バートランド・ラッセル「在英米軍基地」
* 原著:Has Man a Future ?, 1961* 出典:ラッセル思想辞典
英国にある米軍基地内部には、'秘密精鋭部隊'がある。警報に即応して一、二分以内に空中に上昇できるほど高度に訓練された飛行士の集団である。他の米兵から完全に隔離され、その部隊専用の食堂、宿舎、図書室、映画室をもち、同じ基地内の他の米人の接近を防ぐ武装衛兵がいる。毎月か隔月に、司令官以下全員が帰米し、他の部隊と交代する。付近往民との接触は一切禁止されている。英国人に存在を知らせない目的である。この部隊への命令は、同基地司令官からではなく、即応する能率と重大任務のためワシントンから直接下命される。危機に際して、ワシントンからの発令に英国政府が何らかの抑制を加えうると想像するのは(事前協議の有効性は)'幻想'に過ぎない。この特殊部隊の存在は、ソ連軍の報復を招く標的となり、一時間以内に、英国民に重大な結果を与える存在である。