石本新 - 日本のバートランド・ラッセル研究者・関係者の発言
* 石本新(いしもと・あらた、1917~2005):当時、東工大教授。論理学及び哲学専攻
・・・・。ラッセルの論理学を検討するに当たって、二つの方法が考えられる。その一つは「プリンキピア・マテマティカ」に具体化されているラッセルの論理学が果たした歴史的役割を一切無視して、現在における近代(現代?)論理学、あるいは数理論理学の水準をふまえて、ラッセルの論理学を批判することであろう。
このような立場に立つと、ラッセルの論理学は確かに時代後れである。・・・。とすると、私たちはいかなる視点からラッセルの論理学を批判すべきであろうか? 言うまでもないことであるが、より幅の広い歴史的観点からであろう。具体的にいうと、論理学と数理論理学といった狭い枠組みを越えて、ラッセルの論理学を位置づけようという立場からである。
こういった考えにもとづくラッセル哲学、あるいは論理学の検討という厖大な仕事は、筆者の知る限りでは、誰も企てていない、・・・。
(詳細は、『ラッセル協会会報』n.15のp.2-3参照)