バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

 彼ら(アラン・ウッド夫妻)を失ったことは,私にとって計り知れないものであった。私は彼らがとても好きだったばかりでなく,私と関係のある全てに関する彼らの知識と彼等の私に対する好意的な理解(力)に頼るようになっており,また,彼らとの親しい交友を大いに楽しんだ。(だが)私に関する本の中で論じられている諸問題についてのアランの理解には限界があった,と言わなければならない。特に,政治問題に関する議論においては,彼の理解力に限界が見られた。・・・けれども,そのような見解の不一致も,私たちの友情を損なうことも,また純粋の哲学上の会話を邪魔するようなこともまったくなかった。

Their loss to me was incalculable. I not only was very fond of them (Mr. and Mrs. Wood), but had come to depend upon their knowledge of everything to do with me and their sympathetic understanding, and I greatly enjoyed their companionship. (But) It must be said that there were limitations to Alan's understanding of the matters discussed in my books. This showed particularly in regard to political matters. ... Such disagreements, however, never marred our friendship, and never intruded in purely philosophical conversations.
 出典: The Autobiography of Bertrand Russell, v.3:1944-1969, chap.3: Trafalgar Square
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/AB33-010.HTM

 <寸言>
 アラン・ウッドはラッセルの哲学的評伝(『バートランド・ラッセル-情熱の懐疑家』)で有名であり,哲学者としても有望視されていたが若くして亡くなってしまった。  ウッドは,亡くなる直前、「ラッセルの哲学ーその発展についての一研究」を執筆し始めており、それは、ラッセルの My Philosophical Development, 1959(碧海純一訳『私の哲学の発展』』) の巻末に収録されている。