![]() ラッセル協会会報_第15号 |
「たしかに合衆国は革命的伝統をもっています。そしてそれは、はじめは人間の自由と社会的平等のための戦いに忠実でした。この伝統こそが、今日合衆国を支配している少数者によって傷つけられているのです」。「アメリカ民主主義は、その生命と意味とが空っぽになってしまいました」。アメリカ独立戦争の国民的英雄は叫んだではないか。「われに自由を、しからずんば死を」と。それは今、アメリカの侵略と占領とに抵抗するベトナム人の叫びなのだ。「自由と民主主義とのための真の戦いは、合衆国自体の国内にあり、アメリカの社会を奪った者に対するそれであります」。「自由のための戦場はワシントンにあります」。私は教育学者であって教育学者に過ぎないので、場ちがいのようにも思いながら、突き動かされて「ベトナムにおけるアメリカの侵略戦争犯罪調査日本委員会」の結成に参加した。委員会はベトナムに調査団を送り、戦犯裁判国際法廷にも人を送り、そして国際法廷に呼応して「東京法廷」を開いた。東京法廷は、いうまでもなく、アメリカの侵略犯罪のみでなく、日本政府のそれへの協力加担、すなわち共犯関係をもさばいたのである。
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