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バートランド・ラッセルのポータルサイト


Nightmares of Eminent Persons and Other Stories,
illustrated by Charles W. Stewart.

London; Bodley Head, 1954. 150 p. illus. 21 cm.

形而上学者の悪夢(松下彰良(訳))
The Metaphysician's Nightmares

 かわいそうなことに,我が友アンドレ・バンブロウスキーは, −−中央ヨーロッパの,現在廃校となっている,ある大学で以前哲学教授をしていたが−− 人に危害を加えることのない種類の精神病を患っているように思われた。私自身は,健全かつ常識的な人間である。私は,知性というものは人生の案内者としてではなく,単に愉快に議論したり,あまり頭の回転の早くない相手を困らせる方法を提供してくれるものとして見るべきだと考えている。けれども,バンブロウスキーはそのようには考えず,知性の赴くままに従った。そしてその結果は奇妙なものだった。彼はめったに議論はしなかったので,大部分の友人には彼の考え方の根拠がよく理解できなかった。知られていたことといえば,彼は一貫して「〜でない(否)」という語と,その全ての同意語の使用を避けてきたことだった。彼は,「この卵は新鮮でない」とは言わずに,「卵が産み落とされて以後,この卵の中に化学変化が生じた」と言った。また,「私はあの本を見つけられない」とは言わずに,「私が見つけた本は,あの本とは別のものだ」と言った。また,「汝,殺すべからず」とは言わずに,「汝,生命を大事にすべし」と言ったものである。彼の生き方は,実際的なものではなかったが,汚れのないものであったから,私は彼にはかなりの愛情(好意)を感じた。疑いもなく,この愛情が,とうとう彼の重い口を開かせ,次の様な,大変注目すべき経験を彼にしゃべらせたのであった。以下,その内容について,彼自身の言葉で紹介しよう。
*****

