バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )
  

 (しかし)そういうことはめったに起こらず,その失敗は,「妻のママさん」というジョークを生み出した。ジョークのねらいの一つは,考えることを妨げることであるが-- このジョークの場合,そのねらいは見事に的中した。人に頼るように育てられた少女は,当然自分の母親に頼るようになるので,従って,幸せな結婚の本質である男性との心からの協力関係に入ることができないということを,誰も理解(認識)することができなかったようである。

This seldom happened, and its failure gave rise to the “mother-in-law” joke. One of the purposes of a joke is to prevent thought ?a purpose in which this particular joke was highly successful. No one seemed to realize that a girl brought up to be dependent would naturally be dependent upon her mother, and therefore could not enter into that whole-hearted partnership with a man which is the essence of a happy marriage.
 出典: On Education, especially in early childhood, 1926, Pt. 2:Education of character, chap. 11: Affection and Sympathy
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/OE11-050.HTM

 <寸言>
 "mother-in-law” は、日本人は、「お嫁さんから見た義母(しゅうとめ)」のことだ考えて、「義母にいじめられる嫁」のイメージを抱きやすい。しかし、その後ろに書かれているラッセルの文章(その失敗は,「妻のママさん」というジョークが生まれた。ジョークのねらいの一つは,考えることを妨げることであるが-- このジョークの場合,そのねらいは見事に的中した。人に頼るように育てられた少女は,当然自分の母親に頼るようになるので・・・)の内容とあわないことに気づくはず。気づかなければこのへんの文章は理解できない。米国などでは、「義母にいじめられる嫁」ではなく、「★義母を嫌う夫」のほうがよくある例(つまり、夫から見た義母のこと。「嫁にとっての実の母」がいろいろ口をだしてきてわずらわしいということ)であることに気が付かなければならない。つまり、母親から独立していない(依頼心の強い女性)が結婚することによってもたらされる悲劇を言っている。