バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

 彼はエスペラントよりもイド語(注:エスペラント語を一層簡易化したもの)を擁護した。彼(ルイ・クーチュラ)の話によれば,人類の全歴史を通して,エスペランティストほど堕落した人間はなかった。彼は,イド語が,エスペランティスト同様の言葉の形成に向かわなかったこと(注:即ち,エスペラント語を使う人を'エスペランティスト'というように,ido 語を使う人を呼称する言葉が造語されなかったこと)を嘆き悲しんだ。私は,'idiot'(ばか,まぬけ) という言葉を提案したが,彼は余り喜ばなかった(注:冗談)。

He advocated Ido rather than Esperanto. According to his (= Louis Coutura's) conversation, no human beings in the whole previous history of the human race had ever been quite so depraved as the Esperantists. He lamented that the word Ido did not lend itself to the formation of a word similar to Esperantist. I suggested 'idiot', but he was not quite pleased.
 出典: The Autobiography of Bertrand Russell, v.1, chap. 5:First marriage, 1967
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/AB15-170.HTM

 <寸言>
 気の置けない(=気心の知れた)相手でないと、下手に冗談を言えば、相手を激怒させる危険性がある。その点,クーチェラはラッセルの論理学思想を支持・信奉していたのでその心配はなかったが,それでもこちらが真面目に言っている時にちゃかされると,どうしても不愉快になってしまう。「イド語(Ido))をしゃべる人は ‘Idiot’というのは、idiotに馬鹿(間抜け)という意味がなければ(Esperanto 語をしゃべる人は Esperantist でよいように)全然問題ないどころか適切であるが,残念ながら「馬鹿(間抜け)」という意味があった。