バートランド・ラッセル「良心」
* 原著:The Conquest of Happiness, 1930, chap.7* 出典:牧野力(編)『ラッセル思想辞典』より
良心はもはや神秘的なものではなくなった。今までは、神秘的とみなされていたからこそ「神」の声と考えることができた。
今日では、世界中で場所が変ると良心がそれぞれちがった行為を命令することが知られている。大雑把に言えば、良心はどこにおいてもその地域の住民たち(一族)の慣習に一致しているものであることが分った。良心が人間を責める(良心がとがめる)場合、一体、ほんとうは何が起こっているのだろうか。
「良心」という言葉の中には、事実、様々な感情が含まれている。その最も単純なものは、悪事が露見しないかという恐怖である。・・・。この感情に非常に近いのは、集団からのけものにされはしないかという恐れである。
We know that conscience enjoins different acts in different parts of the world, and that broadly speaking it is everywhere in agreement with tribal custom. What, then, is really happening when a man's conscience pricks him? ...