天空のティーポット a china teapot revolving in an elliptic orbit

teapot_russell いま一つ例をあげて申しますと,地球と火星の間に楕円形の軌道にのって回転している中国製の陶器製のティーポットがないとは誰も証明することができませんが,だからといって,そういうものがあるということが,実際に十分に計算に入れられるべきだなどとは誰も考えません。私は,キリスト教の神も,ちょうどこれと同じように実在しそうもないと考えます。

To take another illustration : nobody can prove that there is not
between the Earth and Mars a china teapot revolving in an elliptic
orbit, but nobody thinks this sufficiently likely to be taken into
account in practice. I think the Christian God just as unlikely.
* elliptic = elliptical (adj.):having the shape of an ellipse
* ellipse (n):楕円,長円
出典:ラッセル『拝啓バートランド・ラッセル様-一般市民との往復書簡』の中の「(ラッセルは)無神論者か不可知論者か」)]
詳細情報:http://russell-j.com/beginner/AGNOSTIC.HTM

[寸言]
有名な「天空のティーポット」の喩えです。「~である」ということは、一つでも実例をみつけられれば証明できます。しかし「~でない」ということは、宇宙の「全て」を「一度に」見ることができない以上、理論的に不可能なことです。従って、「~でないなら、それを証明してみろ!」というのは、不当な要求です。(たとえば、甘利氏が賄賂をもらっていないということは証明できません。だから「身の潔白をはらす」なんてできないんです。)
ウィキペディアにも「ラッセルのティーポット」という見出しで解説が書かれています。
即ち、「宇宙のどこかに地球と火星の間を通って太陽を周回するティーポットがあると主張する者が、それは誤りであると誰も証明できないことを根拠にして、周回するティーポットの存在を信じることを求めるのはナンセンスである。(「神の存在」の証明についても同様である。)」という指摘です。