バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )
  

 結婚に際して新郎新婦は,今後末永くたがいに愛しあうことが「義務」だと教えられるが,所詮愛情は一つの情緒であって,意志の働きに服する余地はなく,したがって義務の部類には入りえない。思いやりのある(思慮深い)振舞いは,義務に属すると言えても,愛は天与の資質である。この感情が消滅する時,それを喪失した人を憐れむのはよいが,非難することは筋違いである。

In marrying, bride and bridegroom are informed that it will henceforth be their 'duty' to love one another, although, since love is an emotion, it is not subject to the control of the will and therefore cannot come within the scope of duty. Considerate behaviour may be a duty, but love is a gift from heaven: when the gift is withdrawn, the one who has lost it is to be pitied, not blamed.
 出典: On expected emotions (written in July 13, 1932 and pub. in Mortals and Others, v.1, 1975
 詳細情報:http://russell-j.com/EXPECTED.HTM

 <寸言>
 愛情(恋愛感情)は一つの情緒であり,急に生じたり消えたりする。意志の力で好きになったり嫌いになったりするわけではない。だから,恋愛感情が消えたからということでその人を責めることはおかしい。意志の力で愛することを強制することはできず,強制したら自然な愛情ではなくなる。

 「愛すること」,「愛しあうこと」を義務だと考えたり,強制したりすれば,その愛はその価値が半減する。知・情・意,即ち,知識(理性),感情,意志はそれぞれ違った働きをしそれぞれ大事なものであるが,現代日本においては,政治においても,経済においても,スポーツにおいても,・意志が不当に強調されすぎていないか? その結果,ごまかしや偽善が世にはびこり・・・