バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )
  

 ショーの科学に対する軽蔑は弁護しがたいものであった。トルストイと同じく,ショーは自分が知らないいかなるものについてもその重要性を信じることができなかった。また,生体解剖にはげしく反対した(注:人間に対するものではなく,医学の進歩に必要なマウスなどの生体解剖のこと)。私は,その反対の理由は動物に対する同情ではなく,生体解剖が提供する科学的知識に対する不信の念だと考える。彼の菜食主義もまた博愛家的な動機によるものでなく,むしろ『メトセラ』(ショー作の戯曲)の最後の幕で彼が十分な表現を行なったような,彼の禁欲主義的衝動によるものと思われる。

Shaw's contempt for science was indefensible. Like Tolstoy, he couldn't believe in the importance of anything he didn't know. He was passionate against vivisection. I think the reason was, not any sympathy for animals, but a disbelief in the scientific knowledge which vivisection is held to provide. His vegetarianism also, I think, was not due to humanitarian motives, but rather to his ascetic impulses, to which he gave full expression in the last act of Methuselah.
 出典: Bertrand Russell: Bernard Shaw, 1953.
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/1036_GBS-060.HTM

 <寸言>
 動物を意味もなく殺すことは多くの人が嫌悪感を抱くが、それにもかかわらず、牛、豚、羊、その他あらゆる動物の肉を日常的に平気で食べている。食べるためには動物を屠殺する人が存在しないといけないが、自分が屠殺に関与しない限り、見てみないふりをすることができる。  したがって、動物愛護をしている人でも犬や猫に対しては愛情をもてる人も、羊は食用と考えて、愛情を持たない人が大部分という「ご都合主義」が存在している、と言える。