日本のラッセル研究者・関係者(故人)の発言 - 笠信太郎
* 笠信太郎(1900-1967):日本バートランド・ラッセル協会二代目会長。朝日新聞で常務取締役論説主幹をした後、副社長。
・・・。従って、私たちがラッセルを研究すると言っても、ラッセルの今(1965年)の考えを、そっくりそのまま失敬してくることではありますまい。私たちは私たちらしく、自分の持っている科学的知識、歴史的知識、それに自分の経験的内容を総合することによって、自分の考えを持つことになります。そこで、こういった現代的な行き方ををする限り、私たちはイデオロギーを信奉する人たちのように、すでにできあがっている思想の金殿玉楼に招じ入れられるということにはならない。もし私たちが、自分を高めようと求めるならば、自分の足で山を登るよりほかはない。言いかえると、不断の勉強によって始めて少しずつ山道を登って行けるのですから、常に無限の勉強が要求されることになります。・・・。
(ラッセル生誕93年記念講演会での挨拶:『ラッセル協会会報』n.2の p.3より)