 ある時,大変高熱がでて,私(バンブロウスキー)は,ほとんど死ぬところでした。高熱のなか,私は,長くて論理的に矛盾のない'精神錯乱状態'になりました(注:'consistent delirium' といっているのは,この後に見た夢が脈絡のないものではなく,論理的に首尾一貫していることを言いたいためか?)。私は地獄にいる夢を見たのです。その地獄は,起こりそうにないけれど決して不可能とは言えない出来事で一杯でした。この結果は,奇妙なものです。地獄に落とされた者達の中には,地獄に早く(?)到着すると,トランプ遊びをして,永遠の退屈な時間をまぎらそうと思う者がいます。しかし,これは不可能なことがわかります。なぜなら,いくらトランプを切っても,まったく同じ順序でカードが現れ,スペードのエースで始まり,ハートのキングで終わるのです。確率(論)の研究者のためには,地獄の特別の部門があります。ここには,多数のタイプライターと多数の猿がいます。猿がタイプライターの上を歩くたびに,偶然にも,シェイクスピアのソネット(押韻5歩格の14行詩)の1つをタイプします。他に物理学者が苦悩する場所があります。そこにはヤカンと火がありますが,ヤカンを火にかけると,ヤカンが凍ってしまいます。また,換気の悪い部屋がいくつかあります。しかし,経験から学習した結果ですが,物理学者達は,窓を開けようとはしません。なぜなら,窓を開けると部屋の全ての空気が流失して,部屋が真空状態になってしまうからです。他にも,美食家達(グルメ)のための場所もあります。彼等には申し分のない食材と,最も腕の良い料理人が与えられます。だがビフテキが彼等の前に出され,自信をもって一口食べると,ビフテキは腐った卵のような味がします。他方,卵を食べようとすると,まずいポテトの味がします。
 D.ヒュームを論駁してきた哲学者達だけが住んでいる,特に苦痛の大きい部屋があります。これらの哲学者達は地獄にはいますが,賢くなっていません。彼等は,帰納推理をしようとする動物的性癖に支配され続けています。しかし,彼等が帰納推理をするたびに,次に現れる例がその帰納推理の誤りを立証します。けれども,このようなことは彼等に加えられた永遠の罰の最初の百年間だけに起こります。それ以後は,彼等も帰納推理は誤りを立証されると予想がつくようになりますから,そのように思っても,その次の百年間の論理学上の拷問が彼等の予想を変えてしまうまでは,誤りを立証されることはないのです。永遠を通して驚くべきことが継起しますが,毎回,より高い論理学的次元で起こります。
 それから,存命中は雄弁でもって群衆を動かし支配するのに慣れていた雄弁家達の住む地獄があります。彼等の雄弁は(地獄においても)鈍ることなく,また(彼の演説に耳を傾ける)群衆も与えられますが,雄弁家の声に奇妙な風が起こり,いろんな音をまきちらすため,群衆が耳にするのは雄弁家の声そのものではなく,ただの鈍く重苦しい陳腐な文句にすぎません。
 冥府界のまさに中央に悪魔(サタン)がおり,地獄の亡者達のなかでもより目立つ亡者のみが謁見を赦されます。悪魔に近づけば近づくほど,不思議な,ありえそうもないことが起こります。悪魔こそが想像しうる限り,最も完全に不可思議な存在です。彼は純粋の無,全くの無の存在であり,しかもなお絶えず変化しています。
 私は,哲学上の名声で,早々暗黒の王子(悪魔)の謁見を赦されました。私は,'der Geist der stets verneint',即ち,「'否定(not)'の霊」としての悪魔について読んだことがありました。けれど,悪魔の面前に出るや,私は,悪魔は否定的精神と同時に否定的肉体をもっているということを衝撃を受けつつ,理解しました。実際,悪魔の肉体は全く完全に真空状態であり,単に物質の粒子(かけら)だけでなく,光の粒子さえもないのです。彼の広がった空虚な空間は,これ以上ない不可思議性により,確保されているのです。即ち,ある粒子が悪魔の外面に接近するといつも,偶然他の粒子と衝突し,内部に入ることを阻止されるのです。内部は全然光が入らないので,全くの暗黒です。私達が「黒い」という語をいろんな物にルーズに使うように,多少黒いといったものでなく,純粋かつ完全にどこまでも黒いのです。その空虚なるものには形があり,その形は私達が悪魔に帰属させていた形なのです。つまり,角(つめ),ひづめ,尻尾等々。地獄のその他の部分は全て,'暗い炎'につつまれており,これを背景として,悪魔が恐ろしい威厳をもって立っているのです。彼は動かないわけではありません。反対に,悪魔を形成している空虚な空間は絶えず動いています。なにか彼の気に障ると,彼は怒った猫のように丸めた尻尾という恐ろしいもので,強く打ち付けます。時々彼は新しい王国を征服しに出かけます。出陣する前に彼は,輝く白い鎧で全身を包み,内部の無を完全に隠してしまいます。ただ目だけはむき出しで,彼の目からは,征服するものを探し求めながら,無の刺すような光線が放射されます。その光線が「〜でない(否定)」や,「禁止」や,また'無為の崇拝'を見つけると,必ず,悪魔(サタン)を受け入れる用意のある人間の最深部分に入り込みます。全ての否定は,悪魔から発散し,挫折感を捕獲して戻ってきます。捕獲された挫折感は,かれの一部となり,彼の巨体を膨張させ,ついには全ての空間を占拠しそうになります。その道徳が「〜してはいけない」という禁止からなっている全ての道学者(モラリスト),「「やります」といっておきながら,勇気がなく,舌が乾かないうちに,「やめておこう」と言ってしまう」全ての憶病者達,臣民を恐怖の中で生活させるすべての暴君は,やがて悪魔の一部になります(松下注:青字のところは,シェークスピアの『マクベス』からの引用)
