立場の違いが際立つ,科学者と芸術家

JUSHO 科学者(政治的な)同志を必要としない。同僚(研究競争相手)を除いて、すべての人から良く思われているからである。これに反して、芸術家は、軽蔑されるかあるいは卑屈になるか、いずれかを選ばなければならない、という辛い立場に置かれる。彼の才能が第一級であれば、これらの不運のどちらかを必ず招くことになる。才能を発揮すれば前者を招き、発揮しなければ後者を招く

The man of science has no need of a coterie, since he is thought well of by everybody except his colleagues. The artist, on the contrary, is in the painful situation of having to choose between being despised and being despicable. If his powers are of the first order, he must incur one or the other of these misfortunes – the former if he uses his powers, the latter if he does not.
出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap. 10: Is Happiness Still Possible?
詳細情報:http://russell-j.com/beginner/HA21-020.HTM

[寸言]
ここでいう「科学者」は,現代においては,少し限定して考えたほうがよいかも知れません。現代においては,大量の科学技術労働者が存在しており,ビッグサイエンスの場合は大規模な資金の獲得が重要ですので、(資金獲得競争において)政治的になる科学者も出てきます。
また,時の政府や権力者の御用科学者は,持ち上げられることはあっても,「尊敬」されることはそれほど多くはないと思われます。ノーベル賞級の科学者でさえ,功をあせって,研究不正にあまり頓着しないほどですので・・・。