三浦俊彦による書評

★ 大槻義彦『大槻教授の反オカルト講座』(ビレッジセンター出版局)

* 出典:『読売新聞』2004年8月8日掲載


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 『噂の真相』連載十年分のコラム集。地下鉄サリン事件の半年前から、宜保愛子死去の一年後まで。世紀末をはさんだオカルト群像の総覧として貴重な記録である。
 科学の基本法則は絶対正しい。それに反するオカルトはけしからん――大槻教授の基本姿勢はこれ。御自身が教条的信仰を振りかざしてしまうのは毎度気になるところだし、ホラー小説や毛利衛氏にまで矛先を向けても仕方ないのではとも思うが、毒をもって毒を制す式の対策が必要な現状は否めない。十年間によくもこれだけイカサマ師がブラウン管に現われ、有名文化人らが無批判に霊能力を賛美してきたことか。
 怒りの合間に零れる警句も乙な味。「『科学でわからないことがあった』のではなく、『あなたがわからない科学があった』のですよ」。神がかりブッシュ大統領批判を含む最終節では、反ファシズム倫理としての反オカルト宣言。いやまことに頼もしい。

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