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 悪魔は,汎神論の代わりに,汎悪魔崇拝を採用した多数のおべっか使い(追従者)の哲学者達に囲まれています。これらの人達は,「存在(していると思うのは/存在そのもの)は単なる見かけ上(外見上)のものにすぎない,「非存在」こそ唯一本当の実存(現実)であると主張します。彼等は,早晩,現象の非存在の姿を明らかにしたいと思っています。というのはそれを明らかにした瞬間,私達が今実在と考えているものが,実際は悪魔的な本質の周辺部の一部にすぎないことがわかるだろうからです。これらの形而上学者達は,大変巧妙でしたが,私は彼等に同意できませんでした。私は地上にいる間,暴君的な権威に反対するのに慣れており,この習慣が地獄にあっても私に残っていました。私はおべっか使いの形而上学者達と議論を始めました。
 'あなたがたの言っていることは馬鹿げている',と私はいさめました。'あなたがたは無の存在こそが唯一の実在だと言う,あなたがたが崇拝している,このブラック・ホール(black hole)は存在しているとあなたがたは偽って言う。あなたがたは,非存在(存在しないもの)が存在するということを私に説得しようとしている。だがこれは矛盾だ。それに'地獄の炎'がどんなに熱くなろうとも,私は矛盾を容認するほど,論理学上の存在を堕落させるようなことは決してしません。'
 ここでおべっか使いの代表が議論にわってはいってきました。`あなたはせっかち過ぎる`,と彼は言いました。'あなたは非存在が存在することを否定するのですか?' だが,あなたが存在を否定しようとするものは何ですか。もし非存在が無であるとするならば,それについての如何なる陳述も無意味となります。従って,非存在が存在しないというあなたの陳述も無意味ということです。あなたが文章の論理的分析に余りにも少ししか注意を払わなかったのではないかと思います。この事は,あなたが子供の時に教えられているべきことでした。あなたは全ての文には主語があり,もし主語が無だとしたら,は無意味となることは,ご存じではありませんか。そういうわけで,あなたが高潔なる熱情をもって悪魔−非存在なるもの−が存在しないと宣言するなら,明らかに矛盾したことを言っています(自己矛盾していることになります。)
 私(バンブロウスキー)は答えた。'あなたは,疑いもなく,地獄に来てからしばらく経っていて,やや古風な学説を受け入れ続けています。あなたは文章には主語があるなどむだ口をたたいていますが,そういった話は時代遅れです。私が非存在である悪魔は存在しないという時,私は,悪魔や非存在そのものについて言っているのではなく,ただ「悪魔(サタン)」という語,「非存在」という語に言及します。あなたの誤謬は,私に偉大なる真実を明らかにしてくれました。その偉大なる真実とは,「〜でない(否)」という語は必要ないということです。今後私は「〜でない(否)」という語は使わないことにします。'
 これを聞き,集まっていた全ての形而上学者達は大笑しました。突発的な大笑いがおさまってから彼等は,'どうしてこの人がそのように矛盾したことを言うか,その理由を注意して聞こうじゃないか。'と言いました。'耳をすまして聞こうじゃないか,「〜でない(否定)」を使わない彼の立派な戒律について。彼は「〜でない(否)」なる語を使わない(NOT)のだ,本当に!'
 私はいらいらしたが我慢しました。私はポケットの中に1冊の辞書をもっていました。私は否定を表す全ての語を消していきました。'私の発言は,この辞書に残っている語だけで行います。残っているこれらの語の助けがあれば,宇宙の全ての事を説明できるでしょう。記述は長くなるでしょうが,全て,悪魔以外の物についてでしょう。悪魔はこの冥府の王国で余りにも長い間支配してきました。彼の輝く鎧は本物で,恐怖を与えてきましたが,鎧の下には,言語の悪い習慣があるだけだったのです。「〜でない(否)」なる語を避けよ,そうすれば,彼(悪魔)の帝国は終わりです。'
 議論が進むにつれ,悪魔はいや増す怒りで尻尾を打ち付けました。そして猛烈な暗闇の光線が彼のくぼんだ目から射出されました。だが最後に,私が彼のことを言語の悪習慣にすぎないと公然と非難したら,大爆発が起こり,空気が周囲から中に流入し,その恐ろしい姿が消えました。地獄の暗い空気−―これは濃厚になった無の光線によるものであったが−―魔法のように取り払われました。タイプライターの前に座っていた'猿'と思われたものが,突然,'文芸批評家'となってあらわれました。やかんは沸騰し,トランプはごたまぜになり,新鮮なそよ風が窓から吹き込み,ビフテキはビフテキの味がしました。強烈な開放感とともに,私は目覚めました。私の夢がどんなに精神錯乱状態の外見を伴っていたとしても,私の夢のなかには,叡智が含まれていたことがわかりました。その瞬間から熱が下がりましたが,精神錯乱状態−―あなたがそのように考えている−―は続いてます。精神錯乱・・・。

