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「二つの賛美歌(聖歌)」(『拝啓バートランド・ラッセル様』より)

* 出典: R.カスリルズ,B.フェインベルグ(編),日高一輝(訳)『拝啓バートランド・ラッセル様-市民との往復書簡集)』
目次


 子供の頃から最もあなたの身近にあった'賛美歌'(聖歌)は何か,教えてください。 また,それらの賛美歌は,あなたとどのようなつながりがあり,またあなたにとってどういった価値があったか,教えてください。・・・。
★参考:賛美歌 歌詞対照データベース


(ラッセルからの返事・1967年8月5日)←ラッセル95歳!

ラッセルの言葉366

 拝復,ミセス・ラングレン様
 ・・・。私が子どもの頃は,自宅で家族祈祷会を開き,讃美歌(聖歌)を歌うのを習慣としていました。歌う賛美歌は,日によって異なっていました。その結果,讃美歌についての私の知識は,かなりのものです。なかでも特に二つの讃美歌を記憶しています。そのうちの一部を別紙に記します。両方とも,『古今讃美歌集(聖歌集)』からとったものです。
 この二つの讃美歌を,私は,キリスト教平和主義の典型だといつも考えてきました。(松下注:これは皮肉です!)
 敬 具
 一九六七年八月五日 バートランド・ラッセル



(別  紙)

の画像 視聴!
(歌詞が少し異なります。多分転記したと思われますので,歌詞は何種類かのバージョンがあるのでしょうか? あるいはラッセルは記憶力に自信をもっていますので,讃美歌集を見ながら転記したのではなく,記憶に頼って書きとめたものでしょうか?)

クリスチャンよ!
汝,聖なる地上にて,ミディアンの軍隊の
徘徊しつつあるさまを知るや
クリスチャンよ!
起ちてかれらを打ち破れ
敗北を考えず,ただ勝利のみを念として
十字架の功徳によりてかれらを打ち破れ!

 視聴!
神の子,戦に赴く,
王冠をかち得んと
神の子の血染の軍旗はるかに翻る,
みあとに続くものは誰ぞ!
この賛美歌に呼応してあとに続く者は,ヴェトナムのアメリカ人(兵隊)だろうと思います。(← これはラッセルのコメントです。)

 敬具 バートランド・ラッセル

(From: Dear Bertrand Russell; a selection of his correspondence with the general public, 1950 - 1968. Allen & Unwin, 1969.)

Christian, dost thou see them on the holy ground,
How the troops of Midian prowl and prowl around?
Christian, up and smite them, counting gain not loss;
Smile them by the merit of the Holy Cross.

The Son of God goes forth to war,
A Kingly crown to gain;
His blood-red banners stream afar,
Who follows in His train?

(I suppose the answer should be, the Americans in Vietnam)