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『論理パラドクス−論証力を磨く99問』

表紙画像  ★第12刷表紙画像(TBSドラマ化記念)

目次  NG問題集  採用問題集  評価軸について

(「まえがき」より)

 一般向けの哲学の本に、時々こんなことが書いてあります。問題を解くよりも、問うことの方が難しく、重要なのだ、と。
 なぜそういう決まり文句がもてはやされるのでしょう?
 哲学って努力なしでも大丈夫、みなさん童心に帰りましょうというポピュリズムでしょうか?
 哲学めいた質問を思いつくのは、けっこう簡単です。既成問題を解くことの方がハッキリ難しく、かつ重要です。そして本当に重要なのは、「論理的に解く」ことでしょう。論証の過程でこそ問いの深い検討が始まり、重大な問いと皮相な問いを識別できる感性も育まれるのです。もっともらしい問いをめぐらして感慨にふけるよりも、正々堂々と解ききることの快楽に目覚めていただこう――それが本書の狙いです。
 ある哲学教育の論文によると、「問題」には3種類あるといいます。まず、パズル。論理的にただ一つの正解が決まる問題です。次に、パラドクス。正解があるはずなのに、常識と合致した答えが一つも見あたらない問題。そして、ジレンマ。常識と合致した答えが複数見つかるが、互いに矛盾しており、どれが正解か決めがたい問題。タイトルに「パラドクス」と銘打ってある本書ですが、実はこの三種類の問題を含んでいます※。
 本書にはオリジナル問題はごく少数で、9割以上は哲学や論理学、数学や社会科学における名うての、由緒正しい問題です。
 学生のレポートの題材になりやすいテーマが多数含まれているので、問題ごとになるべく参考文献を掲げておきました。本当は微妙なパラドクスジレンマかもしれない問題を、あえてパズル扱いにして正解を限定した項目もあります。ですから教師の方々は、批判的な異論を促すという教育目的で本書を利用することもできるでしょう。
 アカデミックな論理を、ビジネスや日常生活や試験や運勢占いへ応用できるかどうか、試してみてください。

 ※D. Cohen,"Putting Paradoxes into Pedagogical Use in Philosophy" Teaching Philosophy 8 (1985) 第4の種類として、リドル(なぞなぞ)がある。「出題者が心に抱く答えが正解である問題」で、「朝は4本足、昼は2本足、夜は3本足のものは?」というスフィンクスの謎がその代表。リドルは本書には入れなかった。