バートランド・ラッセルのポータルサイト

「ゴア主教」(『拝啓バートランド・ラッセル様』より)

 ・・・私は(現在)チャールズ・ゴアー主教(Bishop Charles Gore)の研究に従事しています。それで、1928年に、ロンドンのユニバーシティ・コレッジの大講堂で行なわれたゴア主教とあなた(ラッセル)との間の公開討論について何らかの情報を教えていただければ幸いです。

* 注1:この討論の主題は「キリスト教の主張は妥当か?」であり、(1929年ではなく)1928年2月12日に行なわれた。
* 注2:bshop は,(カトリックの)司教,(プロテスタントの)監督、(英国国教会の)主教,(仏教の)僧正のこと。英国国教会では,イングランドとウェールズを40の教区に分けて,それぞれに一人の主教(bishop)を配置している。


  →『拝啓バートランド・ラッセル様』目次

(ラッセルからの返事・1958年11月13日付)

 拝復 カーペンター様


 あなたが言及しておられる討論の時にゴアー主教が私にどんな印象を与えたのか、申し訳ありませんが,私はまったく思い出せません。あの時のことについて私が記憶している唯一のことは、当時6歳だった私の息子が、乳様突起(炎)(mastoid)のために耐えがたい痛みに苦しんでおり、手術を受けようとしてしていた時にその討論(会)が行われたということと、討論に参加していたゴア主教の支持者の一人が苦痛は全て罪に対する罰(処罰)であると主張していたことだけです。
            敬具
 バートランド・ラッセル


Nov. 13, I958

Dear Mr Carpenter,

I am sorry to say that I have no recollection of the impression made upon me by Bishop Gore on the occasion to which you allude. The only thing that I remember about the occasion is that it occurred when my son, then aged six, was suffering intolerable pain from mastoid for which he was about to be operated, and that one of Bishop Gore's supporters in the debate maintained that all pain is a punishment for sin.
Yours sincerely
Bertrand Russell

(From: Dear Bertrand Russell; a selection of his correspondence with the general public, 1950 - 1968. Allen & Unwin, 1969.)