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My poor friend Andrei Bumblowski, formerly Professor of Philosophy in a now extinct university of Central Europe, appeared to me to suffer from a harmless kind of lunacy. I am myself a person of robust common sense; I hold that the intellect must not be taken as a guide in life, but only as affording pleasant argumentative games and ways of annoying less agile opponents. Bumblowski, however, did not take this view; he allowed his intellect to lead him whither it would, and the results were odd. He seldom argued, and to most of his friends the grounds of his opinions remained obscure. What was known was that he consistently avoided the word 'not' and all its synonyms. He would not say 'this egg is not fresh,' but 'chemical changes have occurred in this egg since it was laid.' He would not say 'I cannot find that book,' but 'the books I have found are other than that book.' He would not say 'thou shalt not kill,' but 'thou shalt cherish life.' His life was unpractical, but innocent, and I felt for him a considerable affection. It was doubtless this affection which at last unlocked his lips, and led him to relate to me the following very remarkable experience, which I give in his own words:

* * *

I had at one time a very bad fever of which I almost died. In my fever I had a long consistent delirium. I dreamt that I was in Hell, and that Hell is a place full of all those happenings that are improbable but not impossible. The effects of this are curious. Some of the damned, when they first arrive below, imagine that they will beguile the tedium of eternity by games of cards. But they find this impossible, because, whenever a pack is shuffled, it comes out in perfect order, beginning with the Ace of Spades and ending with the King of Hearts. There is a special department of Hell for students of probability. In this department there are many typewriters and many monkeys. Every time that a monkey walks on a typewriter, it types by chance one of Shakespeare's sonnets. There is another place of torment for physicists. In this there are kettles and fires, but when the kettles are put on the fires, the water in them freezes. There are also stuffy rooms. But experience has taught the physicists never to open a window because, when they do, all the air rushes out and leaves the room a vacuum. There is another region for gourmets. These men are allowed the most exquisite materials and the most skilful chefs. But when a beefsteak is served up to them, and they take a confident mouthful, they find that it tastes like a rotten egg; whereas, when they try to eat an egg, it tastes like a bad potato.
There is a peculiarly painful chamber inhabited solely by philosophers who have refuted Hume. These philosophers, though in Hell, have not learned wisdom. They continue to be governed by their animal propensity towards induction. But every time that they have made an induction, the next instance falsifies it. This, however, happens only during the first hundred years of their damnation. After that, they learn to expect that an induction will be falsified, and therefore it is not falsified until another century of logical torment has altered their expectation. Throughout all eternity surprise continues, but each time at a higher logical level.
Then there is the Inferno of the orators who have been accustomed while they lived to sway great multitudes by their eloquence. Their eloquence is undimmed and the multitudes are provided, but strange winds blow the sounds about so that the sounds heard by the multitudes, instead being of those uttered by the orators, are only dull and heavy platitudes.
At the very centre of the infernal kingdom is Satan, to whose presence only the more distinguished among the damned are admitted. The improbabilities become greater and greater as Satan is approached, and He Himself is the most complete improbability imaginable. He is pure Nothing, total non-existence, and yet continually changing.
I, because of my philosophical eminence, was early given audience with the Prince of Darkness. I had read of Satan as der Geist der stets verneint, the Spirit of Negation. But on entering the Presence I realized with a shock that Satan has a negative body as well as a negative mind. Satan's body is, in fact, a pure and complete vacuum, empty not only of particles of matter but also of particles of light. His prolonged emptiness is secured by a climax of improbability: whenever a particle approaches His outer surface, it happens by chance to collide with another particle which stops it from penetrating the empty region. The empty region, since no light ever penetrates it, is absolutely black - not more or less black, like the things to which we loosely ascribe this word, but utterly, completely and infinitely black. It has a shape, and the shape is that which we are accustomed to ascribe to Satan: horns, hooves, tail and all. All the rest of Hell is filled with murky flame, and against this background Satan stands out in awful majesty. He is not immobile. On the contrary, the emptiness of which He is constituted is in perpetual motion. When anything annoys Him, He swinges the horror of His folded tail like an angry