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発足するラッセル協会(= 日本バートランド・ラッセル協会)

* 出典:『朝日新聞』(1965年1月19日朝刊)より

笠信太郎の写真
 イギリスの思想家バートランド・ラッセルの哲学や平和思想を研究、理解し、その理想とする「よりよき世界」の実現に寄与しようと、「ラッセル協会」(仮称)が誕生する。20日午後6時、早大大隈会館で発起人会が開かれ、規約、方針などが決まる。
 設立準備には、笠信太郎(代表/右写真)、日高一輝(ラッセル百人委員会)、碧海純一(東大法学部教授)、牧野力(早大政経学部助教授)、水口志計夫(立大助教授)、東宮隆(東工大教授)、などの諸氏があたった。
 碧海純一東大教授は、「ラッセルの思想・業績は、今日の世界で、特に大きな意義をもつと思うが、いたずらに個人崇拝に陥ることは避けたい。このためラッセルの傾倒者だけでなく、彼の批判者も包容すべきであろう。日本の思想界では、ドイツ観念論の影響がまだ強く、マルクス主義者も基本的にその影響下にある。そのような事情を考えると、基本的にイギリス経験論にたつラッセルの思想などが、もっと研究されてよいのではないか。彼の平和運動は広く知られているが、その根本にある考え方もあわせて理解することが必要だと思う」といっている。
 なお、同会は純粋の思想団体、研究団体として終始し、政治活動は行わない考えだという。学生や若い勤労者の参加を望んでいる。

 連絡先:牧野力方(住所省略)