッセル「喫煙と健康」
* 出典:R.カスリルズ,B.フェインベルグ(編)『拝啓バートランド・ラッセル様-市民との往復書簡集』より・・・。拙著『健康の回復 (The Restoration of Health, by Flatto.)』」につきまして,全般的にご批判いただければありがたく存じます。・・・。
ラッセルからの返事・1965年5月19日
拝復 フラット様
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私は昨日93回目の誕生日を迎えましたので,食事や行動全般についての処世訓とかを新たに採りいれるには,いささか時代遅れの人間です。私は,あなたが推薦しておられる多くの事柄について正しいと心から信じています。しかし,私は73年間に渡ってずっとパイプ煙草を吸い続けてきましたので,いまさらこの楽しみについては放棄したいとは思っていません*。
* 注:ラッセルが喫煙し続けてきたのは,ゴールデン・ミクスチュア(Golden Mixture)'という銘柄のタバコのみであった。そのタバコは Fribourg and Treyer 社製で,彼は1895年に同社が設立されて以来ずっとその顧客であった。)
あなたが'描写'されている種々の望ましい心構えは大変魅力的であり,我々が皆あなたの教えに従えば,より健康を増進できるだろうことは疑いありません。
敬 具
1965年5月19日 バートランド・ラッセル (From: Dear Bertrand Russell; a selection of his correspondence with the general public, 1950 - 1968. Allen & Unwin, 1969.)
(松下注:ラッセルはもちろん健康のために禁煙することに反対したり,皮肉ったりしているわけではない。ラッセルは,93歳まで長生きしたのでいまさらもっと長生きするために禁煙したいとは思わない,また1948年に自分が乗った水上飛行艇が墜落したが喫煙室にいたものだけが助かったという経験もあり,「ラッセル個人に限定すれば」喫煙はラッセルを救ったとも言える。)