cat. Sometimes He goes forth to conquer new realms. Before going forth, He clothes Himself in shining white armour, which completely conceals the nothingness within. Only His eyes remain unclothed, and from His eyes piercing rays of nothingness shoot forth seeking what they may conquer. Wherever they find negation, wherever they find prohibition, wherever they find a cult of not-doing, there they enter into the inmost substance of those who are prepared to receive Him. Every negation emanates from Him and returns with a harvest of captured frustrations. The captured frustrations become part of Him, and swell His bulk until He threatens to fill all space. Every moralist whose morality consists of 'don'ts,' every timid man who ''lets I dare not wait upon I would,''*1, every tyrant who compels his subjects to live in fear, becomes in time a part of Satan.
He is surrounded by a chorus of sycophantic philosophers who have substituted pandiabolism for pantheism. These men maintain that existence is only apparent; non-existence is the only true reality. They hope in time to make the non-existence of appearance appear, for in that moment what we now take to be existence will be seen to be in truth only an outlying portion of the diabolic essence. Although these metaphysicians showed much subtlety, I could not agree with them. I had been accustomed while on earth to oppose tyrannous authority, and this habit remained with me in Hell. I began to argue with the metaphysical sycophants:
'What you say is absurd,' I expostulated. 'You proclaim that non-existence is the only reality. You pretend that this black hole which you worship exists. You are trying to persuade me that the non-existent exists. But this is a contradiction: and, however hot the flames of Hell may become, I will never so degrade my logical being as to accept a contradiction.'
At this point the President of the sycophants took up the argument: 'You go too fast, my friend,' he said. 'You deny that the non-existent exists? But what is this to which you deny existence? If the non-existent is nothing, any statement about it is nonsense. And so is your statement that it does not exist. I am afraid you have paid too little attention to the logical analysis of sentences, which ought to have been taught you when you were a boy. Do you not know that every sentence has a subject, and that, if the subject were nothing, the sentence would be nonsense? So, when you proclaim, with virtuous heat, that Satan - Who is the non-existent- does not exist, you are plainly contradicting yourself.'
'You,' I replied, 'have no doubt been here for some time and continue to embrace somewhat antiquated doctrines. You prate of sentences having subjects, but all that sort of talk is out of date. When I say that Satan, Who is the non-existent, does not exist, I mention neither Satan nor the non-existent, but only the word 'Satan' and the word 'non-existent.' Your fallacies have revealed to me a great truth. The great truth is that the word 'not' is superfluous. Henceforth I will not use the word 'not.''
At this all the assembled metaphysicians burst into a shout of laughter. 'Hark how the fellow contradicts himself,' they said when the paroxysm of merriment had subsided. 'Hark at his great commandment which is to avoid negation. He will NOT use the word 'not,' forsooth !'
Though I was nettled, I kept my temper. I had in my pocket a dictionary. I scratched out all the words expressing negation and said: 'My speech shall be composed entirely of the words that remain in this dictionary. By the help of these words that remain, I shall be able to describe everything in the universe. My descriptions will be many, but they will all be of things other than Satan. Satan has reigned too long in this infernal realm. His shining armour was real and inspired terror, but underneath the armour there was only a bad linguistic habit. Avoid the word 'not,' and His empire is at an end.'
Satan, as the argument proceeded, lashed His tail with ever-in-creasing fury, and savage rays of darkness shot from His cavernous eyes. But at the last, when I denounced Him as a bad linguistic habit, there was a vast explosion, the air rushed in from all sides, and the horrid shape vanished. The murky air of Hell, which had been due to inspissated rays of nothingness, cleared as if by magic. What had seemed to be monkeys at the typewriters were suddenly seen to be literary critics. The kettles boiled, the cards were jumbled, a fresh breeze blew in at the windows, and the beefsteaks tasted like beefsteaks. With a sense of exquisite liberation, I awoke. I saw that there had been wisdom in my dream, however it might have worn the guise of delirium. From that moment the fever abated, but the delirium-as you may think it- has remained.

*1 シェークスピアのマクベスからの引用
Was the hope drunk
Wherein you dress'd yourself? hath it slept since?
And wakes it now, to look so green and pale
At what it did so freely? From this time
Such I account thy love. Art thou afeard
To be the same in thine own act and valour
As thou art in desire? Wouldst thou have that
Which thou esteem'st the ornament of life,
And live a coward in thine own esteem,
Letting 'I dare not' wait upon 'I would ← ★
(掲載日:??.??.??/更新日:2011.3.26)